ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

衆院選挙は自民党が勝つまで毎年やるってか?

 石破政権、大ピンチですね。昨日の自民党両院議員総会で、党四役から辞意表明がなされたことで、石破さんが一人だけ完全に宙に浮いたかたちです(ちなみに木原選対委員長ってまだやってたんですね。参院選大敗の責任をとって、まず一番先に辞めたと思っていたのですが、これは率直に言って驚きましたね)。石破さんもとうとう「しかるべきときに(辞任を?)決断する」と言わざるをえなくなってしまって、総裁選の前倒し=「石破おろし」推進派には、「よし、よし」ってところでしょうが、自民党のこのゴタゴタぶりを世間の人たちはどういう眼で見ているのか。
石破首相、進退巡り「しかるべき時に決断」 自民両院議員総会で | 毎日新聞
自民 参議院選挙総括素案 敗因分析で物価高対策など9つの要因列挙の方針 「解党的出直し」明記の方向で調整 | NHK | 参議院選挙

 参院選の総括の結語に出てきた「解党的出直し」というフレーズなど失笑ものです。自民党は「一丁目一番地」というフレーズも大好きで、そこら中に「一丁目一番地」がありますが、同様に、何度でも「解党的出直し」のきく政党のようです。いっそのこと今度は一思いに「解党」されて、出直しした方がよろしいんじゃないかと思いますけど。一般有権者にとっても、その方が、参政党・保守党に近い右派系と、そうでない系とにはっきり線引きができて、わかりやすい感じです。もっとも、それだと政権党でいられる数の裏付けを失って、野党と「同等」になってしまうので、そこは譲らず(我慢して?)、わが党は「(イデオロギー政党ではなく左右両方から広く支持される)国民政党」だと言い張るんでしょうけど、実際には、企業献金(合法的賄賂)と(宗教勢力の)統一教会公明党から選挙支援をしてもらわないと成り立たないような政党に成り下がっているわけです。

 今朝の毎日新聞一面の「余録」には蒋介石の言葉が引かれていました。
余録:「規律を守ることに優れ… | 毎日新聞

規律を守ることに優れ、研究心旺盛で、命令完遂能力が高い半面、視野が狭く、国際情勢に疎く、長期持久戦には弱い」。日本留学経験のある蔣介石は日本軍の長所、短所をこう捉え、消耗戦に引きずり込んだという(小林英夫著「日中戦争」)▲戦後80年。焼け跡から高度成長を遂げ世界有数の経済大国になったものの、バブル崩壊以降の「失われた30年」でその維持に苦労している。長期戦略を欠く弱点の克服は簡単ではない▲攻撃精神に欠け、研究不足。共同作戦が苦手で軍民のつながりが希薄。こちらは中国側の弱点という。海洋進出にこだわり、人工知能(AI)など先端技術の導入にも貪欲な今の中国軍を見ると、ずいぶん変化が進んだと思わされる▲習近平国家主席が最先端の軍備をアピールするという。きょう北京で行われる「抗日戦争勝利80年記念」の軍事パレード。「世界の平和と安寧を維持する強大な能力を示す」というスローガンとは裏腹にきな臭さもある▲ウクライナに侵攻したロシアのプーチン露大統領や参戦する北朝鮮金正恩総書記が招かれる一方、10年前のパレードよりも西側主要国の参加が減った。トランプ米大統領の再登場で深まる世界の分断が加速しそうな顔ぶれだ▲「国土が広く人口が巨大」。蔣介石が挙げた長所は誰もが知る。しかし、そんな大国の軍拡が周囲にどう映るか。侵略の歴史を忘れる気は毛頭ないがこちらは平和を守ってきた。隣国に「想像力の欠如」という弱点はないかと問いたい。

 趣旨は、日中の比較から、日本よりも、むしろ中国側の問題や「弱点」を述べたものですが、冒頭の蒋介石の「分析」にはなるほどと思わせる面があります。「規律遵守」「研究心旺盛」「命令完遂能力」――蒋介石に高く評価された日本軍の「長所」とされたものは、広く「国民性」と読み替えてもいいと思うのですが、小生には、これらの特性は、一見「お国」のための公共・公徳心の反映のように映っても、根本的には私的な損得勘定の産物(利己主義)の域を出ていないように見えます。自由と勝手の区別ができないだけでなく、他者の自由や権利を尊重する気概に裏打ちされたものでもないので、権力が出てくると、意外なほどに「失速」して個別の損得勘定に左右されてしまう(周回遅れの「公共・公徳心」でしょうか)。
 これは同じく蒋介石が「短所」として挙げた、「視野の狭さ」「国際情勢への疎さ」に通じると思います(長期戦はわかりませんが)。何のために規律を守り、何のために命令を完遂しなければならないか、個別利害ではなく、公(互い)のため、公徳心や公共理念に裏打ちされたものならば、視野を広げないといけない(責任がある)でしょうし、国際情勢にも精通しようと多様な情報を集めて分析しないといけない(責任がある)でしょう。蒋介石の当時と比べることはできませんが、21世紀の今日から見ると、全体として蒋介石が見た日本軍の特徴づけは、今も「国民性」の中に延々と引き継がれている面があると思います。

 今朝の新聞の社会面には「私立高の無償化」の制度化と予算の裏付けが止まっている政治の現状を危惧する記事がありました。これは来年の受験を控えた中学生や保護者には困惑の事態です。
高校無償化:私立高、無償化できる? 自公維協議中、制度の詳細固まらず 来春予定 学校「保護者に説明できぬ」 | 毎日新聞

 これで、石破さんが辞任したら、総裁選をまたやって、新しい総裁を選んだら、またまた衆議院を解散して……なんて。選挙っていうのは、自民党が勝つまで何度でもやるんですかね。まるで子どもが大人とやるゲームのようです――子どもが負けると「だめ、もう1回!」と言われ、「じいじの負けじゃあ、参ったぁ」と言うまで延々と、みたいな。で、選挙が終わって(体制が固まったら?)、11月を過ぎたあたりからやっと私立高無償化など滞っている作業の堰が切られ……。

 蒋介石の言に当てはめれば、今の自民党は「視野が狭く、国際情勢に疎く、長期持久戦に弱い」だけでなく、「規律を守れず、研究心に乏しく、命令完遂能力も低い」(短所ばかりで最悪ですけど)――そう見ている人は小生以外にもたくさんいると思いますね。




 
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