ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

「東大刺傷事件」のこと

 今日は短く。
 何か事件や事故が起きるたびに、また、そういうニュースを知るたびに、その1日前は平穏な日常だったはずなのに、と思います。トンガ沖の火山の噴火もしかり、連日の火事や交通事故のニュースもしかりです。車を運転する前など、必ずそのことが頭をよぎり、安全運転、安全運転と自分に言い聞かせながら発車しています。

 1月15日に東京大学農学部の正門前で起こった傷害事件にも同じことを感じます。被害にあった側はもちろんですが、事件を起こした少年の家族や少年が通う高校とその関係者も、突然世界が一変して、当惑し、苦しんでいると想像します。小生もむかし学校で働いていたので、もし、自分が関係する学校職員だったら…と考えてしまいます。

 しかし、少年が通う高校が今回発した事件についてのコメントには、強い違和感を覚えます。急場につくった「声明文(謝罪文?)」であることに同情はしますが、こういう内容の文章を公表する学校(教職員)の感覚を疑います。

【コメント全文】「孤立感にさいなまれ引き起こされたと思われる」東大前で受験生ら刺傷 逮捕の少年通う高校 | 東海テレビNEWS

 まず、これは誰に対して向けられるべきコメントなのでしょうか。「受験生の皆さん」とあるので、今回の大学共通テストを受験した全ての受験生に向けたものかと思いましたが、「……保護者・学校関係者の皆さん」と続くので、あれっ?と思いながら、読み進めていくと、どうも対象は、自校の生徒や保護者、関係者のようだということがわかります。

 そして、より首をかしげたくなるのが、「2.今後の再発防止策として」です。事件の直後に「再発防止策」とは何のことかと思いますが、こういうことを即座に発表しないと「再発」する危険があるということなのでしょうか。しかし、読んでみると、「(教職員が)手を差し伸べる」以外に特に何か「策」が記されているわけではなく、小生にはほとんど「言い訳」にしかとれないような内容です。
 事件の背景分析のようなことも書かれています。コロナ禍の影響はもちろんあるでしょうが、そもそも事件を起こした少年に聞かないと分からないような話を、どうしてこの段階で一方的に書けるのでしょう。

 「日刊ゲンダイ」も1月18日付の記事でこう書いています。

(3ページ目)東大刺傷事件で逮捕された少年は医学部志望 “神童”でも苦悩しもがく超難関校の過酷|日刊ゲンダイDIGITAL

少年が通っていた学校は、次のコメントを出している。
<「密」をつくるなという社会風潮のなかで、個々の生徒が分断され、そのなかで孤立感を深めている生徒が存在しているのかもしれません。今回の事件も、事件に関わった本校生徒の身勝手な言動は、孤立感にさいなまれて自分しか見えていない状況のなかで引き起こされたものと思われます>
 コロナ禍で悩みを抱えた生徒の孤立感があったというが、少年の心の闇は誰にもわからないだろう。

 同感です。医者になることを目指していた人間が、人を傷つけてしまうのです。この少年にとって「医者」になるとは、どういうことだったのでしょうか。この少年個人の問題としてだけでなく、社会の問題としても考えなくてはならないと思います。学校も同じです。




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