ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

経歴詐称と虚像の「自白」

 経歴詐称としては、たとえば再度の不信任決議案で失職した某市の前市長のように、〇〇大学中退なのに(うかつにも)卒業したと広報をしてバレてしまうという、わかりやすいパターンもありますが、中には、某都知事のように、嘘に嘘を重ねたあげく、なぜか某国大使館が卒業認定の発表をして「助け舟」を出すという極めてレアなケースもあります。この国では(他国と比較はできませんが)権力の階段を上ってある域を越えると、たとえ経歴詐称をしていても表立っては叩かれなくなり、それゆえに、嘘をついても大丈夫式のある種の「特権」を手に入れたと勘違いする輩が出てくるようです。

 しかしながら、一国民としては、自国の総理大臣が経歴を偽っているのはさすがに嫌だな、というか、対外的に恥ずかしいなと思いますし、他国だったらスキャンダルだらけで辞任に追い込まれてもおかしくない人が、なぜか内閣支持率は高いままで、カメラの前だけニコニコして通り過ぎていく姿を見ると、実はアカンベーをされているような感じがしてきます。

 今週11日の月曜日昼、文化放送「大竹まこと ゴールデンラジオ!」でゲストの作家・適菜収さんが、高市首相の経歴詐称について話をされたようです(ライヴでは聞いていません)。高市の経歴詐称問題について、これまでも「無風」ではなかったでしょうけれど、しかし、こんな「モンスター」になる前に、早い段階で世に知らしめておくべきだったのではと強く思います。今さらながら痛恨です。

 適菜さんは貴重なお話をされたと思いますが、音声は時間が過ぎると、消えてしまうかもしれないので、記録のため、文字に起こして残しておこうと思います(と思って調べたら、すでにかなりの部分が活字になっておりまして、引用に少し付け足しした程度です)。
「高市のウソをいろいろ調べたんですけど…」出された"証拠"に大竹まこと「すごい!」 | 文化放送
radiko(ラジコ) | インターネット・スマホアプリで聴けるラジオ
https://x.com/tekina_osamu/status/2053752507357360322?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E2053759471529418839%7Ctwgr%5Eb95898524afecca43f72a2ef7444d45314e51abe%7Ctwcon%5Es2_&ref_url=http%3A%2F%2Fmuranoserena.blog91.fc2.com%2Fblog-entry-11738.html

 適菜「……高市さんって、いろんな問題を起こしていますよね。総務大臣の時の電波停止発言だったり、今回の週刊文春の、対立候補を中傷する動画を作っていた問題であったり、あとはサナエトークンですね。統一教会の問題であったり、なんかいろいろ問題を起こしてるんですけど、じゃあなんでこんな人間が政治家になって、ついには総理大臣になってしまったわけですよね。これがちょっと不思議で、高市の過去について調べてるうちに、とんでもないことが分かったんですね」

 大竹「なんですか?」

 適菜「高市が経歴詐称してるって話はよくありますよね。巷に流れてますよね、米連邦議会立法調査官っていう経歴詐称の話は、政治に興味ある人だったらみんな知ってると思うんですけど、実はその先の話があってですね。いろいろ高市さんの過去について調べてるうちに、――例えば大宅文庫で過去の新聞記事だったり、雑誌の記事だったり、そういうのをいろいろ読んでるうちに、最初の時点でかなり怪しいなっていう感じがあったんですね。それでどんどん資料を集めて読んでるうちに分かったんですけど、ちょっとその話を最初にしたいなと思っています」

 大竹「はい」

 適菜「高市さん、まず……保守の仮面をかぶることによって、権力の中枢に近づいて行ったってことが確認できるんですね。そのために何を彼女がやったかっていうと、まずは体裁を整えたと。衣装を作ったわけですね。さっきの米国連邦議会立法調査官っていうのも、実態はコングレッショナル・フェローなんですね。じゃあコングレッショナル・フェローって何かって話になるんですけど、これは議会の実務を学ばせるための研修制度ですね。実際の正規職員ではなくて、報酬とか給料ってのは多くの場合は議会じゃなくて、APSAや議会のスポンサーからもらってるんですね。だからその時点でまずウソなんです。
 さらにそのウソの最後にある問題があってですね。高市がアメリカに在籍していたのは、1988年の1月から1989年の3月まで民主党のパトリシア・シュローダー下院議員の事務所にいたんですね。なんで日本のただの若い女がそんな職を得ることができたのかって不思議に思うじゃないですか。(笑) 僕も不思議に思って。もちろん高市の評伝みたいなものもあって、そこでは表向きのことがいろいろ書いてあるんですけど、いろいろ怪しんで、いろいろ調べてみると、ウソをついて潜り込んだ可能性があると気づいたんですね。怪しいなあと思って、過去の記事とかいろいろ探してみたんですね。そうすると高市は、自分は日本の軍事問題の権威だってウソついてたんですよ。ウソをついてシュローダーの議員事務所に潜り込んだんですね。……」

