ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

「告発はこれから」

 MBS毎日放送)は関西圏ではお馴染みであっても、千葉県在住の者にはやや縁遠いところがありますが、昨日放送されたニュース解説の一部がYou-Tubeに上げられていて、ゲスト解説者の上脇博之ひろしさんの話を視聴できたのはラッキーでした。上脇さんはご承知のとおり自民党の“裏金”問題を告発して、検察による捜査や今の政治状況のきっかけをつくった人物です。番組内では「自民党が最も怖れる男」とか「一人で自民党の派閥を全部潰した」とか変な持ち上げ方をされていて、いやーな感じもしましたが、上脇さん本人は、今後も「仕事」をやっていくだけという、ある意味淡々とした姿勢には変わりない印象でした。内容は映像を見る方が早いのですが、そのうち視聴できなくなると困るので、主な部分を文字に残して記録しておきます。
自民裏金「報告書訂正を自白として告発する」上脇博之教授が見据える今後「私にしてみればまだまだ終わっていない」「不起訴部分は検察審査会に申し立て」【MBSニュース解説】(2024年1月31日) - YouTube

――……何となく捜査上は一段落して終わっちゃうのか、このまま……という雰囲気もあるんですが、上脇先生は、そうは思ってらっしゃらない?
上脇:ええ、私は、むしろ今からなんです。今からまだ告発を続けますんで、まだまだ終わらせません。
――国民は怒っていた、この怒りはまだまだ止めちゃいけないわけですよね。
上脇:おっしゃるとおりで、これで納得する国民はどれだけいるんですかね。怒っている人の方が圧倒的だと思います。

(経緯の説明:赤旗のスクープ記事→上脇氏の調査→告発→地検の捜査の結果、一部議員は立件、派閥上層部は見送り)

