ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

東北新社の外資規制違反 佐藤章さん再び

 総務官僚の接待をめぐる一連の文春砲は東北新社の接待問題から始まった。 まず、この東北新社に所属する “スガ長男” が絡んだスキャンダルという面を前面に出して世間の耳目を引きつけてから、山田・内閣広報官を舞台に引っ張り出し……、谷脇・総務審議官に「他にはありません」と言わせて、翌日に実はNTTからも接待されていました……という展開に、最初からNTTが「本丸」で、出す順番を逆にしたのではないかと指摘する人もいる。広範な情報網といい、情報小出しの絶妙なタイミングといい、文春おそるべしだが、文春の「役割」はいつもそこまでで、あとは野となれ山となれだ。しかし、これは一時的に騒いで終わりにしてよいような単なるスキャンダルではなく、贈収賄という刑法犯罪で、公務員が業者接待を受けて、本来果たすべき責務を回避し、捻じ曲げたのである。新聞やテレビはもっと独自に取材をして、国民に真実を伝えなければならないはずで、リクルート事件などという古い話を持ち出すまでもなく、ひとむかし前なら相応の報道があってしかるべき大事件なのだ。ところが、現在大手のマスメディアは、接待問題で叩けばホコリが出てくるのを怖れているのか、みんな同じ穴の貉で、政府広報のような伝え方はしても、突っ込んだ報道はほとんどしない。このマス・メディアの姿勢、そしてまた、この国の行政の今には本当に驚かされる。

 先々回の当ブログで引用させていただいたジャーナリストの佐藤章さんが再び「一月万冊・清水有高」さんとの対談動画に登場し、今度は東北新社放送法違反(外資規制違反)について解説していた。
 放送法は放送事業者に外資規制を定めていて、外国の個人・法人などが株式の20%以上を持つ事業者は放送事業ができないことになっている。テレビ、ラジオなどが外国資本に左右されるのを避けるのが狙いで、認定後であっても、20%以上となれば、認定は取り消される。ところが、東北新社はこの上限を超えていて、本来なら指導されるか、認定を取り消される状況にありながら(それゆえに?)、接待のおかげでそれが黙認されてきたのではないかというのだ。これは見過ごせない問題で、総務省は字句通りの「売国」政策を推し進めていたことになってしまう。

長男は「事務次官級の接待要員」? 首相は完全に否定:朝日新聞デジタル


 またぞろの「第二弾」となるが、以下、佐藤さんと清水さんの話から拾って要約してみる。

売国総務省問題。放送を外国資本に売り渡すのか?東北新社の外資規制違反を接待で見逃す総務省は完全解体されよ!元朝日新聞記者ジャーナリスト佐藤章さんと一月万冊清水有高 - YouTube

 これで総務省の解体は決定ですね(笑)。菅さん親子によってね。
 この(放送法の)外資規制なんですけど、外国資本が株主の全議決権の20%を超えてはならないということで、これは地上波、BS、 CSに限らず全部そうなんですよ。これ何で超えてはいけないのか、国際化社会になってるんだからいいんじゃないかという気もするけれど、やっぱりマズいんですね。日本の(第二次大戦の)敗戦の日、1945年8月15日。「日本の一番長い日」という映画がありましたけど、これは敗戦を認めない陸軍将校たちがクーデターを起こそうとして皇居に乗り込み、敗戦を伝える昭和天皇のレコード盤、「玉音盤」というんですが、これを見つけ出して壊して、国民に敗戦を伝えまいとしたわけです。でも探しても結局見つからないで、最後はNHKにも乗り込むけど果たせず、自害するんですけど、それくらい放送の影響力というのは大きいわけです。天皇のレコード盤一枚を放送することによって、全国民が敗戦を知るわけですよ。もし、これが外国資本に乗っ取られたら、日本国民がいいようにコントロールされてしまう。……だから、外国資本が20%以上もってはいけないというルールが厳然としてあるわけで、これ、放送に携わる人間からすると、常識中の常識なんです。

 3月5日に立憲民主党小西洋之さんが(参院予算委員会で)この件を質問していました。小西さんは総務省の元官僚で、まさしくこの衛星放送の担当を5年くらいしていて、勝手がわかっている人だから、質問もおもしろい。例えば、情報流通行政局長に対して「菅正剛さんは放送関係で何回総務省に来ましたか? 記憶していますか?」と。ほとんど来てないんですよ。挨拶で一回来たらしいんだけど、全然来てない。つまり、この人は放送行政とかいうんじゃなくて、単なる接待要員でしょ、ということなんですね。で、小西さんはこう言ってるんです。「私は衛星放送課の課長補佐をやってましたが、安倍・菅政権の下で、菅さんの長男から接待の申し出を受けたら、どうやったら断れるのか、後輩たちのためにずっと考えてきましたが、まったく(手立てが)思いつきませんよ」と(苦笑)。

 外資規制についてですが、2017年1月24日に東北新社は4Kという新しいサービスの認定を受けました。でも、これを認定されるためには外資規制が引っかかってくる。外資の株式の持分比率が20%いっていないんだろうな、と。まず、ここがチェックされるんです。東北新社はこのときいろいろなチャンネルを持っていたので、それを東北新社に集めて大きなチャンネルにしようと思いました、と答えているんです。そのことを2017年7月28日にプレス発表までしているんです。ところがそのわずか半月後の8月には、そういうことを止めてしまう。東北新社に集めるのではなく、わざわざ子会社の東北メディアサービスをつくって、そこにチャンネルを集めることにする。で、外資規制を逃れる唯一の方法はこの子会社をつくったことだと、そしてここに4Kの認定を承継させる。つまり、東北新社自体は外資比率が20%を超えているから、新しい子会社に承継させると。でも、これは脱法行為ではないか。これが許されたらザル法になってしまいますから。

