ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

「食糧を自給できない人たちは奴隷である」

 ロシアのウクライナ侵攻から2週間。これに悪乗りして、あちこちで「核共有(シェアリング)」などという日本の安全保障とは真逆のことを吹いている「売国の輩」には、いいかげん「退場」を願い、今開会中の通常国会ではもっと根本的で実のある安全保障問題を議論してもらいたいものだと思います。
なすこ on Twitter: "#100日で再生する日本のマスメディア
31日目 ニュークリアシェアリングとは(ゲスト原口一博議員)… "

 3月8日付「農業新聞」に「食料安全保障」を求める農学博士の鈴木宣弘氏の記事があります。国の根幹に位置づけなければならないのは、どう考えても、核武装よりは食料でしょう。全面的に賛同します。引用をお許し願います。

脱「今だけ、金だけ、自分だけ」・鈴木宣弘 on Twitter: "3/8 日本農業新聞… "

 ただでさえ食料価格の高騰と日本の「買い負け」懸念が高まってきていた矢先に、ウクライナ危機が勃発し、小麦をはじめとする穀物価格、原油価格、化学肥料の原料価格などの高騰が増幅され、食料やその生産資材の調達への不安は深刻の度合いを強めている。
 ロシアとウクライナで小麦輸出の3割を占める。日本は米国、カナダ、オーストラリアから買っているが、代替国に需要が集中して争奪戦は激化する。
 また、わが国は化学肥料原料のリン、カリウムが100%輸入依存で、その調達も中国の輸出抑制で困難になりつつあった矢先に、中国と並んで大生産国のロシアなどで紛争が起こり、今後の調達の見通しがますます暗くなっている。リン鉱石の生産は1位中国、4位ロシア、カリウムは2位ベラルーシ、3位ロシア、4位中国である。
 与党や農水省にも食料安全保障の検討会が立ち上げられた。しかし、当面の飼料や肥料原料を何とか調達するためにどうするかの議論が先に立っている。それは分かるが、根本的な議論が脱けている。
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 今突きつけられた現実は、食料、種、肥料、飼料などを海外に依存していては国民の命を守れないということである。それなのに、貿易自由化を進めて調達先を増やすのが「経済安全保障」かのような議論がまだ行われている。
 根幹となる長期的・総合的視点が欠落している。国内の食料生産を維持することは、短期的には輸入農産物より高コストであっても、飢餓を招きかねない不測の事態の計りしれないコストを考慮すれば、総合的コストは低い。その不測の事態がもう眼前にある。
 「食糧を自給できない人たちは奴隷である」とキューバのホセ・マルティは述べ、高村光太郎は「食うものだけは自給したい。これなくして真の独立はない」と言った。日本の食料自給率は37%。不測の事態に国民を守れない国は独立国ではない。

<以下略>

 輸入前提の「経済安全保障」では「買い負け」することがあるのは当然です。売る側だって高く買ってもらえる方に売りたいでしょう。巨額の財政赤字の泥沼から抜け出せず、30年間賃金も上がらず、「先進国」から滑り落ちている国、要するにお金のない国が、たとえ何とか売ってもらえる算段になったとしても、品質のよいものを回してもらえるとはとても思えません(そういうのはお金持ちだけが買うからいいということでしょうか)。これで、核武装が必要だというのは、非核三原則違反であるのはもちろんですが、国民が飢えてもミサイルを飛ばす国になれ、と言ってるようにしか聞こえません。
 「食糧を自給できない人たちは奴隷である」「…これなくして真の独立はない」――けだし至言と思います。

 2月28日付「長周新聞」にも鈴木氏の寄稿があります。
【緊急寄稿】日本は独立国たりえているか―ウクライナ危機が突きつける食料問題 東京大学教授・鈴木宣弘 | 長周新聞



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