ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

文化

AIと独裁と人間について

今日は短いけど深刻なぼやき、というか不安です。 AI(人工知能)に関する記事を新聞などで散発的に目にするたびに、大変な時代になってきたなと感じています。昨日の毎日新聞にもAIに警鐘を鳴らす記事を二つ見ました。AIの急速な普及が社会と人間を大…

書籍文化・図書館・市長選

東京・神田の神保町にそそり立っていた三省堂は、建て替えのため4年ほど仮店舗営業をしていましたが、今月19日ついに新装オープンとなったようです。千葉の田舎者とはいえ、昔だったらすぐにでも様子見に行っていたところですが、近年どうも腰が重くなってし…

「流行語大賞2025」と神田伯山

今日はごく短く。 どうでもいい話ではありますが、「新語・流行語大賞」というのがあって、今年の年間大賞は高市首相の「働いて×5 まいります」なんだそうです。選考委員の一人でもある、講談師の神田伯山氏は、これは日本初の女性首相との「合わせ技」だと…

「社会的な涙」 ― ハンガン『涙の箱』

昨年ノーベル文学賞を受賞したハンガンさんの新訳『涙の箱』(評論社)を読みました。人の涙をめぐる清らかなストーリーだと思います。帯に「大人のための童話」とありますが、(小中の)子どもが読んでも、それなりに心に響くものがあると思います。情感に…

国勢調査・学力テスト・スマホの「病」

国勢調査の年らしく、先日封筒が届きました。仰々しくもあるこの調査、国として人口統計など基礎資料が必要だと言われると、まあそりゃそうかな、と思いますが、なぜ5年に一度なのか、理由は釈然としません。1920年(大正9年)から始まって今年で22回目だそ…

「もう一つの正義」

今朝の新聞記事で映画監督の佐々木芽生(めぐみ)さんの名前を目にしました。彼女の名前は知っていました。むかし、和歌山県太地(たいじ)町の捕鯨・イルカ漁が、映画 「ザ・コーヴ」(2009年) の公開で一躍有名になりましたが、その一方的な視線に抗するよう…

失言とユーモア

思想史家の藤田省三さんの対談集を読んでいるのですが、会話だけに、書いたものよりも少しは話がわかるのかと思いきや、それは安易で甘い期待だったことを随所に思い知らされて、苦笑いするばかりです。でも、背景を含めてようやく話についていけるようにな…

「女子アナ」の文化

中居正広さんの姿がテレビから消えました。暮れのテレビ番組には出演していたような記憶があるので、まさに風景が一変した感じです(追記:本日昼、芸能活動から引退すると発表されました)。 連日「女性問題」とか「女性トラブル」という言い方(見出し)で…

映画「小学校 それは小さな社会」のこと

昨日の朝NHKを見ていたら、今話題となっている山崎エマ監督のドキュメンタリー映画「小学校 それは小さな社会」とその撮影現場となった東京都内の小学校の話題が短く取り上げられていました。この映画は海外でかなり注目・評価され、フィンランドではロング…

身辺雑記 公的なものについて 

今回は政治社会の話ではなく、身近に起こった出来事について書こうと思います。といっても、あまり詳しくは書けないのですが。 1つめは、自治会の広報紙に載せたい記事があって、編集責任者にどこに諮ればいいのか尋ねたところ、経過はわかりませんが、程な…

反中感情に思うこと

X(Twitter)を眺めていると、差別に無頓着な投稿を目にすることがよくあります。最近で言えば、ネットで話題になり、小生も目にしたのは、奈良公園の鹿を足蹴にする人を「中国人」として非難するものですが、その後の情報では、どうもこれは「中国人」かど…

W杯サッカー ドイツに勝利すれど……

カタールで開催中のW杯サッカーでサウジアラビアがアルゼンチンに勝って「おーっ」と思いましたが、今度は何と日本がドイツに勝ってしまいました。もし、ドイツに勝てるとしたら初戦しかない、チャンスはあるかも、くらいには思っていましたが、本当に勝つと…

政治家とユーモア

岸田内閣の閣僚たちの失態が続きます。今度は葉梨康弘法務大臣の問題発言です。一昨日の夜、身内の自民党岸田派(武井俊輔外務副大臣)のパーティーで挨拶をし、その際「法務大臣は、朝、死刑のハンコを押して、昼のニュースになるのはそういう時だけという…

褒めすぎる教育 親切すぎる教育

子どもは(叱るより)褒めた方が伸びるというのが、子育てや教育の「主流」になったのはいつ頃だったでしょうか。一昔前の話をしても、とは思いますが、「スポ根」ものが流行っていた1960・70年代に、そんなことを言う親や教師はごくごく少数だったでしょう…

音楽教室の著作権料判決のこと

音楽教室のレッスンで演奏される曲に著作権料は生じるのか。10月24日、最高裁で「生徒の演奏については、教室が著作権料を払う必要はない」とする判決が出されたという新聞記事を見ました。小生は音楽の素養がないので、音楽それ自体はもちろん、業界につい…

