ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

ロシア

プーチンとオリガルヒ

ロシアには「オリガルヒ Олигархи 複数形」と呼ばれる新興財閥がいます(ウクライナにもいます)。調べてみると、Олиг-(Олигo-)は、少数、少ない、を意味し、архиは、首長、主、大きい、などを意味するようで、「寡頭」と訳されることもあります。数少ない…

微力ながらプーチンを笑いとばす

今ロシアでは反戦の意思表示をするだけで警察に拘束されるようです。何も書いていない白紙のプラカードを持っているだけで連行された人がいましたが、唖然としました。「モス子@日露間で働くマン」さんが上げている下の動画も一瞬ギャグかと思いました。戦…

プーチン崇拝の精神的風土論について

ロシア文学研究者・亀山郁夫氏のインタヴュー記事を読みました。大変興味深かったのですが、部分的に承服できないところもありました。 3月13日付毎日新聞の記事から一部引用させてください(聞き手は大野友嘉子・記者)。ロシア文学者を「絶望」させたプー…

ロシアの人たちは今

今日は短く。 モスクワで反戦活動をしていて拘束された友人から聞いた話というのが連投Tweetされています。猫本喜子さんの3月12日付記事より。https://twitter.com/mandaiike_face/status/1502628186584391684これは貴重です。拘置所の警官の話: 「自分は言…

『戦争は女の顔をしていない』

NHKの「100分de名著」のシリーズでも取り上げられていた、スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ『戦争は女の顔をしていない』が、再び読まれているという話を知りました。番組の講師役だった沼野恭子さんは毎日新聞の取材を受けて、「アレクシエービッチ氏は…

サフルール医師の話

3月11日。母親の命日でもあります。昨日お墓と仏壇に花を供えました。静かに故人たちを偲びたいと思います。 NGO団体を率い、故郷のシリアで医療活動に取り組んできたシリア系米国人、ザヘル・サフルール医師のインタヴュー記事を読みました。昨日「歴史は何…

歴史は何の役に立つのか?

明日は3月11日。 あの日の夜、真っ暗になった道を灯りがひとつ、またひとつと、学校に向かってきて、最後の生徒を送り出してから慌てて自宅に戻ると、家の中は無茶苦茶になっていましたが、家族は無事でいてくれました。津波や原発のことを知ったのはその後…

分断と傍観と忘却を越え出ること

昨日は赤木俊夫さんの命日でした。 今日3月8日は国際女性(婦人)デイです。 ロシアに「プッシー・ライオット」という覆面パンクロックのグループがあります。あまり詳しくはないのですが、ずっと反プーチンの声を上げ続けていて、メンバーが反戦デモで拘束…

伊勢崎賢治さんの解説

うろおぼえの話ですが、前にTwitterで「んっ!?」と思う投稿を見かけました。ある学者さんが息子から、なぜロシアはウクライナがNATOに入るのを嫌がって戦争をするのかと訊かれたので、経緯をできるだけ丁寧に説明したところ、「ロシアもNATOに入ればいいのに…

『文読む月日』6

アベシンゾー氏のことを書くと(あと橋下氏もそうですが)、罵詈雑言としか思われません(もちろんそれはあるのですが)。しかし、毎日ウクライナの映像を見ていると、この侵攻(戦争)を指示する人間と「同じ未来を見ている」などと発言した人物を、なぜこ…

河東哲夫さんの解説

ジャーナリストの神保哲生さんが元外交官の河東哲夫(かわとう あきお)さんにリモートでインタビューしている動画を見ました。ロシアのウクライナ侵攻は、日本が真珠湾攻撃へと心理的に追い込まれていった姿とよく似ていると言っています。概要を一部文字に起…

ロシア 小学生の逮捕のこと

最初に、昨日の記事について。「イデオロギーなしにファシズムは成立する」という当方の記事に言及してくれた方がおりました。学術的な話には恐縮しますが、ファシズムを…「ただの悪口雑言」にしてしまわないかというご指摘、まことにごもっともと思いました…

ファシズムはイデオロギーなしに成立する

岩波書店編集部の「なみのおと」チームが公開しているnoteに、ロシアの作家・文芸批評家、ドミートリー・ブィコフ氏が、ロシアのウクライナ侵攻が始まった2日後の2月25日、ラジオの持ち番組「モスクワのこだま」で2時間近く語った話の抄訳が掲載されています…

片山ふえ『オリガと巨匠たち』

片山ふえさんの『オリガと巨匠たち――私のウクライナ紀行』(未知谷 2010年)を読みました。副題にあるとおり、片山さんの西ウクライナの旅日記なのですが、案内人のオリガ・ペトローワさんをはじめ道中で出会うウクライナの人々の人生と時々の風景がみずみず…

国際圧力 プーチン包囲網

橋下徹氏の昨日2月27日付Twitterを見ました。複数の方から批判・揶揄されているようです。かいつまんで引用すれば、こういう内容です。 https://twitter.com/hashimoto_lo/status/1497872619168669698「威勢のいいことを言う資格がある者は志願兵になる者だ…

ロシア兵にヒマワリの種を渡す女性

昨日は2.26事件から86年でした。 昨夕TBSの報道特集を見ました。キャスターの金平茂紀さんがすでにウクライナに入ってリポートしています。さすが、というか、機動力健在で敬服します。話によると、ウクライナ行きの飛行機は飛んでないので、隣国のルーマニ…

戦争にNO! НЕТ ВОЙНЕ ! 

