日本国・第90・96・97・98代内閣総理大臣で、現在某党の憲法改正実現本部の最高顧問を務め、カザフスタンのナザルバエフ大学名誉教授まで(よくは知りませんが)拝命する御仁が、5月9日、「日銀は政府の子会社だ」と発言したそうです。さすが、大学時代、法学部政治学科であるにもかかわらず、必修の政治学の授業に一度も出席されなかったお方です。経済学の授業にもあまりお出にならなかったのでしょうか。日本銀行がホームページで「日本銀行の自主性」について解説していますが、世の常識や素養を欠いたまま一族の七×七×七光りで為政者になってしまった方には、ほとんど意味のないことのようです。
「日銀は政府の子会社」安倍元総理の発言に波紋 | TBS NEWS DIG
日本銀行の独立性とは何ですか? : 日本銀行 Bank of Japan
Dr.ナイフさんのTweetで知ったのですが、2020年2月5日に小川淳也・衆院議員が国会質疑でこんなことを話しています。これは黒川弘務・東京高検検事長(当時)の定年延長が問題になったときの話です。
https://twitter.com/knife900/status/1328660519830450179
https://kokkai.ndl.go.jp/minutes/api/v1/detailPDF/img/120105261X00720200205
(予算委員会会議録 30-31頁)
……少し前なんです、話題になった、これはアメリカの研究者の作品なんですが、『民主主義の死に方』っていう作品があるんですよ。ソフトなファシズムは民主主義の顔をしてやってくるんだそうですね。どれも例外なく、中立機関の人事に踏み込むんだそうです。そして長年不文律とされてきたものを踏み倒すんだそうです。日本で言えば、(内閣)法制局、検察、裁判所、……本来自律的に行ってきたんですよ、この辺の人事は…。健全な民主主義機能を保つために。そこに(安倍政権は)相当踏み込んできてます。
もちろん日銀の総裁人事は検事総長の人事とイコールではありません。しかし、今の黒田氏を選んだのは時の内閣ですから、国会の同意を経ているとはいえ、アベノミクスを唱えて黒田氏を据えた時点で、政府と日銀が「二人三脚」で進むことを宣言したのは確かです。しかし、この「二人三脚」を、この元総理は対等な協力関係だとは思っていない。自分を「立法府の長」と言ってしまうくらいですから、権力分立や政治的中立にまるで関心がないわけです。日銀の総裁を選んだのは自分だから、自分は本社の社長、日銀総裁は子会社の社長くらいにしか思っていないのだろうと想像されます。黒田総裁の方もたぶんそう思ってるから怒りもしないでしょう。これでは円安は止まりません。
かねてよりアベノミクスを「アホノミクス」と批判してきた経済学者の浜矩子さんが、核共有をはじめ、各地の講演会で気勢(奇声?)を上げる(発する)この元総理を、今度は「アホノミクスの大将」と呼んでいます。
浜矩子「アホノミクスの大将率いる軍備増強論者たち ウクライナに便乗する不謹慎さに唖然茫然」〈AERA〉 | AERA dot. (アエラドット)
もちろんこの「大将」は、「中将」「少将」などという軍隊の階級や長の意味ではなく、「旦那」や「マスター」の類いと同様、戯れた代名詞なのでしょうが、小生にとって「大将」は親愛の情と尊敬の念を込めた呼び方なので、この元総理をこう呼ぶのには抵抗があります。とはいえ、当人に「国賊」「売国奴」と呼べるほどの「気骨?」も感じませんし…(愛国でも売国でも、どっちにしても身が危うくなったら「病気」におなりになるでしょうから)。まあ、呼び方はどうあれ、こうした発言を、なおもありがたく拝聴しようと各地で人が集まるのですから、本当にげんなりします。講演会に行くと手当でも出るのでしょうか?
弁護士の郷原信郎さんの解説動画もご覧ください。
【安倍元首相「日銀は政府の子会社」発言の、何がどうトンデモナイのか!?】郷原信郎の「日本の権力を斬る!」#145 - YouTube
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