ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

W杯サッカー ドイツに勝利すれど……

 カタールで開催中のW杯サッカーでサウジアラビアがアルゼンチンに勝って「おーっ」と思いましたが、今度は何と日本がドイツに勝ってしまいました。もし、ドイツに勝てるとしたら初戦しかない、チャンスはあるかも、くらいには思っていましたが、本当に勝つとは、驚きです。
 人気スポーツのサッカーゆえに、始まる前からだいぶ盛り上がっていましたが、NHKが昨日(23日)昼のニュースのトップで、「今晩いよいよドイツ戦」と伝え、試合の始まる22:00の3時間も前から特別番組を組んでる様には呆れました。サッカー好きは多いけれど、公共放送が一緒にはしゃいでしまうのは、どうなのかと思います。
 特に、今東京オリンピック汚職の捜査が進み、国家的行事としてスポーツイヴェントを催行することの意味が問われているのですから、NHKは公共放送としてそれなりの距離感をもって報道しないといけないと思います。ドイツでは、人権問題などから今次のカタール大会には批判の声が強く、恒例だったパブリック・ビューイングが中止されたようです。こういう情勢がドイツ選手の士気にも影響しているのでしょうか。
 以下は、11月23日付時事ドットコムの記事。
氷点下のW杯サッカー、熱気乏しく 人権重視しボイコットの動き―ドイツ:時事ドットコム

 英紙ガーディアンによると、カタールではスタジアム建設などに従事した外国人労働者6500人以上が、過酷な労働で死亡したとされる。同性愛が違法で厳しい刑罰の対象となっているカタールの現状に抗議するため、選手が性的少数者(LGBTなど)を支持する虹色の腕章を着用して試合に臨もうとし、主催者側に禁じられる一幕もあった。
 独公共放送ARDの世論調査によると、56%が今大会を「全く見ない」と回答。理由の1位(50%)は「サッカーに関心がない」で、2位(41%)が「人権」だった。ドイツではW杯期間中、国旗が車や家に飾られるのが常だが、今回はほとんど見られない。
 一方、大会を政治的主張の機会と捉える風潮に批判的な向きもある。西部ミュールハイムのスポーツバー「ラウホファング」の店主の男性は、取材に「多くのファンはボイコットにいら立っている。過度な政治化はスポーツの楽しみを奪う」と苦々しげに語った。

 11月24日付朝日新聞にもこうあります(年齢は省略しました)。
ドイツのバー、立ちすくむファン「一緒にトーナメントに上がれれば」 - サッカーワールドカップ(W杯):朝日新聞デジタル

サッカーワールドカップ(W杯)カタール大会で23日、日本と対戦したドイツチームを応援するため、ベルリンのスポーツバーには大勢のファンたちが集まった。サッカー大国ドイツにとってはまさかの敗戦で、日本が立て続けにゴールを奪うと、「信じられない」という表情で立ちすくむファンも。一方で、記者に握手を求めたり、親指を立てて祝福するファンもいた。
 「3対1」でドイツが勝つと予想していたツアーガイドのシュテファンさんは「特に後半はとても興奮するゲームだった。ドイツも頑張ったが、日本はさらに上だった。ドイツは準備不足だった。日本と一緒にトーナメントに上がれればうれしい」と話した。
…………
 カタールでの外国人労働者の人権問題や性的少数者への非寛容な態度から、ドイツでは大会開催を批判する人が多い。
 過去の大会で各地で催されてきたパブリック・ビューイング(PV)は相次いで中止になり、テレビ中継を流さないバーもたくさんある。
 学生のマイヤーさんは「批判は大事だが、政治的な理由で放送を見せないというのは残念なことだ」と話した。
 ツアーガイドのシュテファンさんは「私自身は試合を見たい。このバーはとても国際的な雰囲気で、誰もがサッカーを楽しんでいる」と話した。

 「日本と一緒にトーナメントに上がれればうれしい」という言葉には品のよさを感じます。これはNHKではなかったと思いますが、試合前に相手国のドイツの街頭で日本との試合についてインタヴューする映像をいくつか見たとき、ある女性の応答にも感心しました。この方はサッカーをよく観戦する人のようですが、日本人選手で誰に注目していますかと訊かれて、(アイントラハト・フランクフルトで活躍中の)鎌田大地選手だと答えた彼女は、続けて「でも、鎌田選手に何点とられても大丈夫、ドイツがそれより1点だけ多くとるから」(大意)と笑顔で答えていたのです。こういう答えを自然に返せる人が日本にいないとは思いませんが、メディアがスポーツの大会に子どものようにはしゃいだり、あるいは、立場のある人が内輪では失言暴言、公式の場では人の書いた作文を読み上げたりする「文化」では、こういう人は確実に減るだろうなと思います。





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