今日は短く。
朝日新聞ニューヨーク支局の藤原学思・記者が伝える記事やTweetには、国連の動きをリアルに伝えるものが多く、大変貴重でありがたく読ませてもらっています。
ロシアのウクライナ侵攻に、国連が有効な手を打てずにいる状況を歯ぎしりする思いで見てきました。安全保障理事会で常任理事国が拒否権を行使して「決議」を葬るというのは、ロシア(旧ソ連)だけでなく、米国もくり返してきた「お家芸」ですが、こうした「大国!」の責任を欠いた自己都合が多分に国際政治を歪めてきたのは確かです。
今回リヒテンシュタインが主導して、常任理事国が今後拒否権を行使した場合、国連の全193加盟国の前で説明させようという決議案が準備されているそうです。これで現状が大きく変わるわけではないのでしょうが、ウクライナの惨状を前に国際社会として拒否権を行使されたらなすすべもないでは済まないわけで、次へのステップのためにも是非取り組んで欲しい一手だと思います。
Gakushi Fujiwara / 藤原学思 on Twitter: "1) ウクライナ危機で批判を集めた「拒否権」。
行使した場合、国連の全193加盟国の前で説明させようという決議案が準備されています。日米韓豪独加など50カ国が共同提案国。仏も賛成へ。
主導したのはリヒテンシュタイン。「安保理の政治的な行き詰まりは根深い」と大使。
https://t.co/JcDkFzQwZY"
藤原記者署名入りの朝日新聞4月17日付記事より部分引用させてください。
5大国が国連安保理で拒否権→理由を説明する「責任」、実現するか [ウクライナ情勢]:朝日新聞デジタル
リヒテンシュタインが主導してつくった総会決議の草案は、P5(常任理事国5カ国)が今後、拒否権を使った場合の措置として、10日以内に総会を開き、拒否権が行使された状況について話し合うと規定。さらに総会が開催される72時間前までに、安保理としての「特別報告書」を出すよう求めている。
リヒテンシュタイン国連代表部によると、15日夜までに米国のほか、日本や韓国、オーストラリア、カナダ、ドイツなどが共同提案国になった。P5では他にフランスが取材に「賛成票を投じる」と明言した。……
国連が公表している記録をもとに集計すると、1990年以降で拒否権を使ったのは、ロシア29回▽米国19回▽中国15回。英国とフランスは89年、米軍のパナマ侵攻を遺憾とする決議案に行使したのが最後となっている。
提案者「国連は岐路に立っている」
リヒテンシュタインのウェナウェザー国連大使は今回の決議案の意義について「安保理の政治的な行き詰まりは根深く、総会がより責任を果たすことが重要だ」と語る。拒否権の行使に対する構想は2年半前から練ってきたという。
ウェナウェザー氏はまた、「国連憲章の起草者が念頭に置いていた制度的な関係は、過去数十年間で著しくゆがんでしまった。我々の構想は革命的なものではないが、それに対応したものだ」と指摘。特に、ウクライナ危機を抱える現在については「国連にとって岐路に立っている。必要な変化を選択するか、それを逃すかだ」と語る。……
国連の舞台で平和や公正といった理念がないがしろにされ、それが放置されると、連動するかのように、この日本でも憎悪やシニシズムが蔓延するように感じます。ここは連帯してがんばっていただきたいと思います。関係者の尽力を敬意をもって見ています。
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