ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

山本太郎の安全保障論

 れいわ新選組山本太郎さんは勉強家だと思う。いやまあ、国会議員なんだから、これが普通で、他にもこういう議員は多いと言われればそれまでだが、この国では、あまりに知性のない、それゆえにか妄言暴言を口走り恥じることのない政治屋が跋扈し、さらに、単に身びいきや順送りで大臣になるがゆえに、ヒラメ官僚とギブアンドテイクで行政を動かすという醜悪な政治が延々と続いてきた。山本さんの場合、各地の集会で人々との対話・対論を繰り返して相当鍛えられていると思う。岸田首相の「聞く耳」ではないが、「聞くこと」も大事だが、インプットしたら、アウトプットして、まっとうな話ができなければ、政治家とは言えない。全般的に政治家を「鍛え」ていないのが日本の民主主義の現状なのだと思う。

 12月6日付「UIチャンネル 東アジア共同体研究所」の動画で鳩山由紀夫・元首相と山本太郎さんが対談している。話題はいろいろあったが、沖縄と安全保障にかかわる部分の概要を起こしてみる。

対談 山本太郎(れいわ新選組代表 衆議院議員) × 鳩山友紀夫 - YouTube

 外交・安全保障に関して、(山本さんは)いわゆる対米依存、対米従属から脱却すべきだとおっしゃてますよね。私はこれがかなりキーだと思うんですけど、そのあたりから外交・安全保障政策の概観をお話していただけますか。
 (鳩山さんに向けて)アメリカからむかし圧力ありました? ストレートやなあ(笑)。
 私に聞くなって(笑)。それは直接にはないんだけれど、間接的ですよ、すべて。
 でも、辺野古の問題なんて、まさにそうじゃないですか。最低でも県外ということで、県外移設が決まっていたのに、結局外務官僚によって、それ阻止されたじゃないですか。偽の情報を提供されて…。これも、ある意味、「間接的」なんですか?
 そうそう、アメリカの威を借る狐みたいな話でね、官僚連中が、アメリカの意向はこうであるに違いないと勝手に解釈して、だから、鳩山の考えはダメだとやったわけですけど…。いや、その話を私は今聞きたいと言ってるんじゃなくて…。
 いや、めちゃくちゃ興味深いです。視聴者は今100%こっちに惹きつけられてますよ(笑)。
 いやまあ、でも、その辺野古に関してですが、それはNOでいいわけですね?
 もちろんです。
 日本の、特に沖縄に集中している米軍の基地の問題についてはどのように考えてますか? その、サイバーとか、ドローンとか、戦争をやるにしても、そのしくみが大きく変わってきている中で、海兵隊っていったい何なんだっていう議論はあると思うんですけど…。
 ある意味では、アメリカの海兵隊の権益を守るため…。自分自身の力を保持しつづけるためには、日本側がいろいろなお金を出してくれたり、サポートしてくれる沖縄は最高ですよね。日本だけでなく、太平洋諸国をいろいろ回っていくときの拠点として使えるというのは、海兵隊にとっては非常にラッキーな話で、米軍の再編なんかで予算が削られる中において、日本側が全部出しますっていうサービス、これはなかなかやめられないと思いますね。
 で、おっしゃるとおり、戦争のやり方が大きく形を変えている中で、よりによって沖縄という小さな島に基地を集中させている度合いが尋常ではないですよね。それにはっきりしているのは、沖縄の民意は、何度も選挙や住民投票をやり、もう明らかになっているのに、それを踏みつけるような政治が続いているというのは、これは民主主義国家とは呼べない。
 さらに言うと、米軍に関わってきた人たちから、「ああ、辺野古やろ、使いものにならへんわ」という意見が出てきているんですね。たとえば、ですけど、ジョージ・ブッシュ政権でパウエル国務長官の首席補佐官を務めたローレンス・ウィルカーソン元陸軍大佐のインタビューとか。これ、軍に対する無駄がないかという検証を進めていくと、沖縄の海兵隊も検証の対象になっていて、部隊の実弾射撃訓練とか飛行訓練とか爆弾投下訓練とかをする地域として、沖縄の適合性を調べ、運用は「極めて難しい」と判断された…と。…沖縄の海兵隊は戦力規模が小さすぎて「太平洋地域に前方展開させる戦力的価値はない」と結論したとか、辺野古の基地は、中国など外部からの攻撃に脆弱であって、2,3発の精密誘導弾の攻撃を受ければ、滑走路はあとかたもなく消える、と。だから、基地の役割を果たせてないと。

