ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

金平さんのレギュラー降板のこと

 長年踏み込んだ調査報道で知られるTBSの「報道特集」ですが、2010年からキャスターを務めてきた金平茂紀さんが、今月いっぱいでレギュラーから外れることになったことが話題になっています。昨夕放送された番組は直接見ていないのですが、夜、録画された動画を見て、金平さん本人が短いコメントの中にどれだけの思いを込めたのかを想像しました(以下は「なつみかん」さんTweetから借用したものです)。
https://twitter.com/natsumiccann/status/1566051383601930241

 日刊ゲンダイの記事によると、金平さんのレギュラー降板の背景には、局の上層部(経営陣?)との軋轢があったとのことです。
【TBS】【独自】「報道特集」金平茂紀キャスター降板決定 TBSから“筑紫イズム”の火は消えるのか|日刊ゲンダイDIGITAL

 しかし、「降板」といっても、そこはおとなの「取引」で、上層部としては、金平さんが番組から「外れた」という「事実」が欲しいのでしょうから、それを認める代わりに、金平さんは不定期で「特任キャスター」として今後も番組には出演すること(金平さんより半年前に先行してレギュラーを「外された」形の日下部正樹キャスターと、もし同様だとすれば、3回に1回くらいの割合で出演がお休みになる感じでしょうか)、後任に次代のホープ、村瀬健介氏が据えられたことなどは、金平さん本人はもちろんのこと、膳場貴子キャスターら「制作」側からの抵抗が強かったことの証しでしょう。「制作」側もそんなにおいそれと上層部の圧力に屈したわけではなかったのだと思います。
 それにしても、プラス・マイナスでは決してプラスになったとは言いがたいわけで、部外者に真相はわかりませんが、何でこのタイミングで、という疑念は消えません。もし、今回の「降板劇」の背後に、外から働いた何らかの圧力があったとしたら、局がスタッフを守らなかったというのは恥ずべきことです。

 昨夜(9月3日)の「一月万冊」でも、この件が取り上げられていました。佐藤章さんは「ジャーナリストの仕事というのは、一生懸命仕事をすればするほど、常に敵をつくる。これはジャーナリストの宿命だ」と強調しています。
安倍晋三の亡霊に怯えて統一教会問題を隠すのか?TBS報道特集金平氏の降板は自民党とマスコミ上層部の圧力だ!報道記者への圧力・実体験を語る。元朝日新聞・記者佐藤章さんと一月万冊 - YouTube

 佐藤今の「統一教会問題」について言えば、亡くなった筑紫哲也さんが編集長をしていた『朝日ジャーナル』が、ものすごく頑張って霊感商法を取り上げたわけです。脅迫電話とかがあってもやったんですね。もし、これを当時やらなかったら、どうなっていただろうか。大変な問題になっていたんではないか、たぶん今以上に、と思いますね。そのあと、オウム真理教の事件があって、統一教会の問題は影が薄くなってしまったんです。(サリン撒くとかは、インパクトがあるから)そうなんですよ、で、ジャーナリズム、メディアが放っといてしまったんです。被害者も救済しなかったし。……そして、山上容疑者の事件が起こって、安倍さんが亡くなったわけです。とすると、安倍さんと統一教会の問題、これを放置したらどういうことになるのかということですよ。それから、萩生田さんの問題(統一教会との関係)も放置したら、あるいは、自民党統一教会のつながりも放置したら、日本の政治や社会はどうなってしまうのか、ということです。ここにこそ、ジャーナリズムやメディアの仕事があるんです。だから、報道をすればするほど、統一教会とは軋轢を生じる。ネトウヨからも攻撃されるかもしれません。でも、そんなことを言ってたら、ジャーナリストの仕事はできないんですよね。

 とすると、たとえば、「ジャーナリスト」を称するフジテレビ上席解説委員のこの人は何なのでしょうか?

安倍晋三さんのどこが国葬に値しない政治家なのか誰か教えてくれ フジテレビ上席解説委員 平井文夫|FNNプライムオンライン

安倍晋三さんのどこが国葬に値しない政治家なのか誰か教えてくれ」?――本気で理由を「知りたい」「教えて欲しい」と思うなら、簡単な話、御託を並べてないで、連日国会前に集まっている人たちに訊けば「教えて」もらえるんではないでしょうか。「ジャーナリスト」ならば、「上席」に座ってないで、自分で取材に行こうくらいのことを考えないのか。行けば、取材を通り越して、必然的に集まった人たちと激論になるかもしれません。でも、安倍氏国葬に値しない理由を知りたいんだからやむ得ない。それをしないのは、反対する人のあいだに入っていくのが怖いとか、面倒とか、要するに、本音では「知りたい」とか「教えて欲しい」とか、どうでもいいということでしょう。

 まだ他にもいますが、こういう魂のない記事は読むに値しないと思う人が増えないと、この種の「ジャーナリスト」はいつまでたっても御用テレビ番組で厚遇されて跋扈し、我々に目くらましを続けるということだと思います。

 金平さんには引き続き現場主義の取材を通して我々に真実を伝え、事実を掘り下げて欲しいし、併せて後進の育成もお願いしたいと思っています(ちょっと要望事が多いですね。みんなでやらなければ……)。




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