ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

読書

終わらない「戦争」

もう20数年前だと思いますが、アルコール啓発月間のポスターに「飲んでるつもりが飲まれてる」と題する秀逸な作品がありまして(webで検索してみましたが、さすがに古すぎるのか見当たりません)、ジョッキを片手にビールを飲んでいる人が逆立ちして宙にいて…

書籍文化・図書館・市長選

東京・神田の神保町にそそり立っていた三省堂は、建て替えのため4年ほど仮店舗営業をしていましたが、今月19日ついに新装オープンとなったようです。千葉の田舎者とはいえ、昔だったらすぐにでも様子見に行っていたところですが、近年どうも腰が重くなってし…

イスラエルと南アフリカ

先回、ハミッド・ダバシさんのハーバーマス批判、ひいては、ヨーロッパ(欧米中心主義)批判について引用をしました。 彼らの中にはヒトラーがいる。自分たちに「ヒトラーが宿っている」ことに気づいていない。彼らが赦さないのは、ヒトラーが犯した罪自体で…

ハーバーマスとヒトラー

ドイツの高名な哲学者ユルゲン・ハーバーマスが2週間前に亡くなり、いくつか追悼記事を目にしました。ハマスの越境攻撃に端を発したイスラエルのガザ殲滅攻撃について、ハーバーマスは2023年11月、「イスラエルの攻撃は正当な反撃であり、ヨーロッパはイスラ…

「敗者の経験」

今日は短く。 将棋を「スポーツ」に分類するのが適当かどうかわかりませんが、ロシア語では、チェスをするのと野球などのスポーツをするのは同じ動詞です(英語も同じくplayですね)。でも、将棋は他の多くのスポーツとちがって、慣例上「参りました」とか「…

黒田明伸『歴史の中の貨幣』

銅銭をめぐる中国と日本の相互関係を中心に、おもしろい「史実」がいろいろと書かれています。 銅銭の主たる素材はもちろん銅ですが、錫とか亜鉛とかを混ぜないと硬くならないので、人の手を介しているうちにすぐに表面の刻字が擦れてつぶれてしまうんだそう…

高市の連呼表現について

高市首相が自民党総裁選の後の挨拶で発した「働いて、働いて、働いて、働いて、働いてまいります」という言葉。その年の流行語大賞に選ばれたせいか、本人は気をよくして(悪乗りして)、その後もこの連呼パターンを使いまわしていて、先の施政方針演説でも…

長い下り坂の先

米国の投資家レイ・ダリオ氏の論考を読んで、少し考えさせられるところがありました。日本の「衰退」は多くの人が指摘するところですが、氏もまた、日本は「教科書的」とさえ言える「後期衰退段階」の兆候を示し、静かな下降線をたどっていると述べています。…

葬儀から戻って

昨日は葬儀が2件ありました。あまり詳しくは書けませんが、77歳と90歳の方でした。ともに昭和生まれですが、77歳の方は戦後の生まれ。90歳の方は戦争が終わったときには10歳ですから、戦中・戦後のこの国の「空気」を知っていたはずです。 日本史研究者の吉…

暴君は嫌だけどアメリカはもっと嫌

今年11月の中間選挙で負けが確定的なトランプ政権。血迷ったわけではないのでしょうが、なりふり構わず利権の強奪に猛進して他国の首都を武力攻撃し、大統領夫妻を拉致して連れ去るという暴挙に出ました。ならず者国家・アメリカが繰り返してきた介入・侵害…

斎藤真理子『韓国文学の中心にあるもの』

去年ノーベル文学賞を受賞した韓国の作家ハン・ガンさんの著作をいくつか読んでいて、部分的に何か胸に落ちないというか、いまひとつしっくりこないところもあったので、本屋の棚にこの本のタイトルを見たとき、読めば何かしらわかるような気がしたのです。…

中道は独裁への道を掃き清める

酒井隆史・山下雄大編『エキストリーム・センター』を読みました。少々手を広げている感じもしますが、興味深いことがいろいろと書かれています。 「エキストリーム・センター」とは「極中道」「過激中道」という意味で、「極右」や「極左」になぞらえた過度…

「全世界が見ている」はユートピアか

雑誌『地平』の最新号を眺めていると、一枚の写真に目が留まります。がれきの上に二人の女の子が座って笑っている。背後にあるのは廃墟となった家屋です。キャプションにはガザ南部のハーン・ユニス、アル・カティーバ地区とあります。見ていると既視感のよ…

「社会的な涙」 ― ハンガン『涙の箱』

昨年ノーベル文学賞を受賞したハンガンさんの新訳『涙の箱』(評論社)を読みました。人の涙をめぐる清らかなストーリーだと思います。帯に「大人のための童話」とありますが、(小中の)子どもが読んでも、それなりに心に響くものがあると思います。情感に…

メモ 米国 憲法制定と大統領の存在意義

去年の夏に刊行された上村剛(かみむら・つよし)さんの著書『アメリカ革命』(中公新書)の評判がわりとよいので、今度読んでみようと思って調べていたら、「著者に聞く」というwebのインタビュー記事があって、中に興味深い話が載っています。 『アメリカ革…