 大竹「軍事問題の何ですか?」

 適菜「軍事問題の専門家だと」

 大竹「専門家だと」

 適菜「『権威』だってウソついたんです、履歴書とかで。これ結構すごすぎる話で、経歴詐称の肩書を作った事務所の職を得るためそのものが、ウソついて得たものだと。……」

 大竹「その事務所はそういうこと、調べたりはしなかったんですか」

 適菜「それはおかしいじゃないですか、その時点で。それもまたどんどん調べてみたんですね。……で、ついに決定的な証拠を見つけたんですね」

 大竹「はい」

 適菜「1992年の雑誌なんですけどね。35年前ですよね。当時、高市は自分の過去の悪事みたいなのを自慢していたりしたんですね。高校時代は校則で禁じられていたバイクに乗っていたとか、地中海で男とやりまくったとか、そんな話ばっかしてたんですけど」

 大竹「ああ、そうなの?」

 適菜それで、高市のウソをいろいろ調べたんですけど、それをついに、ちょっと見つけたんですね、資料を。これは大宅文庫から取ってきたんですけど、ちょっと大竹さん、ここ読んでもらっていいですか?」

 大竹シュローダー議員へのアプローチは?って聞かれて高市さんは、私を雇ってくれと履歴書とか色々書いたんだけど、私の英語力って大したことなかったから、その頃付き合ってた男がすっごく英語ができる男だったんで、ずいぶん添削してもらった。だいたい私、自分は日本の軍事問題の権威だってウソを書いたの

 適菜「これ、100%の証拠じゃないですか。本人が言ってるんですよ」

 大竹「本人が、私、ウソ書いちゃったって言ってますね。すごいね、これ」

 適菜「すごいですよね。これ、報道もされてないんですよね。過去に埋もれちゃってるのかわかんないですけど」

 大竹「英語力も大したことなかったなって、ご自分で言ってます。はあ~」

 適菜「要するに、ウソにウソを重ねて、のし上がってきた人間なんですよね。これ、佐村河内守とかショーンKよりひどいですよね」

 大竹「そう、言われてみればね」

 適菜「佐村河内守とかショーンKって、そんなに害はないですけど、総理大臣ですからね。ウソにウソを重ねて、自分の虚像を作って、それによって色々取り入りながら、世の中をごまかしながら、総理になってしまったってことですから」

 大竹「こういうのが出ても、糾弾したりする人は、適菜さん以外にはいらっしゃらないってことになりますか」

 適菜「全部ごまかしてきたわけですね、これまで、彼女は、人生で……。たとえば、経歴を詐称してたんではないですか、みたいな話をされると、話をごまかすんですよ。たとえば、2025年の総裁選のときですね。会見で記者が、経歴詐称問題について、その疑惑があるんですかって、聞いたんですね、高市に。これ、当然の質問だと思うんですけど、そしたら、高市が何て答えたかっていうと、『私は米国コングレッショナル・フェローであったことは事実でございますし、文書でもございます』と。これを「否定」とメディアは書いてるんですけど、質問とかみ合ってないわけ、答えが。だって、調査官だったか?って聞かれてるのに、コングレッショナル・フェローだと答えたわけですよね。どうせ日本人なんて英語で言えばわかんないだろう、ってなめてるわけですよ。実態はまったく違うものですから。そういうようなごまかしが極めて多いですね。

 大竹「聞いた人も、全然違うじゃないですかとは言えなかった、ってことになりますよね」

 適菜「そうです、メディアはこういうふうに報じてますから。メディアの問題もありますよね。」
(以下略)


 「軍事問題の専門家」、「権威」???――議員事務所も20代の高市を見て、んなわけねーだろと思ったでしょう。雇った理由は何か別にあるのでしょう(怪しい感じがしますが)。
 それにしても、「モンスター」も「ヒーロー」も本人とメディアの合作、よくも悪くも「虚像」であると再認識させられます。我々は識別眼を養わないと。

