ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

岸田内閣支持率急落をめぐる討論

 昨日の毎日新聞の一面トップは岸田内閣の支持率が急落したという記事でした。内閣改造後に支持率が下がるのは異例とのことですが、下がって当然のことをしていると思います。統一教会の関係者は少なくとも新内閣からは外すだろうという大方?の予想に反して、逆に増えています。これでは何のために、1ヶ月前倒しして内閣改造をしたのか分かりません。さらに、改造=仕事が一段落して夏休み入りし、1年半ぶりにゴルフに行って、「パー3つ」などと笑顔でコメントする岸田首相の映像が流れましたが、その夏休みを満喫しているあいだに、国内のコロナ新規感染者数は過去最多を記録しました。夏の静養を取りやめた天皇家と比較するのも何ですが、世の空気を読めているようには思えません。おまけに、休暇を終えて帰ってきたら、コロナに感染しました!?です。1ヶ月後の安倍氏の「国葬儀」に向けてこのまま突っ走るのか、肝心なことから逃げていては、国民のあいだにますます不信と不安が広がるでしょう。

 この点で、8月20日付デモクラシータイムスの冒頭の話は興味深かったです。実際に動画を見た方が早いのですが、以下に、出演各氏の発言を起こしてみます:2分30秒過ぎから)。
国葬やっている場合じゃない! 国民欺く「統一教会・自民党」 WeN20220820 - YouTube

