ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

ある参院選公開質問状を見て

 参院選東京選挙区に自民党から立候補している「おニャン子」候補が、NHKが候補者に尋ねたアンケートに対し、あまりに「無回答」が多く、ネットで話題となっています。いくら何でもと、その資質を疑いたくなりますが、現段階での情勢分析によれば(あてにはなりませんが)、この候補、「当確」圏にあるというのですから、なんともはや……です。
生稲晃子候補の政治アンケートが質問に対して「無回答」だらけで「やる気なさすぎるやろ」と話題 -

生稲晃子は自民党らしさを体現するモンスター~第二の今井絵理子誕生~ - YouTube


 これとは別に、市民有志が各政党に向けた公開質問状があるのを知りましたが、自民党の回答ぶりにはいくつか異様と感じられものがあります。部分引用させてください。※以下は私的な補足です。他の政党にも違和感を覚えるものがありますが、「どうせ勝つ」と言われている自民党です。少しくらいケチをつけても「何で我が党だけ!」「誹謗中傷は許さん!」などと言わず、寛大に応じて(無視して)いただけるものと思います。

みんなの未来を選ぶためのチェックリスト

02.教育
〇高等教育の無償化を目指し、学費を早期に半額まで引き下げますか?

自由民主党 ×
<詳細>
高等教育で多子世帯等の中間所得層の修学支援を拡充し、「出世払い」制度(日本版HECS)を大学院へ先行導入するとともに、安定的財源を確保し学部生等へ拡大を目指します。

自民党は、国民誰もが教育の機会を享受できるようにすることを1つの理由に、憲法を変えると言っていますが、こうした回答を見ると、逆に、憲法を変えないとできない教育の保障(保証)とは何なのかと思えます。憲法を変えないと教育の機会均等の予算(安定的財源)を確保できないのでしょうか?

文部科学省が推進する「生命(いのち)の安全教育」では、性交や妊娠経過について教えないなどといった「はどめ規定」があり、性に関する知識と理解が十分に得られない内容になっています。
「はどめ規定」を撤廃し、人権尊重と科学的根拠に基づく包括的性教育を推進しますか?
自由民主党 ×
<詳細>
性教育は児童生徒の発達段階を考慮しながら、学校全体の共通理解を図り、保護者や地域の理解を得ることが必要です。不適切な性教育ジェンダーフリー教育などは行わせません。

※「行わせません」という表現にジェンダーフリーに対する強い嫌悪と敵意を感じます。日本のジェンダーギャップ(男女格差)が指摘されて久しいのですが、これでは、その原因をつくっているのは自民党と言われてもしかたありません。しかも……

08.ジェンダー平等
候補者均等法により、各政党は国会や地方議会の選挙で候補者を男女均等にする努力を求められていますが、実際の取り組みはあくまで各党の裁量に委ねられています。
今後、各政党の立候補者に占める女性割合の数値目標の公表を義務化しますか?
自由民主党 ×
<その他>
議員は等しく全ての国民(都道府県民、市町村民)の代表であり、わが党は「男性議員が男性を代表し、女性議員が女性を代表する」という考え方や、「男性か女性かが、他の全ての資質に優先する」という考え方は採っておりません。
女性も男性も政治に参加する機会は平等であるべきという考えのもと、性別を問わずに候補者を募り、その中で最も相応しい者を総合的に判断して擁立するべきであり、はじめから性別で枠を設定するという人選の仕方は適当ではないと考えます。
他方、わが党では女性候補者が増えるよう女性が出馬し易い環境づくりに精力的に取り組んでおります。特に女性局が中心となり女性候補発掘の活動として2018年から、政治に関心のある女性向けの研修会「女性未来塾」を開催。
さらに2020年からは即戦力となる女性候補者育成のための実践講座「女性未来塾特別講座 女性候補者育成コース」を開講し、選抜された塾生に対して、党所属国会議員が中心となり講義や実践演習等を定期的に行っております。

※これは笑えますね。その成果が「おニャン子」候補なのですから…。確かに、例のNHKのアンケートに無回答が多かった理由を早速「スタッフ(秘書?)」のせいにするところなどは、党として入念な研修と教育が施されていることの証しかと思います。いやあ、さすが、自民党がお墨付きを与える候補者です。

10.性的マイノリティ
性的指向性自認に関する差別禁止を明記した「LGBT平等法」を制定しますか?

