ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

2013年「ビッグ・ゲイ・レインボウ」演説

 知る人ぞ知る、ニュージーランドモーリス・ウィリアムソン議員が2013年4月16日に議会で行った「ビッグ・ゲイ・レインボウ」演説の動画を8年遅れで昨日見て、当世日本のLGBT性的少数者)と政治について改めて考えさせられた。

 当時ニュージーランド国民党のウィリアムソン議員は、同性婚を認める「2013年結婚(結婚の定義)改正法案」をめぐる審議(第三読会)で、賛成の立場から演説した。その内容は、2017年11月に竹下亘衆議院議員が同性愛カップルの宮中晩餐会参加を批判したことをきっかけに、日本でもTwitterなどを通じて拡散され、話題になったという(小生はアンテナが低くて当時は気づかなかった)。

 頭の固い小生としては、正直なところ、同性婚を積極的に推進すべきとまでは思わないが、拒絶する気はない。スタンスとしては「したいという人がいるなら認めていいんじゃないか」程度の立ち位置だ。
 それはさておき、このウィリアムソン議員の演説には共感するところが多い。こうしたウィットに富んだ話ができるのは、開かれた信頼関係があればこそだと思う。日本の国会議員は、夜の会食ではけっこう饒舌なはずなのに、本番の?国会審議になると、「答えは差し控えます」とか「記憶にありません」とか押し黙ってしまう人が多いが、政治家なのだから、言葉を発する(言葉を紡ぐ)ことを拒否して貝になるのではなく、言葉の交差によって同意や共感が培われていくような国会審議をすることを切に願う。

 8年後の今、ウィリアムソン議員は国会議員ではなく、ロサンゼルスのニュージーランド総領事を務めているということだ。

 ブルドッグさんのTwitterで紹介されていた翻訳字幕付き動画を元に起こしたものから以下に引用する。

https://twitter.com/Bulldog_noh8/status/934359025889689600
(原文はMaurice Williamson: 'Be ye not afraid', Big Gay Rainbow speech - 2013 — Speakola)

 (法案に反対する)ジェミリー議員とともにお話をさせていただきます。若く活き活きとした彼と、退屈な年寄りの私と……。(笑)そう、みなさんはどちらかを選ぶことになるわけです。

 まずルイーザ議員に祝福を。この議会では数年来のいいニュースです。この法案で、現在あなたに向けられている酷い非難が減るのですから。

 私の選挙区の牧師さんからお電話をいただきました。「法案が通ればゲイの猛攻撃がはじまるぞ」と。「ゲイの猛攻撃」とはいかなるものか、解釈に困り果てています。私の地元の(パカランガ)高速道路から軍隊が攻め込んでくるのか。(笑)はたまた、ガスが私の街を覆って閉じ込められるのか。(笑)
 別のカトリックの司祭さんからは「お前は自然の理に反することを支持するのか!」と言われましたが、生涯禁欲主義の司祭さんがそれをおっしゃるとは……。(笑)ああ、禁欲主義ね、禁欲主義(アクセントがちがっていた?)……。まだ、したことがないもので詳しくないんですよ……。(笑)
 「お前は永遠に地獄の業火に焼かれる」というお手紙もありましたが、これは間違いですね。私は物理の学位をもっていて(笑)、私の体重や体水分率などを測って熱力学で計算してみたんです。地獄の炎を5,000℃と仮定すれば、私は一瞬で消滅します。わずか2.1秒です。(笑)とても永遠とは言い難いと思いますが、いかがでしょうか。

 養子縁組について反吐が出る意見もありました。私には3人の素敵な養子がいますから、養子の素晴らしさを知っています。だから、そういう意見がくだらないとわかるんです。そういう陰険なやり方は実に卑怯ですよ。私は小学生の頃にそういうイジメを怖がることをやめたんです。
 それでも、反対なさる多くの方は常識的な方で、法案が社会に何をもたらすのか、真剣に心配なさっている。その懸念に敬意を表します。この法案が通ると、ご自身の家族に何が起こるか、心配なさっているんです。

 
 だから、その方々のために繰り返させてください。この法案で我々がやろうとしていることは、愛し合う二人に、結婚という手段を、認める。それだけです。これが全てです。核戦争をやろうとかいう話じゃないんです。農作物を全滅させるウィルスもバラまきません。
 ただ、愛し合う二人に結婚という手段を認めるだけです。何が問題でしょうか。お金もかからないのに。なぜこの法案に反対するのかがわからない。異質なものを遠ざけたいのはわかります。いいんです。我々みんなそんなもんですよ。

 でも、反対なさる方にお約束しておきます。決して反故にしない約束です。
 (この法案が成立しても)明日からも陽が昇ります。明日からも10代の生意気な娘さんに口答えされます。ローンの金利は上がりません。皮膚病やら湿疹、布団からカエルが跳び出すこともない。世界はそのまま続いていく。
 だから大ごとにするのはやめましょう。

 この法案は当事者からすれば素晴らしいもの。残りの我々からすれば昨日と同じ日々が続くだけです。

 最後に、私のところに届いた意見をもうひとつ紹介させてください。同性婚法案のせいで干ばつが起こった、と。(笑)でも、私のTwitterを見た方はご存じだと思いますが、今朝私の地元は土砂降りだったんですよ。(笑)雨が上がったら、大きな大きな虹、ゲイ・レインボーが架かりました。(拍手)これは何かの兆しではないでしょうか。あなたが信じるなら、きっと……。

 締めくくりに、それでも法案を懸念なさる方々へ聖書からの引用を。申命記です。申命記はなかなか難解なのですが、まあそれはいいとして、旧約聖書申命記 1章29節 “懼(おそ)るるなかれ” 。(拍手)



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