ロシアのウクライナ侵攻には、ロシア国内でも反対の声が広がっているようです。しかし、プーチン政権は国内のこうした声を封じ込めようと躍起です。24日、ロシア各地で行われた抗議活動では1,700人以上が拘束されたといいます。 キング牧師の言葉を連想しま…

「プーチンの戦争」から脱するために

ロシア軍がついにウクライナに侵攻しました。正直なところ「寸止め」でやめると思っていたのでショックです。失望と怒りを覚えました。 これは真野森作さんの本のタイトルではありませんが、まさに「プーチンの戦争」だと思い、彼についていろいろと調べてみ…

毎日新聞150年に寄せて

昨日毎日新聞は創刊150年を迎えたそうです。1872(明治5)年2月21日、東京で最初の日刊紙として「東京日日新聞」第1号が発刊されたのが最初ということです。が、調べてみると、まだ旧暦の時代だったので今の暦で言えば3月29日のようなのです。まあ気にしない…

真野森作『ルポ プーチンの戦争』

今日で(やっと)北京オリンピックも終わりです。カーリングって2週間ずっと競技をしてきたことになるんですね。本当に本当にお疲れ様。あと一息です。 しかし、終わったとたんに世界が望んでいないことが現実化するかもしれません。非常に心配です。 『ルポ…

18歳で引退覚悟 内田舞さんの記事

むかし学校にいた頃、女子生徒が何人も「もう年だから…」とか「わたしババアだから…」と自嘲しながら話をしていました。最初は「おいおい」と思いながら笑って聞いていました。軽いランニングをした後、廊下の雑巾がけをした後など、ちょっとしたことでもす…

O.ホメンコ『ウクライナから愛をこめて』

著者のオリガ・ホメンコさんは東京大学の大学院に留学したことがあり、現在はキエフの大学で日本の歴史を教える親日家で、作家、ジャーナリスト、翻訳家だそうです。本書はウクライナ人の著者が日本語で書いたエッセイ集ですが、その温かな視線によって綴ら…

ワリエワ選手のドーピング違反問題

今日は短く、北京オリンピックのことを。 何か法律や規約などで「原則」を定めると、必ずと言っていいくらい「例外」が出てくるものだと思います。人間社会に線引きを施すのは本当に難しいことで、父親の相続税の申告で土地評価をしているときにも、これを痛…

「戦後」77年としての2022年

「戦後」があれば「戦前」があります。この場合、節目となっている「戦争」とは、1945年に日本の敗戦で終わる「第二次世界大戦」のことです(アジア・太平洋戦争、十五年戦争、「大東亜戦争」など、微妙な差異はありますが、呼び方はいろいろです)。以後、…

トルストイ『文読む月日』5

毎度引用している、北御門二郎さん訳のレフ・トルストイ『文読む月日』(ちくま文庫)の原題は「КРУГ ЧТЕНИЯ(クルーク・チテーニャ 読み物の輪)」という。最も古い訳本は、ロシア文学者・原久一郎さんによる1934年の『一日一善』で、この題名は、1880年代…

「50点狙って0点」「北方領土問題」のこと

「桜を見る会」の前夜祭について、公職選挙法違反容疑(寄付の禁止)で検察審査会から「不起訴不当」の議決を受けていたアベシンゾー氏を、東京地検特捜部は昨日12月28日、嫌疑不十分として再び不起訴処分とした。何とも釈然としない話だが、「嫌疑不十分」…

土地の相続で考えたこと

相続税の申告の準備をしているが、少々難儀もしている。税理士に頼めばよかったのだが、行きがかかり上、自力でやることになり、預貯金や自宅だけなら「素人」でも、税務署のマニュアルに従って何とかできそうな感じはあったが、田や畑、借地など土地が絡む…

「遠く」へ行くのなら…

岸田首相が施政方針演説で言及した「ことわざ」――「早く行きたいなら一人で行け、遠くへ行きたいならみんなで行け」は、小生は知らなかったが、調べてみると、過去にもこれを「アフリカのことわざ」として引用している人が多い。しかし、「アフリカ」という…

小泉悠さんの対談

ダースレイダーさんの6月3日の対談動画に、ロシアの軍事研究・評論家小泉悠さんが出演していた。2時間半もあるので2日に分けて視聴したが、期待通りのおもしろい内容。いくつか話題を拾って、話の概略を起こしてみる。ダースレイダー x 小泉悠 ロシアという…

「パンと塩は断れぬ」

ロシア語のことわざを眺めている。日本語にも同じ意味のことわざがあるなと思えるものがいくつもあるが、そのズレやちがいがおもしろく感じる。 たとえば、「猫にとっていつもバター祭りがあるとはかぎらない」というのがある。「バター祭り」とはロシアの春…