ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

北朝鮮のミサイル「乱射」のこと

 連日北朝鮮からミサイルが飛ばされているようです。こんなに短期間に、さながら「狂ったかのように」次々とミサイルが「乱射」されたことはありません。Jアラートで警戒や避難が呼びかけられた地域はたまったものではありません。大事な仕事や約束、行事が、このような蛮行で何度も台無しにされたら、怒りをいったいどこにぶつけたらいいのか。

 しかし、同時に疑問をおぼえることもあります。このミサイル「乱射」は、韓国が尹(ユン)政権に替わり、米韓合同軍事演習が5年ぶりに大規模化されたことへの反発・対抗措置だというのが理由だとされていますが、米韓が合同演習を実施するのが今回初めてというわけではありません。素人には詳細はわかりませんが、発射の頻度が増せば増すほど、手違いや計算外のことが発生する確率が上がります。偶発事が軍事衝突に発展するリスクもあるでしょう。それを承知していても、なおこのようなかたちで危機感をmaxで表出させる必要があるのか。米韓の演習に軍事衝突も辞さない「意図」「誘導」の側面がないとは言えませんが、そんな「誘い」にわざわざ乗っかれるほどの戦力は、客観的に見て、北朝鮮にはないでしょう。そんな「計算」もできなくなるほど、北朝鮮の政権指導部は「狂って」いるのか。この数日間のミサイル発射で相当な経費も浪費しているはずです。それとも、「見合う」何かが得られる見込でもあるのか。核実験再開が近いという話もあります。
「ゲリラ戦法」? 北朝鮮の弾道ミサイル発射 | | 坂口裕彦 | 毎日新聞「政治プレミア」

 こう毎日何発も発射されると、いつのどれの話だか分からなくなりますが、11月3日の朝に発射されたミサイル3発のうちの1つはICBM(大陸間弾道弾 7:39発射・日本海落下)で、韓国軍の発表では、飛行距離約760キロ、高度約1,920キロ、速度マッハ15(1分間に約306km)、残りの2発は、短距離弾道ミサイル(8:40発射・朝鮮半島東岸落下)で、飛行距離約330キロ、高度70キロ、速度マッハ5(1分間に約102キロ)だそうです。
【詳しく】北朝鮮 弾道ミサイル「火星17型が飛行に失敗か」 | NHK | 北朝鮮 ミサイル

 防衛省によれば、「3発の弾道ミサイルとは別に、政府は午前7時50分ごろから8時ごろにかけてJアラート=全国瞬時警報システムなどで、宮城県山形県新潟県を対象に北朝鮮からミサイルが発射され、上空を通過したとみられるなどと情報を発表しました*」とのこと。Jアラートと3発の弾道ミサイル発射が「別個」(関連なし)というのがそもそも意味不明ですし、高度2,000キロの宇宙空間を「日本の上空」と称するのもどんなものかと思いますが、ミサイル発射が7:39で、Jアラートの発出が7:50です。ミサイルが高度1,920キロまで上がっていたとしたら、計算上は、7:53頃に日本海のどこかに落ちています。Jアラートを聞いた国民に、この2、3分で一体どうしろというのでしょう。しかも、「上空を通過したとみられる」と言いながら(手前の日本海に落ち)、実は「日本海上空でレーダーから消失」し、捕捉できていなかったというのです。
* Jアラートについては、ミサイルの日本の上空通過が予測された時刻から2分遅れて発令されたという話もあります。
社説:Jアラートの混乱 信頼性高める改善が必要 | 毎日新聞

 根拠もなく言えることではありませんが、日本の国政選挙の前になるとタイミングよく北朝鮮からミサイルが発射されるという「都市伝説?」があります(安倍政権がピンチになると…という話もありましたが)。今は、国政選挙を控えた時期ではありませんから、この「伝説」には当てはまらないようにも思えます。しかし、もし、某カルト団体が自民党政権安倍氏)と北朝鮮政府の仲介役を果たしていたとなれば、その団体が今日本で最大のピンチを迎えているわけで、北朝鮮に頼み込んで(金は出すから?)ミサイルを発射してもらえれば、日本の国民の目を逸らす効果は十分あるのでは……などと、勘ぐりたくなります。

 防衛費増額を既成事実化というか、もくろんでいる一部にとっても、このこと自体、国防意識を喚起できるので、悪い話ではないでしょう。これは、数値目標を示さず(データに基づかず)、とにかく節電要請をして、電力逼迫のムードをつくり、原発稼働やむなしの世論を誘導するのと似た感じがします。

 このミサイル発射を受けて、政府の要人たちはどう言っているかというと、
 松野官房長官談:「……国民の安全と安心の確保に万全を期す。……国民の生命財産を守り抜くため、引き続き情報の収集分析および警戒監視に全力をあげていく」。
 岸田首相談:「連日続く発射は、暴挙であり、決して許されるものではない。」

 絡んでも空しくなるだけなのですが、「国民の生命財産を守り抜く」とか、「全力をあげる」とか、「決して許されるものではない」とか(毎度のことながら人の作文を棒読みして定型句をくり返していますが)。で、総理大臣と官房長官、あなたがた、何をされるおつもりなんですかと。自分がしゃべっていることの「意味」や「重さ」がわかってるんでしょうか?
 ひとつだけ申し上げたい気がするのですが、北朝鮮の暴挙を決して許さないで、かつ、全力で国民の生命を守り抜くとしたら、長く内閣の「最優先課題」ということになっている拉致問題の被害者たちはどうするお考えなのか。まさか拉致被害者たちが「守り抜かねばならない国民」でないはずがありません。この状況下でどうするつもりなのか、何が可能なのか、是非お尋ねしたいです。



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