ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

トランプ先生の総合的な学習の時間 6

 今日はTHE 戯言です。

 生徒:最近ルーム長の石破くんがいつも窓際に座ってるね。どうしたのかな?
 生徒:君、知らないの? 石破くんは先月ルーム長を辞めたんだよ。
 生徒:えっー!? 何で、何で?
 生徒:衆院選、都議選、参院選で計3回負けたから「スリーアウト・チェンジ」なんだってさ。
 生徒:それって別に石破くんのせいだけじゃないと思うんだけど。組織のトップに立つって大変なことなんだね。じゃあ、新ルーム長を決めなきゃぁ。
 生徒:もう決まったんだよ。
 生徒:えっ、誰に?
 生徒:高市さんだよ。
 生徒:まじ!?
 野田:むかしは革ジャンでバイクを乗り回してたなぁ。
 ラサール:それに、モデル気取りで、TV局内のスタジオをくねくねしながら歩いてたっけ。
 生徒:塾に入って勉強してから、箔付けにアメリカに行って、帰ってきたんでしょ。
 生徒:へー、じゃあ英語はペラペラなんだ。
 生徒:それがさぁ……。
 生徒:3日前に英語でスピーチしてたの見たけど、「スィフィック オーシャン」とか読んでたなぁ。
 生徒:それってアクセントが変だってこと?
 生徒:和製英語にしたって、ちょっとレベルが違いすぎるって話でさぁ。
 生徒:高市さんは自称保守主義者なんでしょ。日本人なんだから日本語で話せばいいじゃん。無理に英語でスピーチして、馬脚を見せちゃしょうがない。
 生徒:で、本人はどこにいるの?
 生徒:もうすぐ、トランプ先生と一緒に来るでしょ。

 トラ:ハロー、エヴリワン。
 生徒:ほらほら、噂をすれば……。
 生徒:せんせー、今日は遅出ですね。
 トラ:今まで校長室で高市くんの認証式をやってたものでね。
 生徒:「認証式」? たかがルーム長なのに大げさなんですね。
 トラ:何を言うか。高市くんは史上初の女性のルーム長。彼女こそ、ウイナーだ。
 高市:きゃー、せんせー、ありがとうございまーす。イェーい。 
 生徒:おいおい、はしゃぎ過ぎだって。何でこぶしを突き上げてんの?
 生徒:「史上初」って、うちのクラス、遅れてんなぁ。
 生徒:「ウィナー」って何? 「女性初」だから?
 生徒:単なる世辞だよ。前日にグラタンとビフテキでおもてなしを受けた先生の「お返し」だろ。
 生徒:豪華な食事に対し、リップサービスで返したと
 トラ:こらこら、私語はやめなさい。これから、 高市新ルーム長の所信表明を聞くことにしよう。
 生徒:ひえー、またまた、大げさな……。

 高市:えー、みなさん、私は、日本人であるみなさんの底力を信じてやみません。今の不安や未来への不安を必ずや希望に変え、強いクラスをつくり、再び世界の真ん中で咲き誇る日本となれるよう頑張ります。そのため、私自身もワークライフバランスは捨て去り、みなさんにも馬車馬のように働いてもらいますんで。
 生徒:別に世界の真ん中で咲き誇らなくてもいいよー。
 高市:そんな志の低いことでどうするんですか。あなた、日本人でしょ!
 生徒:いやぁ、だって、年中アメリカに媚びまくってる日本が「世界の真ん中」で、しかも「咲き誇る」ってことはないでしょ?
 生徒:それに馬車馬のように働かされるのも、いやだなー。
 高市:国家と国民のために尽力して、強い日本となり、世界のてっぺんで輝く――日本人としてこんなに誇らしいことはないじゃありませんか。
 生徒:いやいや、そんな強くなくていいですよ。僕らは一日一日が平和で、仕事や勉強が普通にできて、そこそこ食べられれば十分なんですから。
 生徒:それに日本人、日本人って、別に日本人だろうが、外国人だろうが、みんなが平和に暮らせればそれでいいじゃないですか。何で世界のてっぺんで輝く国でないと満足できないんですか。それで猛烈に働いて、また過労死する人が出たら、何のための輝きなんですか? 
 生徒:高市さん、最初から飛ばし過ぎだよ。もう少し抑えていこうよ。
 高市:いいえ、私が強いリーダーシップを発揮しないと、力強い経済政策も、力強い外交も、力強い安全保障政策もできません。それでは諸外国から日本国が軽く見られかねません。日本とこのクラスの再生のために私は身を粉にして働くつもりです。
 生徒:だから、力み過ぎなんだってばぁ。「強い日本」の再生って、何するの、いったい?

