ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

収賄罪と高額接待

 法律に詳しいわけではないが、今回の接待問題に関して、刑法197条の収賄罪の条文を見ると、以下のように書いてある。

<刑法197条>
 公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、5年以下の懲役に処する。この場合において、請託を受けたときは、7年以下の懲役に処する。

 「請託」とは、公務員に対して「有利な法律や政令をつくってほしい」とか、「許認可を早くおろしてほしい」、「不正に目をつぶってほしい」など、将来的な作為・不作為の職務行為を依頼することらしい。

 わざわざ「請託を受けたとき」とことわって、そちらの方がより刑罰が重いとしているのだから、「請託」のあるなしに関係なく、公務員が業者から食事をおごってもらえば収賄罪自体は成立することになる。となると、総務大臣や前総務審議官が、いくら「行政がゆがめられた事実は確認されていない」とか、「一般的な懇談」で「働きかけはなかった」などと言い張っても、「請託」や「受託」の有無は無関係だから、“収賄” の罪を犯したことはゆるがない。先々回、共産党大門実紀史参議院議員Tweetを引用したが、大門議員が言うように、具体的な利益供与があったかどうかがポイントではなく、利益供与を問題にすること自体、意図的に話を狭め、ゆがめていることになる。

2月25日付朝日新聞記事より。

接待問題は贈収賄の罪になる? 法律的にはアウトでも…:朝日新聞デジタル

……接待問題が刑事事件に発展する可能性はあるのか。
 総務省側は「行政がゆがめられた事実は確認されていない」と強調するが、刑法の贈収賄罪は公務員が便宜を図っていなくても、職務に関係のある業者から接待を受ければ成り立つ。行政がゆがめられた場合は、より法定刑が重い加重収賄罪が適用される。
 元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は今回のケースについて「理屈上は贈収賄罪が成立する」と指摘する。だが検察が起訴するかどうかは別問題だ。
 実務上、賄賂の総額が50万円以上だと起訴するべきだと判断するといい、「今回明らかになった金額では足りない印象だ」と話す。
 一方、「時代によってその金額は変わる。捜査で新たな接待や現金授受が判明する可能性もある」として、事件に発展することもあり得るとの見方も示す。
 さらに、検察が無視できないのが検察審査会だ。若狭氏は「検察は国民の目線を意識して捜査を尽くすはずだ」。別の検察OBも「首相の親族が絡み、世間の注目は高い。検察は軽く扱えないだろう」と語る。弁護士らでつくる市民団体「税金私物化を許さない市民の会」は近く、総務省幹部や菅首相の長男らをそれぞれ収賄容疑と贈賄容疑で東京地検に告発する準備を進めている。


 起訴をするかどうか、実際上賄賂の総額を目安にするというのは分らなくもないが、山田真貴子・内閣広報官の74,000円を超える高額の接待などは常軌を逸している(我が家の1月分の食費よりはるかに多い!)。これで本当に相手方の「下心」がわからないと言い張るなら、収賄や倫理規程以前に、その欺瞞ゆえに内閣広報官を退くべきだ。

 農林水産省も、国家公務員の倫理規程に違反したとして、鶏卵会社から会食接待を受けた枝元真徹事務次官ら6人の処分を発表した。批判の矛先が総務省に向いているあいだにすり抜けようと意図したかのようなタイミング。


 小沢一郎衆議院議員Twitterにこう書いてある。

簡単に言えば、三権分立憲法も理解していなかった前総理が、国家公務員を全体ではなく自分への奉仕者にして国を滅茶苦茶にして、恫喝が売りのその後継者が、更に強力に権力の私物化を推し進め、今や完全に国家公務員の倫理観を崩壊させたということ。良くも悪くも政治は国を変える。最後は国民次第。
https://twitter.com/ozawa_jimusho/status/1364716225817767936

 
 あなたに言われたくないとは思うが、実際のところそうなんだ…。


追記:贈賄側に今までのところ何のおとがめもないというのも妙な話だが、菅正剛氏はスガ総理とは別人格のいっぱしの成人のはず。何か釈明はないのだろうか?




↓ よろしければクリックしていただけると大変励みになります。


社会・経済ランキング
にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ
にほんブログ村