 小西さんの指摘によれば、2016年3月時点の東北新社外資比率は20.28%で、もうこの時点ですでに制限を超えていたんです。で、同じ年の10月に東北新社が4Kの申請をするんですが、このときだけ19.96%に下がっているんですね。そして翌年2017年の1月に総務省から認定を受けるんですが、3月末時点になると外資比率が21.23%なって、ここでもうアウトなんです。たぶん、これはまずいと思ったんでしょうね。9月1日に東北メディアサービスという会社をつくるんです。方針を突如ガラッと変えて。で、この4Kの事業承継をするわけです。で、これ、移すときも認定が必要なんですが、そのときの東北新社外資比率は22.21%なんですよ。ここで完全にアウトなんですよ。まあ、これ2017年3月に、「気がつかなかったけど……」なんていう言い訳は通らないけど、1万歩ゆずってね(笑)、通ったとしても、9月の事業承継の時に総務省は、これ比率を見てるわけですよ。だから、「はい、取消」ってことにならないとおかしいんですよ。これね、ほんと「売国」です。

(清水さん)東北新社って今(資本金の)時価総額300億くらいなんですよ。そのうちの2割だから60億円くらい。アメリカとか中国の大資本からしたら、こんなの簡単に買収できますよ。もし、外資規制がなかったら、大きいTBSとか日テレですら時価総額が4,000億ないんで、2,000億円出せば日本のキー局が買えるということになりますよ。例えば、中国が日テレ買った、アメリカがTBS買った、なんてことになったら、日本はどうなるの? ってことですよね。で、電波法に支えられて、電波料はめちゃくちゃ安いから、海外の放送を支えるために日本の人は電波料払うの? とか……いろいろな思惑があるから、外資規制って設定されてると思うんですよ。それを忘れてましたってね、監督官庁としてしっかり見とけって話なのに。で、また、そのとき決裁した人がね……。

 そうなんですよ。総務省はこのあいだ接待の調査結果を発表したじゃないですか。で、この4K認定と接待のタイミングの関係を調べてみると、小西さんは国会でこういう質問をしてるんですよ。問題の2016年から2017年までの間に、何人接待を受けたんですか?と。これに対しては総務省側は6人ですと答えていましたけど、これは調べてみると、多分延べ人数が6人で、秋本芳徳さん(情報流通行政局長)が3回、吉田眞人さんが3回だと思うんですね。で、吉田さんは2016年8月8日に六本木でゴチになってるんですが、このとき彼は総務審議官なんです。その2か月後の10月に東北新社は4K認定を申請してるんですね。その後の2016年12月14日、吉田さんはまた六本木でゴチになって、1か月後の2017年1月に東北新社は認定を受けます。で、その2か月後の3月に外資比率は21.23%になる。ここで違反しているんですね。もしかしたら、ここで指摘を受けたかもしれない、「いくら何でも、これはマズいですよ」と。わからないけど…。で、9月に東北新社の子会社を立ち上げて、そこに4Kを移すんですが、この段階で外資比率は22.21%。翌月、10月18日に吉田さんは銀座でゴチになるんですが、このときは総括審議官で、まさに情報通信の担当なんですよ。それで、ゴチになった同じ月に承継認定するわけですね。でね、この東北新社の4Kの最終決定権をもっていて、これを了承したのが、この前辞めた山田真貴子さんであり、山田さんは2019年11月6日に、例の高額のゴチになったと、こういう話なんですよ。

 小西さんも言ってたけど、外資規制なんていうのは常識中の常識で、こんなのは誰が見てもわかる話なんです。国会で小西さん、「これは脱法行為でしょ! 菅総理大臣の息子さんが働いている会社だから、こういう脱法行為を認めたんじゃないんですか?」って聞いたんですよ。そしたら、菅さんね、マスク越しに笑ってたみたいなんですよ。小西さん怒ってね、「何笑ってんですかー!」って。「こんな放送法を破る違法(行為)、私は見たことも聞いたこともない!」ってね。それね、分かるんですよ。小西さんね、(官僚当時)一生懸命仕事してたと思いますよ。課長補佐って一番仕事するんですよ、実質的な仕事を。上は決済するだけでね。一生懸命やってた人からするとね、こんな外資規制なんてイロハのイなんですよ。それを「わかりませんでした」っていう言い訳が成り立つのかっていう。これね、日本の行政がまったく骨抜きというか崩されたことになります。しかもそれが、首相(総務大臣)の息子だからってことで許されるのか、と。で、菅さんはこれに何て答えているかっていうと、「そこはルールに基づいて厳正に対処するということだと思います」って……。(唖然)……「厳正に対処する」んなら、認定取り消ししかないですけどね。

<以下略>

 佐藤さんは「外国資本に乗っ取られたら、日本国民がいいようにコントロールされてしまう」と言ってたけど、何かここまで堕ちると、外国資本にコントロールしてもらった方が少しは「まとも」になるんじゃないかという気さえしてくる。




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