ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

GDP/人・貧困・最高裁判決

  matheさんtwitterに「世界の一人当たりの名目GDP 国別ランキングTOP30」の動画(?)がある。1990年から2018年までの順位の変化を追ったもので、これは実に興味深い(一人当たりGDP=国内総生産は平均的な国民の年間所得と考えるとわかりやすい)。
 以下に引用させていただく。

mathe on Twitter: "世界の一人当たりの名目GDP
国別ランキング TOP30

注)途中からJAPANが消えるのは目の錯覚ではありません
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https://t.co/L0dPoF3TGg"


 スタートの1990年はバブル経済絶頂期の頃だ。このときの順位が世界8位。しかし、2006年には圏外に消え、2009年に一旦復帰するも、2013年にはまた圏外へ。これに、ときの政権を重ね合わせれば、一目瞭然という話になる。アベは「悪夢の民主党政権」と言い続けてきたが、この件に関しては話は“真逆”だ。
 公平のために記しておくと、2020年の見通しでは、日本は28位、1人当たり平均46,827ドル(約496万円)とのこと。上位富裕層の高い所得が平均値を引き上げてはいるが、中央値は250万円くらいなので、年間所得200~300万円くらいに世帯のヤマがある感じだ。実際、「相対的貧困層」(平均可処分所得127万円未満の世帯)は15%以上、子どもの7人に1人、ひとり親世帯の半数は貧困状態と、状況は深刻だ。厚労省の生活意識調査でも、「大変苦しい」と「やや苦しい」をあわせた「苦しい」という回答は54.4%。「児童のいる世帯」では60.4%、「母子世帯」では86.7%が「苦しい」と回答している。

 昨日、「同一労働、同一賃金」にかかわる2件の最高裁判決があり、原告は逆転敗訴となった(大阪医科薬科大学事件、メトロコマース事件)。判決にあるとおり、確かに、正社員はアルバイト(非正規社員)より全体として重い責任を負わされているかもしれないが、その分の差が賞与や退職金というのは承服しかねる(アルバイトに賞与や退職金を一切!支払わないことが不合理ではないというのだ。二審の 高裁で判決は一定額を支払うべきだとしていた)。しかも、賞与を含めた非正規雇用の待遇改善は労使交渉でやってくれという。現実の労使の力関係がわかっているのだろうかと首をかしげたくなる。専門家の中には、この判決は、一般論として非正規社員に退職金制度を設けなくともよい(不合理ではない)という判断ではなく、ケースバイケースだというのが本旨だと注意喚起している方もいるが、今後の非正規雇用の賃金に悪い方向で影響を及ぼすのは必至だ。非正規の労働者に向き合う企業の担当者がみんな「良識」に支えられた対応がとれるならまだよいが、そもそもそんなしくみになっていない。むしろ、担当者に「良識」があったら苦しまざるを得ないのだ。

 司法が日本社会の貧困状態を後押しするような国でよいのか。




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