今朝の毎日新聞9面に「論点 殺傷武器の輸出解禁」をめぐり、3人の識者のコメントが掲載されていますが、これは9条に基づく「平和国家」の否定、実質的な「改憲」に行き着くとした小野塚知二さんのコメントに心より賛同します。これは多くの方に読まれるべき内容だと思い、引用します。
論点:殺傷武器の輸出解禁 | 毎日新聞
……戦後日本は「武器輸出三原則によって武器を輸出してこなかった」というのも誤解だ。金額ベースでみれば2000年代まで世界上位の武器輸出国だった。民間用の小火器や弾薬類は防衛装備品ではないため大量に輸出され、精密切削や複合材料といった軍民両用技術の送出国でもあった。
では武器輸出三原則は無意味だったのか。決してそうではない。日本経済が武器の生産と輸出に依存しないよう歯止めをかける意義があった。
だが、三原則は11年に民主党の野田佳彦政権が例外を設けて穴が開いた。14年に第二次安倍晋三政権が防衛装備移転三原則に改定し、輸出規制を緩和した際、一定の制約として「5類型」が導入された。
世界的に見れば、5類型を特別視するのは日本くらいのものだ。武器とは本来、殺傷や破壊を目的とするものだけに限らない。ミサイルを搭載していない戦闘機、魚雷を積んでいない潜水艦も当然武器である。レーダーやソナー、運搬手段なども直接的な殺傷や破壊機能はないが。戦闘機や潜水艦と結びつけば殺傷・破壊能力を発揮する。だから、5類型に制限する根拠は防衛装備移転三原則と運用指針に明文で示されてはいない。
それでも、5類型の制約は無意味ではない。むしろ重要な意義がある。なぜなら、殺傷能力のある武器の輸出を制約してきた根拠を突き詰めれば、憲法9条に行き着くからだ。改憲派の安倍政権ですら世界の常識に反して直接的殺傷能力の有無にこだわらざるを得なかったのは、9条が国民に定着し、国際的にも普遍的価値を持つがゆえである。
つまり、5類型の撤廃は実質的な改憲への一歩を意味する。殺傷能力のある武器輸出を認めれば、日本が戦後一貫して掲げてきた平和国家の理想を捨て、東アジアをはじめ海外からの信用を傷つけることになる。それは日本の安全保障に負の影響を及ぼす。……
……政府が武器輸出の拡大に前のめりなのは、経済の行き詰まりの結果に他ならない。だが、武器輸出で経済成長を目指すのは1930年代の古い考え方だ。日本が目指すべきは、国内の消費が伸びて発展する消費主導型経済への転換である。ところが、武器の開発や輸出は投資主導型だ。国が公共事業として投資し続け、赤字国債が増える。潤うのは一部の防衛産業だけで、民衆の豊かさにはつながらない。
経済成長と安全保障の両面で、武器輸出の拡大は愚かな選択である。
紙面では、小野塚さんの隣にコメントが掲載されている杉原浩司さんは、1976年に三木武夫首相が武器輸出を事実上全面禁止した当時、宮沢喜一外相による「わが国は武器の輸出をして金を稼ぐほど落ちぶれていない。もう少し高い理想を持った国であり続けるべきだ」との答弁を引用しています。
それから半世紀。「強い国」を希求する高市政権の日本は、ずいぶんとかけ離れたことをしようとする国になったものです。
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