<追記>「女性自身」の記事も付けておきます。
「嘘の経歴で、しゃあしゃあとテレビにまで出れる人」芥川賞作家 痛烈批判した高市首相の“疑惑”が再燃 | 女性自身


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「サナノポテチ」は無策の象徴

 ポテトチップで知られるカルビーが、ナフサ不足でインクを安定的に確保できないため、商品パッケージを白黒に変える方針だと伝えられています。新パッケージは今月25日の週から店頭に並ぶ予定で、「商品の中身に影響はない」とのことですが、容量が60gから55gに減らされていることを、多くの人は見逃しません(笑)。
https://x.com/nikkei/status/2053884533561339978?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E2053884533561339978%7Ctwgr%5Eed1cdce6704af206682b4eb536acb838616c7979%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=http%3A%2F%2Fmuranoserena.blog91.fc2.com%2Fblog-entry-11737.html

 マスクもお米もそうですが、何かが不足していると指摘されれば、流通の「目詰まり」のせいにするのが政府のならいです。しかし、このポテトチップスがスーパーに並べば、一角が「衝(笑)撃的」な光景になるのはまず間違いありません。物珍しさから買われて棚が空白にでもなれば、さらに「衝撃」でしょう。「政府はああいってるけど……」——じわじわと不安と不信が広がる感じもします。アベノマスクがそうであったように、「サナノポテチ」は無策の象徴、あるいは「序曲」になるかもしれません。
【速報】佐藤官房副長官「必要量確保できている」 カルビーの「ポテトチップス」のパッケージが白黒に変更の方針 中東情勢の緊迫化によるナフサ不足で | TBS NEWS DIG (1ページ)

 この件で、日本政府が無策(無能)か、総理大臣が無策(無能)か、それとも両方なのかは判断がつきません。しかし、高市・中傷動画問題の動向を眺めていると、総理大臣の無策(無能)ぶりを、「格段に」と形容したくもなります。
 昨日の参院で、森ゆうこ議員から「これ(文春報道)は全くの事実無根、捏造だということでよろしいですか?」と質問された総理大臣の答えは、「週刊誌の記事を信じるか、秘書を信じるか、私は秘書を信じます」でした。森議員から、総務省の文書問題のときと同じように、捏造や事実無根だったら、そう言えばいいじゃないですか、と言われて、この回答です。「弁護士ドットコムニュース」にやりとりの全文がありましたので、一部引用させてもらいます(下線  は引用者が施したもの)。
高市首相、文春報道に国会で反論「秘書を信じる」森裕子議員「捏造なら捏造と言って」【やりとり全文】 - 弁護士ドットコム

 森議員:……ここまで詳しく報道されてるんです。当然訴訟のリスクも負って、堂々と責任を持って出版されてるわけです。ここまで詳しい記述がある。
 しかも、ショートメッセージ、それからLINE、シグナル、そういうものを使って、高市総理の第1公設秘書とその松井氏がやり取りをしている。その写真も昨日公開されていました。
 いやあ、すごいなというふうに言わざるを得ないんですけれども。そういう写真まで公開されてるんですけども、これは資料がなかなかお認めいただけないので出せませんでしたけれども、「このたびも大変お世話になり心より感謝申し上げます。自民党過去最高の議席数を賜り、旧立憲民主の害獣をたくさん駆除することができました。しっかりと未来に向けた国作りを進めてまいります」という。
 これはショートメッセージの写真が配信されておりますけれど、こういうものはそこに書いてあるもの、そしてこの公開されているメッセージは、これはまったくの事実無根、捏造だということでよろしいですか。私はそのことを聞いてます。
 捏造だと思うならそうお答えいただければいいし、まったくの事実無根だって言うんだったら、そうお答えください。

 高市首相森委員からですね、通告があったことについて秘書に電話で聞きました。その結果は先ほど答弁をした限りでございます。私自身の戦い方、戦い方の流儀をですね、ずっとそばで一緒に見ていた秘書でございますので、その週刊誌の記事を信じるか秘書を信じるかっていうと私は秘書を信じます。
そして、その週刊誌がそんだけ細かく書いてるから本当だとおっしゃるかもしれませんが、私はほとんど週刊誌を読まない人間ですが、ただ第三者から指摘されて見たときにですね、私が口にもしてない言葉をかぎ括弧つきで、高市総理がこう言ったとか、こういうことをしたとか、平気で書いてますよ。
 ですから、週刊誌の記事をもとに、そのギリギリ聞かれましても、私自身秘書に確認したことがすべてでございますし、それを信用いたします。 

