ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

自治会内を歩き、自民党総裁選を考える

 あまり詳しくは書けませんが、故あって自治会区内をまわって住民の話を聞いています。田舎も高齢化が進んでいて、小生なんぞはまだ「老人」のお仲間にカウントしてもらえませんが、住民の中には介護もなしに一人で生活している高齢者もけっこう多いです。「独居老人」という語からイメージされる姿とは違って、それぞれ明るく元気に生きているように見えるのですが、立って歩くのもしんどそうな姿に接すると、わざわざ応対してもらっているこちらが恐縮してしまいます。
 たとえば、昨日お話をうかがった方は齢80を過ぎた方で、以前は弟さんと二人で暮らしていたらしいのですが、弟さんに先立たれてからは一人で暮らしているそうです。先日家の前で草むしりをしている姿を見たので、住民と勘違いして声をかけたら、「あたしゃ、シルバー(人材)で派遣されて、頼まれて草をとってるだけよ。(家人は)中にいるよ」と言われて、入り口から声をかけると、「悪いけど、近くでないと耳が遠くて、何も聞きとれんのよ」と。それでも殊勝に出てきてくれて、こちらの話を丁寧に聞いてくれました。「退院して、やっとご飯が食べられるようになったんよ」「もう年だから、迎えを待っとるだけよ(笑)」「あんたも暑い中、大変やねぇ、気ぃつけーやー」と言葉をかけてくれました。

 別のお宅は外国人の住まいで、小学生くらいの子どもはともかく、母親は日本語がよくわからないようでした。自分は英語が得意なこともないのですが、English OK?と訊くと、それもダメと言われて、こりゃあかんわと思ったのですが、あの手この手で何とか話を聞き出すと、東南アジアの某国の出身で、旦那さんは少しは日本語がわかるということでした(一応異国に一軒家を構えるんだから、そりゃあそうでしょうけど)。外見上は、日本の人と言われても特に違和感はないし、実際子どもは近くの小学校に通っているようで、ふつうの日本人の小学生と変わりません。しかし、今の日本の一部にある排外的風潮により「外国人」と一括りにされ、偏見にさらされる心配はあるでしょう。言葉がよくわからないだけに、余計にそういう空気には敏感になるはずです。明るく元気なこの子が、このままこの国で伸び伸びと生きていけるのか、それともあるとき自分が「外国人」であることを痛烈に意識させられる場面に遭遇するのか、と歩きながら考えてしまいました。

 実際に一日かけて、一軒、一軒歩いてみると、ほんとにいろいろな姿がありました。ある家の場合は、書類の記載をお願いしたら、夫婦でどちらが書くかをめぐって、「お前書けよ」「あんたが受けたんだろうが」と、近所にも聞こえる喧嘩になってしまいまして(苦笑)。かと思えば、ある家の場合、訪問後にわざわざ追いかけてきて、「暑くて、倒れちゃうといけないから、これ飲んでください」とペットボトルのお茶を届けてくれたり……。こういう善意もありがたく感じました。残念ながら若い方にはあまり会えませんでしたが、こうした住民の多様なあり方を結びつけるのが政治の役割だと思ったわけです。

 石破さんの辞意をうけて、後任を決める自民党総裁選に立候補する顔ぶれがそろいました。今朝の毎日新聞にはこの土日の全国世論調査の結果が掲載されていました。それによれば、次期総裁にふさわしいと思うのは、高市氏25%、小泉氏21%、林氏10%、茂木氏3%、小林氏2%でしたが、自民党支持層では小泉氏40%、高市氏22%だったそうです。
毎日新聞世論調査:自民総裁「高市氏」25% 2位は小泉氏21% 毎日新聞世論調査 | 毎日新聞

 一番最初に手を挙げた茂木氏は3%。ふだんスーパーで買い物などしたこともないのに、東京・練馬のスパーアキダイにわざわざ黒の車で乗りつけて、買い物かごをもって秋葉社長とやりとりする姿をテレビで目にしました。まあ、皆さんよくご存じのとおり、こんなにわか仕込みのパフォーマンスを繰り返し、あっちこっちで顔見せをしたところで、ほとんど効果はないわけで、先回(去年)のエプロン姿の「意外に(手料理をふるまう)敏充」といい、国民の目線や関心から乖離したその姿には、笑いや呆れを通り越して、同情心さえ覚えます。これで自分を支持する人が増えるのではないかと期待しているとしたら……政治家なのに政治感覚がなさすぎです(次の機会への布石なんでしょうか?)。この点、小林氏も同様でしょう。

 昨日の新聞の一面の見出しに「小泉氏『金100万円増』公約 30年度までに」という記事があったのですが、逆さに見ていたせいか、最初は「小泉氏『金100万円増』公約」に見えてしまって、何事か!と思ってしまいました(笑)。裏金を100万円増やす方が、平均賃金を100万円増やすよりもはるかに簡単だとは思いますが、「実現する」ではなく「目指す」と言ってるところに、最初から逃げ道を残している感じがしますし。そもそもこういう根拠薄弱なことを公約と言ってしまうところが、この人の浅薄なところです。5年後は大インフレにもっていくってことでしょうか?さすが新自由主義の坊ちゃん、庶民の暮らしを見てません。他の候補者のことも「公平」に書きたいところですが、長くなりそうなので略します。
自民党総裁選:自民総裁選あす告示 小泉氏「賃金100万円増」公約 30年度までに | 毎日新聞

 自民党衆院選参院選に連敗した原因は単純ではないと思いますが、裏金問題によるイメージ悪化が大きな要因になっていることは否定できません。「解党的出直し」を言うなら、これにケジメをつけることが先決だと思います。それでもし党が割れるんなら、ケジメをつけることに反対して離れていった側が(残った側かもしれませんが)いずれは「淘汰」されるということでしょう。それこそ、(今までも繰り返されてきた)「解党的」ではなく、「解党」して(それぞれが)出直した方がスッキリするというのが個人的意見です。そもそも政治的主張が乖離しているのに無理やり同じ政党で一緒にやって、総裁になるため、選挙で勝つために、政治家が互いに「本音」を封印するというのは正常なあり方ではないでしょう。
 世論調査の質問に「自民党総裁選で議論してほしいことは何ですか(複数回答)」というのがあって、その答えで一番多いのは、「速やかな物価対策の実施」72%ですが、二番目は「政治とカネの問題を巡る政治不信の払拭」47%です(まだまだ国民は裏金問題を忘れていません)。この重みを十分受け止めている候補者はいるのでしょうか。

<追記>前幹事長の茂木氏、ネットで「モテ」てますね(笑)。
「何アピールなのよ」茂木前幹事長 子ども食堂視察での誕生日サプライズが物議…“ズレている”指摘続出のワケ | 女性自身

 
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