 高瀬毅統一教会の報道がいろいろ出てきてから、「何だ、これは?」、「国葬に値するのか?」というような感じになってきてますよね。
 齋藤貴男世論調査の数字を見ると、そんな感じですね。
 高瀬:北丸さんは、どんな感じで見てますか?
 北丸雄二:そもそも、法律で決まっていないことを閣議決定ですること自体が問題で、安倍さんの時から、何でも閣議決定で決めちゃう、日本語の意味まで決めちゃうと(笑)。この「国葬」というのも、その定義を、閣議決定で決めちゃうのかな、という感じがしますね。
 高瀬:国会というのが機能しなくなっていますよね。みんな行政の方が決めていくっ、ていう。望月さんはどう見てますか?
 望月衣塑子:(安倍襲撃)事件から6日後で、早くに決断して、野党が異議を唱える前に決めたというところが、素早いなと思ったんですけど、結果として、統一教会自民党、特に安倍派との闇がここまでクローズアップされて、直近の世論調査では、共同通信の調査がわずかに改造後3%アップしましたけど、日経、読売、どちらも支持率が下がっていて、読売に関しては過去最低を記録しています。それでも、まだ4,50%あるという意味では高いとは思うんですけど、岸田さんはこんなことになるとは思っていなかった、読み間違えたんじゃないかなと思うんです。これ、なかなか(国葬を)止めるという決断はしづらいと思うんですけど、9月27日まで、おそらく国葬統一教会に関する議論というのは続くと思いますので、この勢いでいくと、岸田さんの(内閣の)支持率はどんどん下がる一方かなと思います。
 高瀬:今、望月さんから、国葬をやるとパッと決めたけど、読み間違えたんじゃないかという話が出たんですけど、これについて、鮫島さんはどうお考えですか?
 鮫島浩:岸田さんは、国葬をやると人気が上がると踏んでいたと思うんですけど、その後、統一教会の問題が噴出してきて、何だこれは、ということになって、大きく踏み間違えたというのは間違いないと思いますね。私の見方では、岸田さんが本当にリーダーシップをもっていて、権力を掌握しているのであれば、止めると思うんです。止める、ないし、形をかえてやる、内閣・自民党の合同葬に変えると。ただ、それはできないと思うんですね。できないということは、やはり岸田さんは権力を掌握していない、周りががんじがらめにしている。別に岸田の人気が落ちてもいいやと思っている人はいっぱいいますからね。国政選挙は(当面)ないし、一時的に支持率が落ちたくらいの方が、総理大臣のやりたい放題にならなくていいやと思っている、財務省の人とか、麻生副総裁とかね。周りの人がこれを押し通して、岸田が調子に乗らないように、支持率は少し落ちた方がいいわ、というね。権力って、本当にずるくて、野党が強いと、そんなことは言っていられなくて、みんな協力しますが、しばらく国政選挙もないということになると、内輪の喧嘩になって、総理大臣の力が強くなると困ると思う人はいるんですね。……そういうのを押しのけて、自分の地盤を強化するんだったら、岸田さんは国葬を止めた方はいい。でも、止めるに止められないとすれば、岸田さんの権力はそこまではないということですね。
 高瀬:とりあえず神輿に担がれて、そこから落とされないように、バランスをとりながらやっていくと。
 北丸:安倍派のキャップが外れて、群雄割拠で、各派が蠢いているという。
 鮫島:みんな、安倍派が怖い怖いと言うけど、実は読みが早い人は、これはもう凋落するなと思っている。逆に言うと、岸田政権は、衆議院参議院(の選挙)で勝ったんです。しばらくは選挙がないから、うまくいけば岸田さんは大総理大臣になる可能性がある。だから、感度がいい人は、あんまり岸田が強くならない方がいいなと思っている、少しくらい支持率が落ちた方がええわ、という。そういう権力内部の足の引っ張り合いの一断面として、この国葬問題は見ることができると思うんですよ。
 高瀬:そう考えると、逆に、安倍さんは盤石だったってことですかね?
 鮫島:いや、盤石ってこともなかったんですけど、麻生か安倍かで競い合っていて、最後に残るのはどっちかってときに、ぽこっといなくなっちゃったので、岸田・麻生連合が急に強くなったという状況にみんなまだ対応できていなかったんですけど、徐々に見えだしてきて、このままだと岸田が強くなりすぎるんじゃないかと、そういう局面に今移りつつあると思いますね。
 高瀬:なるほど。
 北丸:9月に国葬をやるっていうんですけど、そのとき、もう国葬をやるっていう雰囲気じゃなくなってると思うんですよね。
 高瀬:これからの報道次第だと思いますけど。まあ、(国葬を)やることはやるんですけど、国民の側からものすごい不満が出てきて、(政府が)黙祷のお願いもできないとか、みんなそっぽを向いちゃってね。それでもやりますっていうけど、知らないよ、っていうね。
 齋藤:ただ、今、一部のテレビと週刊誌が(統一教会問題の報道に)頑張ってますけど、新聞がしっかりやっているとはとても言えない。そういう中で、この先もずっとちゃんとやってくれるか、僕は正直心配ですね。ある時期、たとえば9月に入ったら、パタッと止めちゃうとかね。それで、さっき世論調査の話がありましたけど、今のところ多くの人たちは統一教会問題を見て、嫌だなという気になっていると思うんだけど、本来、国葬なんてものは誰であってもやってはいけないものだと思っています。北丸さんが言ったように、法的根拠もないのにね。内閣設置法というのは、国の儀式として決まっているものを誰がやるかっていう法律で、これ、国の儀式として決まっているわけじゃなかったのに、この法律を使うなんてデタラメもいいところで、超絶解釈としか言いようがない。それで、もしこれをやれば、神格化される。すでにもう、半旗を揚げろって言っている自治体、教育委員会が出たりしましたけど、別に命令なんかしなくても、必ずそういうのは出てきます。それを学校に下ろして、生徒にやらせる。生徒の親の中には、子どもを休ませようかな、とかいろいろ悩む人がいると思うんですよ。かりに休んだ、黙祷を拒否した、そうしたらいじめられるんだろうな、とかね。そんなことを全員が考えなければならない。これ、権威主義対民主主義なんて軽く言ってますけど、権威主義みたいに「やれっ!」て命令しないだけで、むしろ搦め手でやってくる分、いやらしい。けれど、やってることは結局一緒ですよね。
 北丸:国旗・国歌の強制のときもそうでしたよね。みんな、強制はしないと言いながらも、結局(国歌斉唱で)立ち上がらなかった人を処分するとか……。
 齋藤:そうすれば直接命令されなくても、教育委員会の長とか、学校長、先生たちは忖度するわけですよ。それがわかっていてやっているところが非常に薄汚いと思いますね。
 望月:政府は、祈りを強制はしないけれど「期待する」という言い方を始めていて、すでに半旗を掲げているところがあるので、そういう意味で心配ですけど、モリカケのときは2月頃から報道が始まって、約5、6ヶ月は報道が続いたんですよね。今、安倍さんが銃撃されたのが7月ですからね。メディアが報道を止めるというのは、テレビで言えば視聴率が下がったときです。モリカケ疲れみたいなのが、あのときは確かにあったんですけど、5、6ヶ月を過ぎたあたりから、選挙も近かったんですが、そういうのが現れてきて、今回は始まりが7月で、まだ8月、9月で、徐々にメディア各社がヒートアップしてきてる状況で、やってなかったフジテレビも、昨日BSプライムあたりでやっと、おっ、始まったかって感じで。
 齋藤:あとは、ああいうことはもう二度とあってはいけないということで、全国から都道府県警が集まるでしょ。たとえば飲み屋で、普通に営業ができるのかってことですよね。(昭和天皇の)大喪の礼とき、当時僕は独身でお金があったから、青山のクラブで宴会やろうって言ったことがあって(不謹慎だなあ 笑)、その場は盛り上がったんだけど、ママから電話があって、頼むから止めてちょうだい、と。どうしてですか、って訊いたら、その日は警察官が見回りに来る、こんな日にそんなことをやってるのがバレたら、必ず潰される、あなた責任とれる?って。
 高瀬:今回は歌舞音曲の禁止まではやらないという話が出てますが……。
 齋藤:いや、そんなの出さなくたって、お巡りさんが見回って、ちょっと一言声をかける、これは経営者にとっては怖いですよ。
 北丸国葬に対する見方が9月27日までの間にどんどん変わってくるから、それができなくなるのは確かでしょうけど、メディアとしては、たとえば学校での半旗掲揚とか、生徒たちに何を強要するかとか、「期待する」というのは、事前に報道することでいろいろなけん制になるとは思うんですね。
<以下略>




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