ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

一度めの「悲劇」、二度めの「茶番」

 立憲民主党泉健太代表がラジオ番組で、夏の参院選共産党とは距離を置く姿勢を示した、という新聞記事を見ました。話の前後も知りたいと思い、インターネットで探したところ、程なく動画を見つけました。これはラジオ局のスタジオというかブース内を撮影したものなので、音声だけでなく話し手の表情までよくわかります。

 以下、昨日1月29日午後、「ロンドンブーツ1号2号田村淳のNewsCLUB」(文化放送)より一部を文字に起こしてみます(26分頃から)。

【田村淳のNewsCLUB】ゲスト:泉健太さん(2022年1月29日後半) - YouTube

 田村参院選、近いじゃないですか。野党共闘というのがまたあるのか、そのあたりはどう考えてるんですか?
 野党共闘」というのはもともと立憲民主党の考え方にはないことで、「野党連繋」というのが枝野さんの言い方だったんですけど、今の政権と替わるものを目指すために、いろんな人たちや勢力と一緒に戦うということはあり得ることで、戦い方もいろいろな戦い方があり得るので、そういうのはこれからも続いていくと思うんですけど、立憲民主党は、この間の選挙では、いろいろなところと手を結ぶ話にばかりなってしまって、そもそも立憲民主党はどこにベースをおいた政権をつくろうとしているのかがわからなくなってしまったと思うんですね。
 田村どこと手を結ぶかばかりがクローズアップされてしまって…。
 そうなんです。立憲民主党の党の綱領を改めて読み直してみると、自衛隊は当然の存在だし、日米安全保障条約も当然だし、皇室制度も引き続き維持をしていくので、その範囲内で政権を目指すということは明確にしなければならなかったのに、そうでない人たちと一緒にやりますということになってしまうと、そこから導き出される政権がどんな政権になるのかわからなくなってしまう。あくまで政権の枠組みはこうです、でも、政権には入らないけれども、選挙で一時的に、この選挙区であの人は出ませんとか、そういう調整があるとか、そういうのはあり得ますということを明確にして、立憲民主党はあくまで自分たちの綱領、基本政策を前提にしていろいろな政党との関係を整理しますということが大事で…。どの党というところばっかりになっているので、立憲民主党というのはこういう政党であるということを自覚することだと思いますね。
 田村共産党さんがそこに入ってくるので、考え方がまったくちがうのに連繋するというところに話が行きがちじゃないですか。そこがもったいないなと思うんですけど…。選挙の時しか手を組みませんと、なぜなら手を組まないと、完全に自民党さんに持って行かれるからっていうところを、全部広げてというか可視化して、しゃべってもいいんじゃないかという気がするんですけど。
 共産党さんが立憲民主党系の政権と自民党の政権と、どちらがいいかと言うときに、それだったら立憲民主党系の方がいいよね、ということで自主支援というか、そういうのは共産党さんの考えとしてあり得ると思うんですが、立憲民主党としては、自分たちの政策と合うメンバーで勢力をつくると。そこは僕は国民民主党とやるのが最初だよねと思うので。共産党さんの方は今はその枠の中にはないと、我々の考え方とはちがう政党なので。
……
 田村国民民主は、立憲民主の中に一緒にやってた人が多いということですけど、都民ファと組むんじゃないかという話があるじゃないですか。そうなると、立憲民主がそこにどういう形で入っていくか、というのは、存在感示すのがまた難しくなるように思うんですけど
 国民民主は、僕もそこにいたことがある人間として、今現職の仲間たちを当選させなければならないということで、特に東京において都民ファーストとブリッジをつくりたいという思いがあると思うんですね。一方で、全国各地には都民ファーストというのはないんで、そういうところでは別の形の連繋を考えなければいけないということだと思うので…。

  率直な印象として、公党の代表者が他党に対して「自主支援」したければ(勝手に)どうぞなどと、よくそういう心ない偉そうなことを言うなあと思いました。公党同士は、数や規模の違いはあっても、対等であって、そこに互いの敬意のない、「上下」や「主従」の関係はありえないでしょう。党の綱領とか基本政策が相容れなくとも選挙協力はできるでしょうが、いくら一時的であっても、信義が欠けたら協力関係など成りたちません。ひょっとして、泉代表は決別(したい)宣言のつもりで話したのでしょうか。

 夏の参院選は結果次第では憲法改定が現実化しかねない重要な選挙です。野党第一党立憲民主党にも共産党にも議席を増やしてもらいたいと思っていますが、「護憲派」のはずの政党の代表がこうした認識では、暗雲が立ちこめてきます。
 敦さんは、自民党という大きな政党の中にも右派・左派があって、立憲民主党が何か言っても、いや、それ自民党の中にもそういう考えの人がいるので、全部自民党でやりますって言われたら、「だったら、別に自民党に任せておけばいいんじゃね」って話にならないですかねと言ってましたが、現在の泉・立憲民主党の向かっている先はまさにこれでしょう。このままでは「希望の党」のときの再演、二番煎じを見ることになりかねません。その結果は、一部は新しい自民党入党希望者となって自民党側に吸収され、他方で、さらに極小化し、党名を変えた「ニュー立憲民主党」が生まれるのでしょう。リベラルは一段とまた痩せ細るわけです。マルクスの「ルイ・ボナパルトブリュメール18日」ではないですが、一度めは「悲劇」、二度めは「茶番」でしょう。笑う気になど、とてもなれませんが…。







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