 トラ:まだ話の途中だったな。もう少し、高市くんの話を聞こうじゃないか。
 高市:せんせー、ありがとうございます。イェーい。まず、防衛費を含む安保関連費を国内総生産(GDP)比で2%、またはそれ以上に引き上げ、これを前倒しようと考えますが、いかがでしょうか、トランプ先生?
 トラ:君はなかなか気が回るねぇ。実にいい考えだ。3.5%なら、なおいい。
 生徒:ちょっと、ちょっと、こんなところで二人で決めないでください。
 生徒:予算を増やしたってまたアメリカ製の武器の購入に浪費するだけでしょ。もう、トマホークのお古はいらないよー。
 生徒:武器なんか爆買いしても、肝心の日本の兵力というか、自衛隊の隊員数は必要数を全然満たしてないんでしょ。どうするんですか。本末転倒ですよ。
 生徒:武器よりコメだよ。新米が入ってきたのに全然コメの値段が下がらないんだよ。そっちを何とかしてよー。
 高市:わかってます。それから防衛装備品移転の規制も取っ払います。
 生徒:「防衛装備品」とか「移転」とか、要するにそれって「武器輸出」のことでしょ。そうやって妙な言い換えでごまかすのはやめてよ。
 生徒:日本は戦争をしないし、他国の戦争にも加担しない。だから武器は輸出しないって原則があったのに、それをないがしろにして。兵器関連産業の歓心を買って、それで「強い日本」って、高市さんは軍需産業を強くしたいんですか?
 高市:それは「強い日本」の一部分にすぎません。やはり焦点は経済全体です。私は積極財政により「強い日本経済」を取り戻します。
 生徒:積極財政って、要するに国債で歳出を増やすんでしょ。借金は増えるし、ばらまきは疑問だって声が強いけど。
 高市:金融政策にも一言あります。金利を今あげるのはアホやと思います。日銀の政策は日銀自身に委ねられるべきとしても、政府の方針とある程度歩調を合わせてもらわないとうまくいきません。
 生徒:逆に、今金利を下げるのは世の趨勢に逆行してるよ。また総裁を黒田さんに戻すつもりなの? やめようよ、アベノミクスの猿真似は。
 高市アベノミクスとサナエノミクスはちがいます。三本目の矢である成長分野の重点投資先は「半導体、AI、量子、宇宙、サイバー分野」と、国家主導産業ですし、アベノミクスよりも具体的かつ明確です。
 生徒:どれも現状では日本が世界から後れをとっている分野のように思えますけど。今から投資して、先行国を追い越し、成長を支える産業になるんでしょうか。結局、アベノミクス以上に借金を増やし、円安をさらに助長するだけで、国債が暴落する最悪の事態だってあり得ます。
 高市:大丈夫、大丈夫、そうならないように備えるのが、私の役目です。「サナエあれば憂いなし」ですから。
 生徒:「サナエはしゃいで憂いのみ」じゃないのー。
 トラ:こらこら、陰口はいかん。発言するなら、立って堂々と言いなさい。
 生徒:高市ルーム長は、いつも笑顔ですが、昨日、中国の習くんと首脳会談したとき、習くんは握手しているときも全然笑ってなかったですよね。高市ルーム長も笑顔が消え、表情に緊張が走っているように見えましたが。
 高市:そんなことはありません。いつも私は笑顔を心がけていますから。スマイル、スマイル……。
 生徒:わざとらしくて不気味だなぁ。
 生徒:トランプせんせーも、先日習くんと会談をされたようですが、せんせーが笑顔で握手を求めてるのに、習くんは全然表情を変えないので、せんせーの(つくり)笑顔が戸惑いの表情にかわりましたよね。
 トラ:相手の方も会談には緊張感をもって臨んでくるから、そういうこともあるだろう。
 生徒:実はせんせーも相手が習くんだと、高市くんみたいに気楽に対応できないんじゃないんですか?
 トラ:どういうことかね?
 生徒:だって、先生がまた気まぐれで習くんに関税率を100%に引き上げるなんて言ったせいで、中国からおたくにはレアアースは売りません、大豆も買いませんと言われて、アメリカ国内から不満が出るし、会談の成果は10点満点で12点なんて言ってたけど、実際は中国に譲歩をして、やっと1年間だけレアアースを輸出してもらえることになったんでしょ。これでレアアースを持ち出せば米国は中国に逆らえないことが白日の下になったわけですよ。日本との交渉とは全然旗色が違うでしょ。
 トラ:これは時間をかけた交渉途上の出来事で、評価するのはまだ時期尚早だ。
 生徒:とか何とか言っちゃって、帰国すれば、またみんなからTACO*だって揶揄われちゃいますよ。
*Trump Always Chickens Out(トランプはいつもびびって退く)
 高市:そんな。トランプせんせーに失礼ですよ。
 生徒:高市R長だって、頭文字が一緒だからTACOⅡって言われてもおかしくないよ。
 高市:私の場合はalwaysじゃなくてoftenくらいだから、TOCOです。
 生徒:どっちも大差ないだろ(笑)。
 生徒:TACOとTOCOかよー。あーもー、石破ルーム長の時代が恋しいよ。
 生徒:さあ、石破くん、窓際で物思いにふけってないで、もう帰るよー。
 石破:これは、これは、みなさまからお誘いをいただいて、恐縮です。
 生徒:この先、石破時代が「令和の中興」なんて言われる時代が来るんかなぁ。
 生徒:ほんと、ほんと。
 石破:は? 何のことでしょうか?
 生徒:何でもないよ。ますます嫌な時代になってきたなってこと。




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