 森議員捏造なら捏造だと言っていただければいいと思います。過去には捏造だって言いはったじゃないですか。総務省の公文書をですよ。捏造だと言い張ってそのままそのことについて説明責任を果たしておりません。
 とにかく、私は残念ながら週刊文春の記事しかないんですけれども、でも、もしこれが事実だとしたらですよ、大変なことですよ。大変なことになると思いますよ。
 民主主義の根幹である選挙の公正性、そしてそれによって権力を握る。その権力の正当性が問われる。
……

 この件は高市個人と秘書や事務所が中傷動画に関係しているかどうかという問題と同時に、選挙で中傷動画を拡散するなどという許されない行為に対する総理大臣としての見識が問われていると思います。高市は前者のことしか頭にありません。知らないと言えばごまかせると(最終的には秘書か事務職員が勝手にやったことにするのでしょうけど)、自分(の防御)のことしか考えていません。しかし、もし、本当に自分のあずかり知らぬところで、こうした不正が行われ、そのおかげで自分は自民党総裁になり、衆院選でも地滑り的大勝利を得たとなれば、「不名誉」この上ない話です。いったいだれがこのようなことをやったのか、徹底的に調査して、日本の選挙の公正性を守らなければならないはずですし、小泉・林の二人や「害獣」とまで言われた立憲民主党にも呼びかけて、名誉棄損で捜査できるかどうか、協議しないといけないと思うのです。そうしない(できない)理由は、この文春の中傷動画報道が真実であることを逆に示しているでしょう。要するに、自分の防戦に必死で、総理大臣たる自分の立場が分かっていないのです。

 今朝の新聞にはこんな投書もありました。
みんなの広場:高市首相に足りぬ国民目線=無職・菅野行夫・76 | 毎日新聞

 米ニューヨークの国連本部で開かれている核拡散防止条約(NPT)再検討会議で、2024年にノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の被爆者が核兵器の非人道性を断罪し、廃絶を求めた。
 本来なら高市早苗首相がやらなければならないことではないのか。世界で唯一の被爆国である日本の首相で、核廃絶のリーダーシップを取らなければならない立場のはずだからだ。
 高市氏はなぜ会議に出席しないのか。私は被爆者の立場に立てないからだと思っている。すなわち、自分に置き換えて物事を考えることができない人なのだ。
 北朝鮮の拉致問題がいまだに解決しないのも同じだ。拉致被害者家族の身になって考えることができていないからだ。それができれば、とっくに訪朝しているはずだ。
 高市氏に足りないものは国民目線に立って物事を考える姿勢だ。首相として一番大切なことではないかと私は思う。



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高校国語の「科目見直し」について

 今朝の毎日新聞のトップは、中教審(中央教育審議会)で、次の新たな指導要領にもとづく高校国語の科目構成が(またまた)変更され、前に減らす方針だった小説に、今度は触れる機会を増やすという見直し案が出ていることを伝える記事でした。人口知能(AI)やSNSの時代に対応するため、「人間ならではの感性を育む」のが狙いだそうです。右往左往というか、右顧左眄というか。おまけに笑っちゃいけないのはわかっていますが、追跡調査などほとんどやりもしないのに(というか、できっこないのに)、どうやって成果のあるなしを確認する気なのでしょう。
高校国語、再び小説重視 AI時代に感性を 次期要領で文科省案 | 毎日新聞

 こういう大言壮語というか、机上の妄想は止めて、文科省と中教審は、実際に学校で教えている教員の方々と、もっとやり取りを重ねながら教育方策を考えたほうがベターだと思うのです。新たに小説(文学)が増えそうなことに反対ってこともありませんが、それをもって子どもの感性を育む(育める)と、中教審や文科省の関係者がもし本気で考えているとしたら、おめでたいとしか思えません。4年前に当ブログに書いた拙文がそのまま当てはまりそうなので、恐縮ですが、繰り返します。これは当時高校国語の科目に新たに「論理国語」を新設するという話を知って書いたことです。「小説(文学)を読ませて感性を育む」という話にも通じると思います。
高校国語に文学を - ペンは剣よりも強く