近石さん、円楽さん、猪木さんを偲んで

今日は短く。 最近著名人の訃報をよく耳にします。昨日はアニメ・サザエさんのマスオさん役で知られた声優の近石真介さんが、5日に亡くなったことを知りました。声優さんですから、他にもいろいろな役やナレーションなどで声を聞くことがあるとは思うのです…

良知力さんを読んで

良知力 らち ちから さんという早逝した社会思想史家の著書『向こう岸からの世界史』(未来社 1978年10月刊)を読みました。1848年のヨーロッパ、特にオーストリア・ウィーンの革命をめぐる話なのですが、学生の頃に一度読んで、よくわからず、就職してから…

「永久顧問」と「永世名誉司会」

今日も「短編」で。 自民党議員の「保守団結の会」が一昨日(8月29日)、元々会の顧問で、先月亡くなった安倍晋三氏を「永久顧問」に選任したというニュースを知りました。 「考えをしっかり継承していく」安倍元総理を“永久顧問”に選任 自民党「保守団結の…

父親と農 ある声明を見て

8月12日。父親が亡くなって1年。新盆見舞いに訪れた人たちとお話ししながら、父親が独りで黙々と農に勤しみ、それを周りの人たちも温かく見ていたことを改めて知りました。今、そのあとを展望もなく引き継いでいる息子には、父親の大きさばかりが感じられま…

「国語力・言葉の脆弱性」について

「『ごんぎつね』の読めない小学生たち、恐喝を認識できない女子生徒……〈いま学校で起こっている〉国語力崩壊の惨状」という記事を読みました。何のこっちゃ?ということもなく、学校にいたことのある人にとっては、ああ…と思い当たるところのある話です。 …

サニブラウン選手の記事を見て

現在アメリカのオレゴン州で陸上の世界選手権が行われています。個人的には、東京オリンピックに関わる諸事件の記憶が尾を引いて、今でもスポーツの大会を冷ややかに見てしまう傾向があり、昔のように「純粋」には楽しめなくなっているのですが、それでもス…

バカロレアの哲学の問題を見て

日本の子どもたちは夏休みまであと3週間ですが、欧米の子どもたちの多くはすでに夏休み入っているようです。ということは、先月は年度の節目の試験期間に当たっていたはずです。フランスの高校生などは、最後の難関である修了資格試験バカロレアを受けないと…

三角関数と金融の天秤

千葉県選出のある衆議院議員が5月17日の財政金融委員会で、今後の日本にとって学校における金融教育の充実が必要だと主張し、同様の連投Tweetをしていて、ちょっと話題になっていました。教育内容の優先事項をめぐって、三角関数と金融を秤にかけている件に…

斉加尚代さんの話

昨日の午後、畑で草刈りをしていたら、子どもたちがぞろぞろと下校してきました。4、5人の小学生が道ばたのソテツの周りに集まって何かを探しているようです。何だろうと思いながら、遠くで様子を見ていると、どうやらお目当てはトカゲ(カナヘビ)のようで…

教育の「不確実性」

教育社会学者の広田照幸さんの新刊が出るようです。それにあわせて、ほんの「味見」程度ですが、一部がネットで公開されています(2022年5月9日付更新の「ちくまWeb」)。そもそも「教育」とは何か? 3つのポイント「意図的に」「他者」「組織化」|ちくま…

「他人に迷惑をかけない」という「美徳」

毎日新聞に連載されている「私が思う日本」という外国人記者によるリレー・コラムを興味深く読んでいます。今回は朝鮮日報の崔銀京・記者が、日本の美徳とされる「他人に迷惑をかけない(ようにする)」という美徳とその変化について、「好意的」な記事を書…

E.シュリマン氏の講演

ウクライナの戦争を特集した岩波の『世界』の臨時増刊号を読んでいます。短期間によくぞこれだけの陣容をそろえたなあと感心します。確たる情報が十分にあるとは言えない中で、この執筆陣には、断言することを躊躇し留保したいと思いつつ、それでも何かを伝…

「個性重視」と言いながら…

日本社会は個性を尊重しない、個性を押し潰す社会のように言われてきました。学校はその元凶のように見られがちです。そこでむかし働いていた人間としては不本意ですが。 「天才ドラマー」と言われる(詳細はわかりませんが)相馬よよかさんのことを紹介した…

暉峻淑子『対話する社会へ』

「対話が続いている間は殴り合いは起こらない」というドイツの言葉があるそうです。なるほどと思います。この言葉を心に留めた筆者は、やがて「戦争・暴力の反対語は、平和ではなく対話だ」と考えるに至ります。平穏な日常を下支えているのは、暴力的な衝突…

O.ファイジズ『ナターシャの踊り』

上下巻合わせて800頁を超える力作。原著は2002年刊行ですが、日本語訳が出たのは昨年2021年8月です。訳者の鳥山さんによれば、途中から巽さんと中野さんの二人に応援を頼んだとのことで、よくぞあきらめずに(抄訳にせずに)最後まで訳しとおしてくれたと、…