ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

「ありがた迷惑」

 今日は短く。
 昨日知ったニュースにはいくつか驚かされるものがありました。
 物議を醸した国葬が終わって、今週から「修羅場」の臨時国会に臨む岸田首相、このタイミングでご長男を首相秘書官に任命する意向であることがわかりました。支持率下落に悩む首相にとって、この人事が少なくとも支持率アップにつながるようには思えません。むしろ逆効果になるのではと考えないのだろうか、と思うのですが、傍らでついつい出てしまう愚痴を息子にでも聞いてもらいたいのでしょうか。
 政治記者らは、元首相の福田康夫・達夫親子のように、最側近でノウハウを学ばせる意向があると解説します。岸田首相にも、長男氏にゆくゆくは選挙の地盤を譲り、やがては総理を目指してほしいという「親心(親バカ)」があるのかもしれませんし、ひょっとしたら、政権自体がそう長くはないという自覚や予感があって、舞台裏の貴重な数ヶ月(数日かも知れません!)を息子に間近で見せておきたいという気持ちが働いているかも知れません。息子の翔太郎氏にしても、引き受けるつもりでしょうから、「ありがた迷惑」とは思っていないのでしょうが、しかし、いずれにしても首相秘書官の給与(年収で1,000万円超?)は税金です。コロナ不景気と物価高に日々苦しむ国民からすれば、このような政治の私物化をまたしても見せつけられて、いい気持ちはしません。世襲の準備なら、公費でなく私費でどうぞって話です。
長男・翔太郎氏を首相秘書官に任命した岸田文雄首相に「やりたい放題」呆れる声 背景に岸田内閣の政権末期と4代世襲準備のしたたかさ | 週刊女性PRIME
岸田首相の長男・翔太郎氏(31)を秘書官に抜てき 年収1000万円超?支持率下落の中で身内人事「メリット全くわからない」|FNNプライムオンライン

<追記 2022.10.7>
岸田文雄首相“長男は公設秘書だった問題”に党内騒然!「親族はやめようと言う話」は有名無実化 | Smart FLASH/スマフラ[光文社週刊誌]


 しかし、この縁故主義・公的人事の私物化がかすんでしまう妄想妄言がありました。三重県自民党県議が10月2日に「国葬反対のSNS発信の8割が隣の大陸からだったという分析が出ているという」と驚愕のTweetをしました。10月3日付毎日新聞の記事から引用します(年齢等は省きます)。
「国葬反対の8割、隣の大陸から」 三重の自民県議がツイート | 毎日新聞

……三重県の小林貴虎県議=自民=が2日、ツイッターに「国葬反対のSNS発信の8割が隣の大陸からだったという分析が出ているという」と投稿した。特定の国民や民族に対する差別を助長する恐れがある内容。3日に開かれた県議会の代表者会議では、他会派から「悪質なデマだ」「何の根拠に基づいた発信か明らかにすべきだ」などと批判が上がった。
……小林氏は投稿した内容の根拠について「ソースは以前三重の政治大学院でもご講演いただいた事のある現職」とも書き込んでいた。3日の取材に「隣の大陸」とは中国を指しているとしたうえで「政府の調査のデータだと講演者から聞いた」と語った。講演者の名前は明かさなかった。
 ヘイトスピーチに詳しい師岡康子弁護士(東京弁護士会)は「根拠がなく、差別の扇動にあたる内容だ。公人が差別を助長してはいけないと定めた人種差別撤廃条約にも反している。県議会としても責任を追及すべきだ」と指摘した。……

 発言内容の出所について、同県議は昨日4日の昼、

さて
皆さん非常に関心が高い様なのでお答えすることにしました。
私が総理大臣になって頂きたいと強く願っている高市早苗先生が、政府の調査結果としてお伝えいただいた内容です。

と、Tweetしています(※下線は当方が施したもの)。
https://twitter.com/eternalhigh/status/1577137702339719168

 名指しされた高市大臣は、新聞取材で「日本政府が情報操作に関して調査した旨の発言は、私からはありません」と回答していますが、もし、どちらかがウソをついているのであれば、あやふやにせずはっきりと白黒をつけるべきでしょう。
「根拠は高市早苗氏」 国葬反対「8割が大陸から」と投稿の県議 | 毎日新聞

 それにしても、国会議員が国会議員なら、地方議員も地方議員で、もはや日本の「公人」の知的レベルとモラルの低下は怖ろしいレベルに達していますね。漢字が読めないなどと失笑していた頃が懐かしくさえあります。こんな状況で、北朝鮮のミサイルが飛んだとアラートを響かせて、国民の警戒心を煽っても、肝心のリーダー諸氏がこれでは、何か事が起こっても、これまでと同様、自己責任、自力救済ということになるのではないかと危惧します(先週静岡市で6万戸も断水したのに、岸田首相かそれに準ずる誰かが、現場の視察に駆けつけたという話は寡聞にして聞きません。国民の半数以上が反対する国葬と意味のない「弔問外交」にかかりきりだったわけです)。

 この小林県議の場合、自分の発言の裏付けに高市大臣をもってきて、自らを権威付けているというよりも、責任転嫁をしている節もありますが、発言の根拠(震源)がわかったからといって、その内容で実際に発言した当人の責任が免除されるわけではありません。「国葬反対のSNS発信の8割が隣の大陸から」と聞いてエーッ!とすら思わない、その認識こそが問題でしょう。
 「総理大臣になって頂きたい」と県議に願われた高市大臣にしても、他人からこんなかたちでこれまで自分がしてきた「おべんちゃら」と同じことをされてみて、どうなのでしょうか。もし、総理大臣になる器のある人なら、少しは何か感じるものがあるはずだと、勝手に「期待」したいのですが。「ありがた迷惑」でしょうけど……。

<追記>
臆測広がる「大陸8割」発言 識者「高市氏、事実関係の説明を」 | 毎日新聞



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