自由民主党 ×
<詳細>
差別を禁止するよりも、性的マイノリティに関する広く正しい理解を促進するとともに、多様性を受け入れる寛容で温かい社会を築きます。

※これもLGBTに対する嫌悪の現れを感じます。今の自民党に、ジェンダーや性的マイノリティの問題を任せるのは無理でしょう。「多様性を受け入れる寛容で温かい社会」は目指すけれども、法律で差別禁止はしない――これは自民党政権の「通常運転」です。核兵器禁止には取り組むけれども、禁止条約にはサインしない。締約国会議にオブザーバー参加はしないけれども、核保有国と非保有国の橋渡しはする。「募ってはいるが、募集はしていない」というのと同じことです。

11.税金/税制
〇消費税を減税、または廃止しますか?

自由民主党 ×
<詳細>
消費税は暮らしと安心を支える社会保障の安定財源として現在の税率を維持すべきと考えます。具体的には年金・医療・介護・子育てなどの財源に充てられており、国民の暮らしと安心を支えています。国民が広く享受する社会保障の財源として、あらゆる世代が公平に負担を分かち合う消費税を活用することで、社会保障制度を次世代へと引き継いでいきます。

※消費税は一般財源であり、使途が決められた(限定された)目的税ではありませんから、年金・医療・介護・子育てなどの社会保障の財源というのはまったくの偽りですね。そもそも30数年前の消費税導入の際、自民党政府は直間比率の是正のためと明言し、高額所得?の芸能人(某たまねぎの人ら)に「所得税でがっぽり持って行かれるのでやる気が失せてしまう」などとテレビでしゃべらせていたのを覚えています。

16.憲法
〇法律の改正ではなく、憲法の改正を要する喫緊の課題があると考えますか? あると考える場合、その課題とは何ですか?

自由民主党 
<詳細>
自衛隊」、「緊急事態対応」、「合区解消・地方公共団体」、「教育充実」の4項目。
わが国を取り巻く安全保障環境の緊迫化、大震災などで経験した緊急事態への対応、過疎と過密による人口偏在がもたらす選挙制度の変容、家庭の経済事情のいかんに関わらずより高い教育を受けることのできる環境整備の必要性など、わが国が直面する国内外の情勢に鑑み、憲法改正を行う必要がある。

自民党は「思いつき」の寄せ集めとも思えるこの4項目で本当に憲法を変える気なのでしょうか。変えたら、あとの処理は誰かに任せるでは、法的安定性が崩れ、国の根幹が揺らいでしまいます。そうした実務面の心配はしないのか。「脱法集団」だけに、法律は抜け穴ばかりにしといた方が、かえってやりやすいと思っているのでは、と疑いたくなります。

17.安全保障
日本の防衛費が8年間連続で過去最大を更新する中、防衛費予算をさらに2倍にしようという議論があります。一方で、財源が明確になっておらず、防衛費増額のための増税社会保障費の削減が懸念されています。
今後も防衛費増額路線を継続しますか?
自由民主党 
<詳細>
ロシアによるウクライナへの侵略という、今般の事態を受け、NATO諸国は改めて国防予算の対GDP比目標(2%以上)の堅持を決断しました。わが国としても、諸外国の防衛力強化の努力を重く受け止める必要があります。そして、わが国の安全保障環境がより一層厳しくなると見込まれていることを考慮すると、防衛力の確保は重要です。対GDP比目標(2%以上)とすることも念頭に、真に必要な防衛費を増額すべきだと考えます。

国債を発行して防衛費を増やせというのですから、「戦中か!」とツッコミが入るのは当然です。

18.核兵器
〇将来的に核兵器禁止条約への参加を目指しますか?

自由民主党 
<その他>
核兵器のない世界の実現に向け、抑止力の維持・強化を含めて、現実の安全保障上の脅威に適切に対処しながら、核軍縮を前進させる現実的かつ実践的な措置を着実に積み上げていきます。

※締約国会議にオブザーバー参加さえしないで、どう核保有国と非核保有国の架け橋になるのか、多くの人が指摘しているとおりです。原発再稼働への拘泥といい、実は日本政府は将来、核保有国になることを意図しているのでは、と疑われてもしかたないと思います。




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