――今のところの経過で、どんなところに一番ご不満をもっていらっしゃいますか?
上脇:裏金をつくった側の幹部の人たち、この人たちが私からすると「主犯」なんです。これが立件されていない。さらに、みんなで赤信号を渡って、裏金をつくってキックバックを受けたのに、収支報告をしていない。どう考えてもこれは組織的ですから、全員立件すべきだと思っています。
――これは、今回立件できなかった検察に対する不満なのか、それとも(立件)しにくいという結果になってしまう法整備、体制にも不満なのか、その辺はいかがでしょう?
上脇:両方あるんですが、基本的には、今の法律でも立件できるはずだと。今後改革もしていかなくてはならないんですけれども、今の法律でも捜査を尽くせば、ちゃんと立件できたはずだと考えています。
――安倍派の清和会の幹部が立件されなかったわけですけれど、検察審査会への告発というのはお考えになっているんですか?
上脇:不起訴になった部分については、検察審査会に審査申し立てをする予定です。実は今から告発になるのが裏金なんです。裏金告発というのは今までなかなかできなかった。訂正をしてはじめて(それを)「自白」と考えますので、数字がわかるんですね。数字がわからないと告発状は書けないんです。たとえば5年間でいくらという報道があるけど、何年にいくら……というのがわからないと、告発状は書けないんです。派閥の方が今日訂正したということなんで、今日か明日中には金額がわかるので、それを証拠に、これは「自白」だということで告発状を書いて、今から告発するので、私にしてみれば、まだまだ終わっていないという理解です。
――起訴にならなかった人(安倍派幹部)がフリップに並んでいますが(萩生田2,728万円不記載、世耕1,542万円不記載、西村100万円不記載、高木1,019万円不記載、松野1,051万円不記載)、これは額が比較的小さいと判断されて不起訴に決まったと見る向きもあるんですが、今後、額が小さくても事を動かせるとお考えということですか?
上脇:おっしゃるとおりで、これ実はキックバックの金額だと予想されるんですが、「中抜き」、私は「持ち逃げ」と呼んでいますが、その金額はわかってないというか、本人たちも発表してないと思います。そう考えると、みんなで裏金をつくったんだから、一人ひとりの金額だけを見るんではなくて、みんなで6億とかいう、そういうお金を裏金にしたこと自体が罪に問われるべきだと考えるので、私は金額が少ない人も全員告発しようと思っています。
――(裏金が)どういうふうに使われたのか、使われ方によっては、税金だって払ってないわけで、脱税にも当たるだろうと思ってらっしゃる方は多いと思いますが、確認がなかなか難しいと。で、政治資金規正法は、支出を報告書に記載するという定めがあるということですから、今の法律でも、本当は記載しなければいけないし、記載しなくてもいいと思っていたなんていう言い訳を通用させてはいけないということですね。
上脇:おっしゃるとおりです。法令遵守しなかったわけですから。ずーっと隠してた。今回の件で私が告発しなかったら、ずーっと隠したままです。そんな人が、法律上の責任は問われるべきですけど、百歩譲って問われなくても、政治責任をとるべきです。議員辞職をしないと国民は納得はしないです。
――先ほど「中抜き」という話が出てきましたが、キックバックとはそもそものしくみがちがいます。キックバックの方は、議員がまず派閥に(パーティー券の売上収入を)申告して、(ノルマ額を)いっぱい超えた部分を戻しましょうということですが、「中抜き」は議員が途中で抜いてしまう。……会社で言えば、営業が売り上げを会社に納める前に、自分でノルマ以上だからと言って抜いてしまうのが「中抜き」だから、「中抜き」の方がより犯罪性が強い、「横領」ですから……と思うんですけど、上脇さんとしては、これは立証ができないということですかね?
上脇:(「中抜き」は)おそらく客観的なもので確認するのは相当難しいんです。たとえば口座に入っていて、それを派閥に届けなかったのか、現金で受け取ったのか、そういう細かいところまで確認できないと、これはわからないので。しかも、「中抜き」するような人ですから、正直に答えるはずもないんです。泥棒でも、証拠をつきつけられて初めて「自白」するわけですから。……キックバックの方は「自白」せざるを得ない。だから、収支報告書を訂正します、ということですけど、「中抜き」については黙っていような、という可能性が相当高いです。
――「中抜き」は、結局検察とか国税(庁)がその気になって口座を調べればわかるわけですよね? それしか方法はないと。
上脇:おっしゃるとおりで、口座に入っていれば確認できます。ところが現金だった場合には、相当確認が難しいですよね。
――今日も安倍派所属の二人の政務官が収支報告書訂正するということで辞任することになりましたが、上脇さんはこれらの訂正をもとに(証拠にして)、続けて刑事告発するおつもりだということです。ただ、我々としては、また額が比較的少ないということで、不起訴になってしまうのではと心配してしまうんですが、不起訴になれば検察審査会への申し立ても考えていらっしゃるということですか?
上脇:そうです。これは検察の処分(不起訴多数)で終わりではないと。市民の代表である検察審査会のメンバーに判断してもらうと。3,000万円というわけのわからない線引きはおかしいと、いうことを市民に判断してもらいたいですね。……<以下略>

 収支報告書の「訂正」を「自白」だというのは、言い得ていると思いました。自民党の国会議員だと、本人が違法行為を「自白」していても処罰されないというのは、法の下の平等、法の支配に反します。上脇さんの言うとおり、法的責任をとらせるのはもちろんですが、かりに不起訴・お咎めなしになったとしても、最低限政治責任はとらせないといけないと思います。裏金を何に使ったのか、「抽斗の中にしまったままで(一銭も)使っていません」などという言い逃れを許してしまうかどうかは、最終的には「国民」次第です。

 今日から2月。もうすぐ確定申告が始まりますが、税務署の職員からしても、検察や国税庁がちゃんと仕事をしてくれないと立つ瀬がないよ、と思っている人は多いだろうと思います。



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