ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

小川淳也さんの「千本ノック」

 小川淳也衆議院議員の動画「千本ノック」を見ている。小川さんが一般からの素朴な質問に答えるシリーズで、まあ、まったく選んでいないわけではないと思うが、基本的に寄せられた質問に逐一答えるスタイルをとっている。
 「八方美人」でいた方が議員としては有利だと思うが、敢えて「リスク」を負って国民と対話し、自らを鍛えようという姿は、むかし高校野球をしていた小川さんのこと、確かに「千本ノック」を受けるイメージなのかもしれない。

 3月23日付の92本目の質問は「一部の人にみられる共産党絶対拒否の理由は何でしょうか? その背景には何があるのでしょうか?」—―これは「野党共闘」とかいうレベルでなくとも、政治世界に少しでも関心のある人にとっては、素朴に感じる疑問だろう。しかも、誰が答えても、波紋を広げそうで、綱渡り的な要素満載である。小川さんはどう答えるのだろうか? 大変興味深かった。

 以下、字幕から引用。

https://twitter.com/junyaog/status/1374258687745748996

……他党のことですから、さすがに私も言及は、極めて慎重に、丁寧にと思います。
いわゆる「野党共闘」で議論になるのが、天皇制の問題、それから日米安保の問題、そして、自衛隊の問題、これはあります。
加えて、たとえばソ連崩壊以降、共産主義に対する違和感を特に感じられる方もいらっしゃるかもしれません。
そして、私にもある種の偏見があったんですが、一党独裁の政治体制とかつての共産主義は結びついていましたし、今も中国がああいう状態ですので、こういうことへの警戒感、というのもあるかもしれません。
それこれ含めて、共産党さんも自己改革を進めておられ、そして私どもも、不断の自己改革を進め、大事なことは互いにリスペクトすべきだというのが私の基本的な立場なんです。
それ以上に、共産党さん、間もなく結党から100年なんですね。自民党ですらまだ60年たってないはずです。いや、60年ちょっとかな? 立憲民主党にいたっては4年ですから、結党から。もっとも日本で歴史と伝統ある政党。そして、私が最大のリスペクトをするのは、あれだけ独裁政治、抑圧的大政翼賛会、そして、どの政党も、どのメディアも、みんなで戦争を推し進めたときに、あの弾圧に耐えて、反戦を訴え続けた唯一の日本の組織(政党)だと思います。このことにも大変なリスペクトを私は感じています。
そのうえで、資本主義も見直すべきだと思いますし、それ(オルタナティブ)が共産主義かどうかは別として、そして、さまざま、柔軟にお考えいただいているところもある。真摯に話し合って、とにかく今の自公政権の(代わりの)受け皿になる。ウィングの広い野党の、重要な一角を占めていただく。そういうポジションにいらっしゃる皆様として、敬意をもって対話に努めていきたい、そういう風に感じてます。


 前半の質問に対する答えよりも、後半の「野党共闘」に対する思いの方が強く出てしまった印象はある。しかし、事実に反する毀誉褒貶はなかったように思う(たぶん……)。もし、付け加えるとすれば、アベなどが懲りもせずにたびたび口にする「共産党による暴力革命」のイメージが、特定の世代ではなお根強いのかもしれない。とはいえ、「共産主義革命」と称されたロシア十月(十一月)革命からは100年以上、60年代70年代の大規模な学生運動が下火になってからでも半世紀になる。いつまでそういうことにしがみついて生きているのかと思う(これは小生みたいなズレた年長者の意見)。
 70年代生まれの小川さんは、こういう頑ななイデオロギーにとらわれる世代ではないし、とらわれるべきでもない。

 「野党共闘」の是非はともかく、国民全般に自分たちの乗っている船は大丈夫か、「泥船」じゃないよな、くらいの疑念があれば、自公政権とはいえ、ここまで政府は腐敗していないと思うし、この点で、「桜を見る会」にしても、日本学術会議の会員任命の件にしても、現在の共産党の議員諸氏が随所で “いい仕事” をしているのは事実だ。

 それにしても、……だ。今日とうとう「聖火リレー」が始まろうとしている。この愚行、何とかならないのだろうか。



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