ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

ロシア

戦時下ロシア 「部分的」動員令の波紋

ウクライナ戦争で劣勢にあるロシア・プーチン大統領が「部分的動員令」を9月21日に出してから一週間。「部分的」という語が何となく引っかかって、勉強ついでに調べると、確かに«Частичная мобилизация (partial mobilization)»と言っているようなので、訳せ…

ゴルバチョフ氏のこと

8月30日、旧ソ連の指導者ゴルバチョフ氏が亡くなりました。振り返ってみると、同時代を生きた政治家の中で、最大の敬意を表したいと思わせる唯一の政治家かもしれません。 調べてみるとたぶん1980年頃なので、当時、小生はまだ学生だったと思うのですが、ブ…

「イズムィコ先生ができるまで」を読んで

今日は短く。 ロシアの軍事評論家・小泉悠さんの半生をたどる記事を興味深く読みました。 【小泉悠】「いいところなし」の少年に、「細部から全体像を描く」を教えてくれた人:朝日新聞GLOBE+ 小生が初めて小泉さんを知ったのは、北朝鮮が度々「飛翔体」を…

「即時停戦は『正義』か?」を読んで

ロシアがウクライナへの侵攻戦争を始めて半年になります。この間も関心を失ったわけではなく、報道を気にしてきたつもりですが、当初のようにどんな些細なことでもキャッチしようとする気持ちが薄らいだことは否定できません。それでも、身元が分からずに亡…

奈倉有里『夕暮れに夜明けの歌を』

活躍中のロシア文学研究者の半生を綴った評判のエッセイを読みました。著者は研究者としては若手から中堅どころととらえるのがよいと思うので、「半生」という語はまだ適切ではないかもしれませんが、本の最後に「かつての自分といまの自分はまったく別人と…

ある街頭演説 横浜・夏

昨日(6月26日)横浜で麻生太郎・自民党副総裁が街頭演説に立ち、若い人々へ向けて「自分の国を自分で守るという意識がない国はあっという間に終わる。……自分の国を守るために戦う……という意識が抑止力になる」ことを「頭に入れ」ておくように、と述べたとい…

ウクライナ戦争の終わり方 孫崎亨さんの話

ジャーナリストの神保哲生さんが識者にインタヴューする好評企画。今回は、元外交官で評論家の孫崎亨(まごさき うける)さんから話を聞いています。 戦闘が始まってはや4ヶ月、現下のウクライナ戦争はまったく終結が見通せません。神保さんの話ではなお1日100…

ウッドショック・円安・山林伐採

あまり詳しくは書けませんが、父親から相続することになった廃屋があります。壊して更地にしたいのですが、更地のままだと住宅地の軽減対象から外れ、固定資産税が跳ね上がってしまうので、代わりに何か建てないといけないのかとも考えるのですが、去年から…

戦争をしようとする国家は戦争の前に何をするか

ロシアのウクライナ侵攻開始後、ロシアの文化人たちの語りを精力的に翻訳してきた奈倉有里さんのインタヴュー記事が、5月29日付朝日新聞にあります。 ロシアで現在、一般の人々がどういう状況におかれているか、職を失ったり、徴兵の恐怖におびえたり、ウク…

ロシアの良心たち

AFP BB News にロシアで反戦の声を上げる人たちの記事がいくつかあります。 5月22日付の記事で紹介さている画家のエレーナ・オシポワさんは、独ソ戦でナチス・ドイツによって2年半近く続いた「レニングラード包囲戦」を経験した女性で、これまでウクライナ侵…

ちばてつやさんの話

漫画家のちばてつやさんのインタヴュー記事を読みました。ちばさんは生後まもなく両親と朝鮮半島に渡り、その後、当時の満州・奉天(現在の瀋陽)の日本人街に移り住みます。父親が働いていた社宅は、レンガ造りの高い塀に囲まれ、「塀の外に出てはいけない…

小泉悠『ロシア点描』

最近すっかり「売れっ子」になってしまった感のある著者ですが、そこは(自称でもある)「オタク」的なロシアの軍事専門家、小生には、ロシアのウクライナ侵攻がどうなっていくのかについてどんな分析をし、どんな見通しを持っているのか、という興味がまず…

E.シュリマン氏の講演

ウクライナの戦争を特集した岩波の『世界』の臨時増刊号を読んでいます。短期間によくぞこれだけの陣容をそろえたなあと感心します。確たる情報が十分にあるとは言えない中で、この執筆陣には、断言することを躊躇し留保したいと思いつつ、それでも何かを伝…

ソロモン諸島とウクライナ

昨日新聞を見ていたら、外報面に小さな記事がありました。 米政府代表団は22日、南太平洋の島国ソロモン諸島でソガバレ首相と会談し、ソロモン諸島が中国と結んだ安全保障協定に関して「事実上の恒久的な(中国)軍の駐留や軍事施設建設に向けた動きがあれば…

堀茂樹さんの話を聞いて

フランスの歴史家エマニュエル・トッド氏のインタヴュー記事が4月8日付の文春オンラインにあります。タイトル(「 日本核武装のすすめ 」)に「腰が引けて」しまってそのままだったのですが、話によると、内容の大半は傾聴に値するとのことです。オンライン…