 沖縄の基地は嘉手納にしても、もし、狙われたら完全に飛行機は飛べなくなるわけですからね。全く意味がない。逆に言えば、(中国、北朝鮮等々から?)近すぎるんですよ。グアムとかテニアンとかの方がまだマシではないかと思いますけど。
 一定の間合いをとらないと戦いにもならないってことですよね。
 だから、本当に戦いになったときに、基地がどういう役割を果たせるのかと、そう考えたとき、辺野古に基地ができても役に立たないですよ。抑止力があるから敵は攻撃できないだろう、みたいな発想で言えば、そういう効果は少しはあるかも知れないけど、海兵隊の抑止力というのも極めて曖昧な話でね。敵地に乗り込んでいくような部隊というのは、今の戦争ではお似合いではないよという感じでしょ。
 最前線を担当するってことでしょうけど、その最前線を担う基地としてもふさわしくない。アメリカのシンクタンクCSISが11月に出した報告書では、辺野古の移設について「完成する可能性が低そうだ」と新基地建設を困難と見ていることがわかった、と(その背景として、工期の延長や工費増大を挙げている)。識者は「米国からも新基地建設の実現性はかなり低いと思われている」と。それを書かれたのが、海兵隊出身でこのCSISの国際安全保障プログラム上級顧問をされている方(マーク・カンチアン氏 30年以上海兵隊で活動)がこういうことを書いているんですね。

 外交の話をもう少し伺うと、中国や韓国に対しても、アメリカ一辺倒ではなくてもっとバランスをとるべきで、アジアの方にもっと軸足をとるべきだということも言ってるんだけれども、今、日韓関係は厳しいし、あるいは、日中関係もそれほどよくない。どうすればいいと思いますか。
 いろんな意見はあると思いますけど、(両国は)貿易上も非常に重要なパートナーですよね。それに、この距離感というものを考えた場合、平和的にいかなければならないというのは当然のことだと思うんです。もちろん、同盟国と言われる太平洋の向こうのアメリカとの関係性について、悪くしろとは申しません。少なくとも、間接的に支配されているような、自分たちから忖度しまくって、自分たちから望んだように植民地的な立ち回りになっているのは止めないといけない。バランスをとらなければいけないというのは当然だと思うんです。一番は何ですかと問われたら、日本に住んでる人にとって、一番得になるようにしなければならない。そのためにどうしなければならないかというと、とにかく平和でなければならない。そのためには関係性は太くつくっていかないとダメですよね。
 で、まず考えなければいけないのは、敵基地攻撃能力みたいなことが言われますが、これって最悪な話で、たとえば、一撃されたら反撃するためのものとして必要なんだ、だから逸脱してないんだ、とよく言われますけど、実はそうではないんで、一発受ける前にこっちが先制(攻撃)する能力を日本が持つことによって、これは考えようによっては、日本にいい思いをもっていない国から攻撃される可能性を自ら生み出す。これ、国連の憲法的なもので、国連憲章の中に「敵国条項」があって、日本はいまだに「敵国」となっていて、これは死文化されていると言われてますが、削除されてませんよね。それってすごく重要なことじゃないですか。いきり立つのは簡単なんですよ。やれるもんなら、やってみーと、俺たちはもっとマッチョになるぞーというのは簡単なんだけれども、それをやってしまったときに、世界では(第二次世界大戦後)当時の敗戦国は「敵国」と認められている。もし、日本が不穏な動きをしていると各国からとられた場合、国連の安保理なしに(日本を)攻撃することも可能なんですね。それを考えたとしても、いきり立ってはいけないということなんです。なめられたらやり返せみたいな考え方は絶対にとってはいけないんですね。どこまでも紳士に、「鳩」で…。「鳩山」さんで(笑)。平和的な動きで、ビジネス面で最大限の実利を求めていくという線で進めていかなければいけないと思っています。

 私もまったく同じです。最近、安倍さんが、台湾有事は日本有事であり、日米同盟有事なんだと、そのことを習近平主席も認識を誤らないようにというようなことを言ってますが、これもそういう意味ではいきがってるわけですよね。もし、台湾有事になって、アメリカと中国がやり合うかたちになったら、アメリカの基地がどこにあるかということになって、狙われるのは日本の(米軍)基地ですよね。これは基地だけじゃなくて、台湾有事になれば、日本が壊滅的打撃を被らないとも限らないですよね。そういう状況だということを、もっと逆に認識しないといけないんで、そういうことくらい習近平主席は当然理解しているんで、(台湾が)自分たちの(国土の)一部と考えているとはいえ、武力を使って乗っ取ったらどういうことになるかということはわかってるんです。たとえば、台湾の独立派を日本が支援したりして、やれ、やれ!なんてことになったら、中国は黙ってませんから、そうなったときに被害が大きくなるのは小さな島国の方ですよ。特に原発のあたりをやられたら一気に終わりですからね。そうならないようにするためには、おっしゃるように、とにかく平和を維持する。紛争が起きそうになったら、どちらかに加担するんじゃなくて、それを抑えるように努力をしなければならないんですよね。…でも、安倍さんはいきがるんですよね(笑)。どうせ戦争しないと思ってるんですかね?
 でも、そういうボタンの掛け違いで始まるってことがありますからね。だから、本当に慎重にやらなければならない立場だと思いますけどね。だから、アメリカと中国の緊張が高まって、万一何かしら起こったときに、最前線になるのは日本で、それで得するのは誰ですかということになると、軍産複合体というか、軍事企業は儲かるでしょう。だから、太平洋を挟んだ向こう側で涼しい顔しながら金儲けできるという…。なんか、そういうバランスの悪いことの背中を押すようなことを、どうしてするのかなと思いますね。
<以下略>


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