ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

子ども

「手袋を買いに」

今朝の新聞の書評欄を見ていて、新潮文庫から新美南吉さんの作品選集が出ていることを知りました。新美さんと言えば、何をおいても「ごんぎつね」でしょうが、小生にとって、子どもの頃に読んでとても印象に残っているのは、評者と同じく、「手袋を買いに」…

泉房穂さんへのインタビュー

今朝新聞を眺めていて、ジャーナリストの田原総一朗さんが前明石市長の泉房穂さんにインタビューした記事の後編を目にしました。市長を退任してからメディアでよく見かける泉さん、市長在任中にいろいろと「舌禍事件」が取り沙汰されて話題になりましたが、…

政治の裾野

トニー・ブレア元英国首相の回想録を読み終えて、一国の首相を務めるには、相応の知識はもちろんのこと、不屈の闘志やバイタリティーなど、総じて普通の人間のレベルでは済まないパワーが必要なことを改めて思い知りました。それはおそらく首相とか政治家に…

岸田内閣 雑感

昨日の国会の模様を紹介する記事やTwitter(あっ、今はXとか言うんでしたっけ)などをいくつか見たのですが、予算委員会で質問を受けなければならないのに、「敵前逃亡」するかのごとく、辞職願を出して?委員会をトンズラする法務副大臣とか、まあ、あきれ…

褒めすぎる教育 親切すぎる教育

子どもは(叱るより)褒めた方が伸びるというのが、子育てや教育の「主流」になったのはいつ頃だったでしょうか。一昔前の話をしても、とは思いますが、「スポ根」ものが流行っていた1960・70年代に、そんなことを言う親や教師はごくごく少数だったでしょう…

「#教師のバトン」再論

2021年3月、文科省が人材確保目的で、現場の教員に教師という仕事の魅力を語り継いでもらおうとして始めたものの、結果的に、労働環境の改善を訴える声のリレーになったために、教師の苛酷な労働実態が明らかとなってしまった「#教師のバトン」――今も続いて…

小田原と吉祥寺 夏

今度の日曜に投票日が迫る参院選。今、選挙戦たけなわですが、二つの演説の動画を見ました。短い場面が切り取られたものだということには留意しなければいけませんが、一方には、落胆、他方には、快哉です。 まず、アベシンゾーの元秘書官で、あの千葉県の加…

裁判と子どもたち 二つの記事

昨日「毎日新聞」を眺めていて、社会面の見開きの左右に並ぶ記事に目が行きました。左の記事は、大阪の公立高校教員の長時間労働をめぐる裁判で、地裁は府の責任を認め、慰謝料の支払いを命ずるという画期的判決を伝えています。これには快哉を叫ぶ学校関係…

子どもの生きづらさ

週が明けてからもずっと頭から離れずにいる事件があります。先週末の土曜に東京駅近くの丸の内オアゾで12歳の子が亡くなりました。オアゾは書店の丸善が入っているビルで、以前は毎週のように訪れていた馴染みの場所です。そんな身近なところで、子どもがお…

これは国による「児童虐待」では?

今日は本当に短く。 6月18日付「一月万冊」で取り上げられていた記事が気になっています。 参院選前に内閣支持率が低下・・・岸田総理の弱点は「円安・物価高」だ!しかし、日銀黒田総裁は無力だ・・・日本の貧困が拡大する現実。元朝日新聞・記者佐藤章さん…

ある子ども食堂の写真

今日(こそ)は本当に短く!(笑)。 自民党の下村博文衆院議員が地元の子ども食堂を訪れ、スタッフと一緒に写した写真をTwitterに上げています。区議会議員が実情を視察するために訪れたというならまだしも、彼は衆院議員で党の前政調会長。いわば国政のど…

クワクボリョウタさんのコメント

今日は短く。 新潟県十日町市の美術館を修学旅行で訪れていた中学生が展示作品を壊したことを知って、そう言えば、むかし修学旅行で京都のとある有名なお寺を訪れたとき、生徒が何を思ったのか、コースから外れて立派な石庭の中に入ってしまい、あとでお寺の…

石木ダムの社会科見学で

長崎市の小学校で、子どもが書いた社会科見学の感想文のコピーを、お礼として案内者に送ったところ、名前を伏せたかたちで、案内者の関係するグループのブログに掲載され、長崎市教育委員会が無断でコピーを送った等の理由でこの教員を文書訓告とした、とい…

テキサス州の小学校銃乱射事件

銃社会・アメリカの「病理」と言われる惨劇がまた起きました。5月24日、米国テキサス州の小学校で銃乱射事件が起き、多数の子どもや教員が巻き込まれました。ニューヨーク州のスーパーで10人が死亡した銃による凶行から、まだわずか1週間のことです。 翌25日…

斉加尚代さんの話

昨日の午後、畑で草刈りをしていたら、子どもたちがぞろぞろと下校してきました。4、5人の小学生が道ばたのソテツの周りに集まって何かを探しているようです。何だろうと思いながら、遠くで様子を見ていると、どうやらお目当てはトカゲ(カナヘビ)のようで…