河野龍太郎『日本経済の死角』

エコノミストの藻谷浩介さんが以前新聞の書評で「絶賛」していた新書を読んでみました。 今週の本棚:藻谷浩介・評 『日本経済の死角 収奪的システムを解き明かす』=河野龍太郎・著 | 毎日新聞 確かに「なるほど」と納得・共感する箇所ばかりです。特にここ…

「純粋な涙」――ハンガン『涙の箱』

去年ノーベル文学賞を受賞した韓国のハンガンさんの『少年が来る』(クオン 2016年)を正月に読んでから、何となく彼女の作品をもう一冊読んでみたい気持ちがありました。 ハン・ガン『少年が来る』 - ペンは剣よりも強く 今朝の毎日新聞の書評欄で、作家の…

「ならず者」政権

「ならず者」――「手に負えない者、素行の悪い者、ごろつき、無頼漢……」。 「Desperado(ならず者)」という歌があります。イーグルスの曲ですが、カーペンターズもカバーしていて、個人的にはカレンが唄っている方が好きです(年代が知れてしまいますが 笑)…

銃声が消えた街・砂川  

熊の出没がニュースになります。9月1日から市町村の判断で市街地での発砲を認める「緊急銃猟制度」が始まりましたが、千葉県は周りが海と川に囲まれて、「陸の孤島」のようになっていて、大昔に熊が「移住」してこなかったせいか?熊が現れない県です〔でも…

預金通帳を見てアベクロ時代を思い出す

政策担当者(責任者)というのは、引退というか、別の人に役職を引き継いだあと、どんな心境でいるものでしょうか。短い間に異動を繰り返した人であっても、一時的とはいえ自分が担った部署については、その後どうなっているか全然気にならないこともないと…

反全体主義としての「ポリフォニー」 バフチンを読んで

ミハイル・バフチンの『ドストエフスキーの詩学』を読んでいます(まだ半分くらいですが)。ロシアの作家ドストエフスキーの作品(作風)に、音楽になぞらえて「ポリフォニー(多声音楽、複数旋律)」を見出したバフチンの評論の代表作です。確かに文学論の…

トランプにも「逮捕状」を

前回のブログで、今の段階でいくら何でも米国がイスラエルのイラン攻撃に加わるなどという暴挙(錯乱)はないと思っている(が、こればかりはわからない)などと書きましたが、ほとんど間髪入れずに、アメリカの「暴挙」を見せつけられて仰天しました。町中…

日本にとっての「戦争と悲惨性」

今朝NHKのニュースを見ていたら、イスラエルのある世論調査が紹介されていて、それによるとイラン攻撃を支持すると答えた人が70%(反対13.4% タイミングが悪い10.1%)で、ユダヤ系イスラエル人に限れば82%が支持すると答えたそうです。直前まで懸念さ…

失言とユーモア

思想史家の藤田省三さんの対談集を読んでいるのですが、会話だけに、書いたものよりも少しは話がわかるのかと思いきや、それは安易で甘い期待だったことを随所に思い知らされて、苦笑いするばかりです。でも、背景を含めてようやく話についていけるようにな…

トッドの見る米国の「ニヒリズム」

昨日、ハーバード大学は、学生や教員の「反ユダヤ主義的な活動(内実は「反ユダヤ」でなく「反イスラエル」ですが)」の取り締まりを強化するよう求めたトランプ政権の要求を拒否し、トランプ大統領は要求に従わない場合、補助金を打ち切る姿勢を見せている…

三浦瑠麗氏のインタヴュー記事のこと

今日は昨日読んだ新聞のインタヴュー記事について書こうと思います。 毎日新聞は今年「デモクラシーズ」という民主主義について考える記事をシリーズで不定期に掲載しています。なかなかいい企画だと思っています。昨日は三浦瑠麗さんの話を載せていました。…

ハン・ガン『少年が来る』

年が明けて一週間が過ぎてしまいました。年末から少し書いては挫折を繰り返していて、ひと頃のようにすらすらといかなくなって来ましたが、今日は頑張って最後まで書こうと思います。 毎年ノーベル文学賞の受賞者が決まると、程なく街の(大きな)本屋に受賞…

身辺雑記 公的なものについて 

今回は政治社会の話ではなく、身近に起こった出来事について書こうと思います。といっても、あまり詳しくは書けないのですが。 1つめは、自治会の広報紙に載せたい記事があって、編集責任者にどこに諮ればいいのか尋ねたところ、経過はわかりませんが、程な…

被団協のノーベル平和賞受賞のこと

日本被団協(日本原水爆被害者団体協議会)がノーベル平和賞を授賞しました。大変喜ばしいことだと思うのですが、朝刊(毎日新聞)の1面トップを目にすると、「号外」と見紛うような紙面構成に何となく「違和感」があります。「慶事」とは言っても、米国のメ…

子どもの権利条約 採択から35年

おとといのブログで子どもを「素人」同然みたいに書いてしまって、ちょっと言い訳がましいのですが、反省の意味合いを込めて(苦笑)、昨日11月20日が国連「世界子どもの日」だったことと子どもの権利条約について書きます。 この地球上のある地では、空爆に…