……もし、子どもたちの、あるいは日本人全般の読み取り能力や論理力(?)が落ちているから何とかしたいと本気で考えて教育課程を改めるとしたら、国語に新科目をつくっても、まあ無理だろうと思う。読み取りや論理の学習が、学校の教室で行う年間60時間か120時間の授業で向上すると思える、その神経は官僚ならではと思う(建前だけで本気とも思えない)。これは「国語」だけでなく、教科をまたいだ教育活動として取り組むべきことだし、そもそも学校では日常的に論理性を剥ぎ取った一斉命令式の教育が続いているのに、都合よく子どもたちに論理力をつけられるはずもない。求める従順さと論理が矛盾したらどうするのか。
 身も蓋もないことを言うが、人がいったいいつどこで真に学んでいるかと考えてみると、教室の授業はそのほんの一部であり、実際は「学校以外」のところで学習が成立していることの方がはるかに多いはずだ(個人的な話をすれば、先生方には申し訳ないが、国語の教科書の文章を読むのは好きだったが、国語の授業をおもしろく感じたことはほとんどなかった)。小学生ならいざ知らず、学校の授業など、好意的かつ過大に評価しても、学習の些細なきっかけづくりに過ぎない(と考えるべきだ)。
 学習指導要領が改訂されたり、新教科や新科目が生まれるたびに思うのだが、教育課程の設計図を描く仕事をしている人たちは、「やってる感」をアピールしたり、「言い訳」をするために何かを変えているだけではなかろうか。それは「国家百年の計」ではない。

 一点。朝日新聞の記事(yahooニュース)の末尾に、選択科目が現行はすべて4単位だが、2単位ものが増えることで「カリキュラムの柔軟化もしやすくなる」と書いてあるのですが、ちょっと気になったので注釈をつけておきます。

 ご存じの人も多いと思いますが、単位数とは週当たりの学校の授業の回数(コマ数)を意味していて、たとえば、4単位の「論理国語」という科目の場合、月から金までの一週間、一日6時間の授業(週で計30時間=30コマ)が組まれているとして(学校によって多少異なります)、月曜の1時間目、火曜の6時間目、木曜の3時間目、金曜の5時間目に授業が入っているとすれば、合計週に4回=4コマ授業があるということになります。同じことですが、2単位の授業の場合は、たとえば月曜の2時間目と金曜の6時間目に授業があって週2回=2コマという具合です(単位を2単位修得するとは、1年間に週2時間授業を受けて、定期試験を受け、欠点=赤点の評価を受けなかったことを意味します)。
 ところが、時間割の作成上、2単位の科目というのは問題含みでありまして、月曜日に2単位ものの科目は入れづらい。なぜかというと、実際に日曜祝日の代休などで月曜が休みになることがけっこうあって、月曜に2単位の科目を入れると、週1回になることが頻発し、月曜に授業のない他のクラスと時間数で差ができてしまうという不都合が生じます、最終的にある程度時間数(回数)を確保するために、曜日変更など、いろいろと工夫せざるをえなくなるのですが、他に影響が出るので、担当責任者としてはできれば避けたいというのがひとつ。
 それから、どの学校も現状教員不足にあって、以前にも増して非常勤の割合が増え、曜日指定で出勤する教員が多くなると、時間割作成に制約が生じるので、2単位科目の授業数を確保・平準化しようと思っても、簡単には曜日変更ができないというのが、ふたつめ。非常勤の教員が2単位ものの授業を担当していると、ますます縛り(制約)がきつくなるので、曜日変更はあきらめざるをえなくなります。
 そして、時間数の少ない2単位科目は定期試験がやりにくいというのも、現役の先生方からよく聞く声です。

 まだ他にも問題はあるかもしれませんが、小生が知る範囲では、総じて2単位科目が増えることを学校の先生方はあまり歓迎しないと思われます。ですから、4単位を細分化して2単位にすれば、選択の幅が広がって、「カリキュラムの柔軟化がしやすくなる」というのは、中教審の委員が言ったのか、朝日の記者がそう思ったのかわかりませんが、学校の先生方の多くは、そうは受け取らないでしょう。トップダウンではなく、ボトムアップを含めて、教育行政と学校(教員)はもっと相互の意見交換をすべきと思うゆえんです。



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