ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

『文読む月日』6

 アベシンゾー氏のことを書くと(あと橋下氏もそうですが)、罵詈雑言としか思われません(もちろんそれはあるのですが)。しかし、毎日ウクライナの映像を見ていると、この侵攻(戦争)を指示する人間と「同じ未来を見ている」などと発言した人物を、なぜここまでちやほやして持ち上げなければならないのか、さっぱり理由がわかりません。落選でも逮捕でも何でもいいですが、いいかげん退場させないと、今でも十分「国難」のこの国が、さらにひどいことにならないかと真面目に不安になります。

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 シンゾー氏はYou-tubeに動画を上げています。
世界はどのように安全が守られているのか - YouTube
「この国を守る!」と例の調子で始まる3月3日付のこの動画、清和政策研究会(自派閥)の冒頭挨拶を切り取ったものらしいのですが、シンゾー氏は、NATO内の核兵器配備の話に続けて、こう言っています。

……ここで考えなければいけないのは、なぜ多くの旧東欧の国々、あるいは旧ソヴィエトの一部であった国々が独立した後、NATOに入ることを切望し(――なぜか、字幕では「絶望し」になっています)、事実NATOに入っていったか(――同じく「入っていなかった」になっています)ということはですね、まさに集団的自衛権を行使する同士のNATOの中に入ることによって、自国の安全を守るということ。それと、今言った核シェアリングによって、核の脅威や脅かしから自国を守るということであったんだろうと、こう思います。ウクライナも何とか入ろうと思っていた。もし、ウクライナが入ることができていれば、このようなことにはおそらくなっていなかったんだろうと、こう思うわけであります。……

 これは事実として変です。他の方々も指摘しているとおり、ウクライナNATOに入ろうとしたから、(プーチンの判断と指令で)「このようなこと」になっているわけで、むしろウクライナが非同盟中立であれば、少なくともロシアからこんな攻撃はされなかったはずです。付け加えれば、シンゾー氏の場合、そもそも欧州諸国はウクライナ(とジョージア)のNATO加盟については、対ロシアの緊張度を考えると、他の東欧諸国と同列には扱えないと慎重姿勢であったことが理解されているようには見えません。
 シンゾー氏は、この後、だから、日本もアメリカの核をシェアして国内に配備すれば、それが抑止力になるという話をしています。ウクライナザポリージャザポロージェ原発が狙われたように、そんなものを配備したら、まず相手から攻撃目標にされてしまうのでは…と、小生などは怖れを抱くのですが、シンゾー氏にはそういう心配はないのでしょうか。

 きっこさんは、「安倍晋三とハサミは使いよう」と言いつつほぼ「見捨て」ていますが(笑)、小生も半分「やけ(捨てばち?)」になって、トルストイの『文読む月日』の今日3月5日の記述を引用します。もちろんこれは自戒も込めて、です。
「核共有」を言い出して炎上中の元宰相、安倍晋三氏にもある“使い道” - まぐまぐニュース!

三月五日

 (一) 人は自分で自分の体を持ち上げることができないように、自分を褒めることで評判を高めることはできない。むしろ、反対に、自分で自分を褒め上げれば褒め上げるほど、人々の評価は下がるものである。
 (二) 人々の前で自分を褒めても貶してもならない。自分を褒めれば人は信用しないであろう。また自分を貶せば、人々は君のことを、君が言う以上に悪く考えるであろう。だから一番いいのは――自分のことは何も言わないことである。
 (三) 自分のことを柔和だという人は、本当は柔和ではない。自分は何も知らないという人は――実は賢い人である。自分は学があるという人は――ホラ吹きである。黙っている人は――最も賢く、最もすぐれた人である。    (ウエナマ)
……
 (五) 自分で自分を褒める者には、眼中自分のことだけしかない。自分だけしか見えない人間は、むしろ盲目(めしい)になったほうがいい。     (サアディ)
 (六) 人からよく言われたいと思うなら、自分で自分のいいところを並べ立てないがいい。                          (パスカル
 (七) 思想とその表現、すなわち言葉は非常に大事なものである。自分の行為を弁護するために思想や言葉をもてあそぶのはよろしくない。
 (八) 人々が自分のことを話すのに聴き耳を立てる人には、絶対に心安らかなときはないであろう。
 (九) おべっか使いがおべっかを使うのは、彼が自分自身を賤しめ、相手を賤しめているからにすぎない。              (ラ・ブリュイエール
 (十) 好評が欲しいか、せめて悪評を免れたいならば、自分で自分を褒めないばかりか、人にも自分を褒めさせないようにしなければいけない。

(北御門二郎訳『文読む月日』上、255-256頁)


 

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