拒否権行使の説明を求める決議案

今日は短く。 朝日新聞ニューヨーク支局の藤原学思・記者が伝える記事やTweetには、国連の動きをリアルに伝えるものが多く、大変貴重でありがたく読ませてもらっています。 ロシアのウクライナ侵攻に、国連が有効な手を打てずにいる状況を歯ぎしりする思いで…

ヤニス・バルファキス氏に聞く

経済学者で元ギリシャ財務長官のヤニス・バルファキス氏のインタビュー記事を読みました。ギリシャの経済危機にあたって、その最前線に立ち、債務整理とEUやIMFらと交渉にあたった人で、何冊か日本語訳の著書も出ています。 「ピープルズ・プラン研究所」の…

河瀬監督の式辞のこと

暑くなってきたので網戸を入れることにしました。例年だと、5月の連休明けくらいにする「年中行事」なのですが、桜がまだ残っている4月にするのは初めてです。「主人」のいなくなった部屋のガラス戸にも一応……と思って、ガタゴトと付けていると、中から「お…

善悪二元論的報道へ

ロシア軍の侵攻から40日余が過ぎてウクライナ各地の状況が次々と明らかになり、世界中からロシア・プーチン政権を非難する声が上がっています。この目を背けたくなる惨状を見たら、誰でも当然のことと思います。ウクライナのゼレンスキー大統領は、破壊され…

日中印3国による停戦仲裁を

今日は短く。 昨日ウクライナの衝撃的な状況が映像で紹介されていました。映像処理が施されているとはいえ、惨い映像には目を背けてしまいます。これは実画を見たわけではありませんが、後ろ手に縛られて射殺されたとか、遺体には地雷が付いていることもある…

戦争の役に立たない人/人の役に立たない戦争

マガジン9に雨宮処凜さんの「第588回:戦争と障害者〜「戦えない人」は戦時にどう扱われてきたか。の巻」という3月23日付記事があります。その中にこう書いてあります。引用をお許しください。第588回:戦争と障害者〜「戦えない人」は戦時にどう扱われてきた…

O.ファイジズ『ナターシャの踊り』

上下巻合わせて800頁を超える力作。原著は2002年刊行ですが、日本語訳が出たのは昨年2021年8月です。訳者の鳥山さんによれば、途中から巽さんと中野さんの二人に応援を頼んだとのことで、よくぞあきらめずに(抄訳にせずに)最後まで訳しとおしてくれたと、…

服部倫卓さんの解説

ジャーナリストの神保哲生さんのインタビューズ(2022年3月26日付)を見ました。この企画、ゲストの「チョイス」が素晴らしく、小生にとって、ウクライナとロシアの問題を考える上での貴重な情報源です。今回のゲストの服部倫卓(みちたか)さん(ロシアNIS…

ゼレンスキー演説を見て

昨日の夕方、テレビでウクライナのゼレンスキー大統領の日本(国会)向け演説を見ました。注目度が高かったのか、NHKも主要民放もみんなLIVE中継をしていて、放送していなかったのは、Eテレとテレ東と、あとは(小生の見ているチャンネルでは)千葉テレ…くら…

「隣国」ベラルーシのこと

昨日の夕方TBSの報道特集を見ました。キャスターの金平茂紀さんがベラルーシのルカシェンコ大統領にインタヴューしていました。ベラルーシ市民へのインタヴューの顔出し放映とか、チャベス(ヴェネズエラ)とエルドアン(トルコ)の写真の間違いとか、いくつ…

ロシアを去る人残る人

ウクライナから国外へ避難した人は300万人を超えたようですが、ロシアとロシアに同調するベラルーシから国外へ出た人も相当な数のようです(数字は様々ですが)。行き先はいろいろですが、EUやアメリカ、イギリス、カナダなどがロシア航空機の自国領空での飛…

プーチン増長に加担した/する国

昨日3月16日の参議院内閣委員会で、タムトモこと田村智子議員(共産党)が本年度予算案に計上されたままの「ロシアへの8項目の経済協力プラン」について質問しています。予算案は来週22日の参議院本会議で採決されるという話ですが、さすがにこのまま通すの…

プーチンとオリガルヒ

ロシアには「オリガルヒ Олигархи 複数形」と呼ばれる新興財閥がいます(ウクライナにもいます)。調べてみると、Олиг-(Олигo-)は、少数、少ない、を意味し、архиは、首長、主、大きい、などを意味するようで、「寡頭」と訳されることもあります。数少ない…

微力ながらプーチンを笑いとばす

今ロシアでは反戦の意思表示をするだけで警察に拘束されるようです。何も書いていない白紙のプラカードを持っているだけで連行された人がいましたが、唖然としました。「モス子@日露間で働くマン」さんが上げている下の動画も一瞬ギャグかと思いました。戦…

プーチン崇拝の精神的風土論について

ロシア文学研究者・亀山郁夫氏のインタヴュー記事を読みました。大変興味深かったのですが、部分的に承服できないところもありました。 3月13日付毎日新聞の記事から一部引用させてください(聞き手は大野友嘉子・記者)。ロシア文学者を「絶望」させたプー…