教育の「不確実性」

教育社会学者の広田照幸さんの新刊が出るようです。それにあわせて、ほんの「味見」程度ですが、一部がネットで公開されています(2022年5月9日付更新の「ちくまWeb」)。そもそも「教育」とは何か? 3つのポイント「意図的に」「他者」「組織化」|ちくま…

「他人に迷惑をかけない」という「美徳」

毎日新聞に連載されている「私が思う日本」という外国人記者によるリレー・コラムを興味深く読んでいます。今回は朝鮮日報の崔銀京・記者が、日本の美徳とされる「他人に迷惑をかけない(ようにする)」という美徳とその変化について、「好意的」な記事を書…

2022年の「希望格差社会」

学校教員が子どもの人気職業の上位でなくなってからだいぶたちます。進研ゼミの調査では、今の小学生の人気職業は、1位がユーチューバー、2位は漫画家・イラストレーター・アニメーターで、学校の先生は7位だそうです。 https://benesse.jp/juken/202112/202…

学校部活の地域移行

去年の今日は1986年のチェルノブイリ原発事故から35年ということを書いたのですが、まさか1年後の2022年、ウクライナがこんなことになるとは、夢にも思いませんでした。一刻も早い停戦を祈るばかりです。それとは別に、今日は短く。 むかし若い先生とお酒を…

「個性重視」と言いながら…

日本社会は個性を尊重しない、個性を押し潰す社会のように言われてきました。学校はその元凶のように見られがちです。そこでむかし働いていた人間としては不本意ですが。 「天才ドラマー」と言われる(詳細はわかりませんが)相馬よよかさんのことを紹介した…

18歳で引退覚悟 内田舞さんの記事

むかし学校にいた頃、女子生徒が何人も「もう年だから…」とか「わたしババアだから…」と自嘲しながら話をしていました。最初は「おいおい」と思いながら笑って聞いていました。軽いランニングをした後、廊下の雑巾がけをした後など、ちょっとしたことでもす…

15のとき

皇室スキャンダルに加担するようで嫌なのですが、去年の3月、北九州市の「第12回子どもノンフィクション文学賞」の佳作に選ばれた秋篠宮悠仁さんの作文に、すでに発表されていた他の文章と酷似する箇所があると指摘されています。誰が気がついたのか知りませ…

「報道特集」教員の“ブラック勤務”問題 を見て

昨日のブログで、教員に授業評価をするよりも、休ませた方がいいと書きましたが、夕方、TBSの番組「報道特集」で「教員の“ブラック勤務”問題」を見ました。違法な長時間労働のことを「ブラック」と呼ぶ「語法」には違和感もあるのですが、他の職業も同じ問題…

大阪市の授業評価のこと

大阪市ではこの4月から市立の小中学校の若手教員の授業評価を始めるそうです。若手教員の授業を数値で評価へ 大阪市教委、子どもにはアンケート:朝日新聞デジタル「大阪市って全国学力調査やったら、全科目で全国平均を下回ってるんだってね。」 「そうなん…

事件報道雑感

何か事件が起こると感じることですが、メディア報道にはある種のストーリーに乗せたがる傾向があります。まずは善人と悪人の区別です。多くの人はそのどちらでもあるし、どちらでもないような「ふつうの人」だと思うのですが、メディアはそういうのを好みま…

「世の中、最後は金」の続き

ドイツの哲学者にシュプランガーという人がいるのですが、どういうことに優先的な価値を感じるかで、人間を6つのタイプに分けています。順に挙げると、理論的人間、審美的人間、経済的人間、宗教的人間、権力的人間、社会的人間の6つです。これ、おもしろい…

「東大刺傷事件」のこと

今日は短く。 何か事件や事故が起きるたびに、また、そういうニュースを知るたびに、その1日前は平穏な日常だったはずなのに、と思います。トンガ沖の火山の噴火もしかり、連日の火事や交通事故のニュースもしかりです。車を運転する前など、必ずそのことが…

子どもと若者の性教育のこと

ネットの記事を眺めていて、あとで読もうと思い「拾って」おいた「性教育」の記事(論考)を昨日読みました。フェミニズム研究者の清水晶子さんによる、昨年、2021年3月2日付の記事です。 日本の性教育の転換期に考える、真にヘルシーな性教育とそれがもたら…

「親学」と「誕生学」のこと

再来年の2023年度に創設される「こども庁」の名称を「こども家庭庁」に変更することになった件は、12月8日、自民党が開いた青少年健全育成推進調査会の講演で、かねてより「親学」を唱えている高橋史郎氏が、「こども庁」を「こども家庭庁」に改めるべきだと…

「子ども家庭庁」という名称

「親がなくても子は育つ」ということわざがある。子どもというのは自分の力と周囲の助けで何とかやっていくものだ(だから、あまり心配しなさんな)と、子どもの行く末を心配する親への励ましというか、心の持ちようを説いた言葉だと受け止めてきた。しかし…