ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

「香典のつもりか!」

 3度めの「緊急事態宣言」が始まった。新聞で感染状況を毎日確認しているが、小生の居住地の新規感染者数は4月以降1名で来ている。スーパーなどへ行っても特に大きな変化は感じない。都市部の人には申し訳ない状況だ。しかし、東京都ほか、感染防止の「重点」地域にされているところで働き(学び)、暮らす人たちにとっては、格段に緊張感が違う。いくら惰性と化した「緊急事態宣言」だといっても、行政の指導を完全無視するわけにはいかない。問題は、行政の言うことに従えば大丈夫という安心や信頼がなくなってきていることだ(そういえば、ロックダウンに従わないドイツの人々を映す動画を見たが……)。

 4月25日付朝日新聞の記事に強烈な一言があった。

文化施設休業すべきか 協力金2万円「香典のつもりか」 [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル

休業すべきか、継続すべきか――。3度目となる緊急事態宣言の適用前日の24日、映画館や劇場、美術館などの文化施設は、東京都による休業要請などの対応に追われた。

 休業要請の対象となった「TOHOシネマズ」「松竹マルチプレックスシアターズ」「ティ・ジョイ」「イオンシネマ」など大手シネコンの多くは25日からの営業休止を発表した。映画館団体の全国興行生活衛生同業組合連合会(全興連)は政府に対し、座席数制限や時短営業などの対策を取って営業を続けられるよう陳情書を提出していたが、認められなかったという。映画興行会社幹部は「感染拡大を止めなければならないので仕方ない部分はある」としつつ、「東京の映画館が休業すれば、観客は神奈川や千葉、埼玉の映画館に見に行くことになる。これでどうして人流抑制につながるのか」と効果に疑問を呈する。
 一方で、1千平方メートル以下の商業施設で、休業の「協力依頼」の対象となったミニシアターの一部は営業の継続を決断した。
 東京・渋谷の「ユーロスペース」支配人の北條誠人さんは「大型連休前に突然で、心の準備もできていなかった」と言う。同館は、各作品のプロデューサーや配給会社などの意向を確認しながら協議を進め、休業せずに25日から座席数を半分にして継続する予定だ。「判断するにも、協力というあいまいな形のしんどさがある。なおかつ協力金として1日2万円。香典のつもりか

※太字は当方が施した。
<中略> 
美術館の大半も25日から休館となる。東京・六本木の国立新美術館で5月10日まで開かれる予定だった特別展「佐藤可士和展」は24日が事実上最終日になった。「駆け込み」で訪れた人も見られ、当日券を購入する列もできた。
 港区に住む会社員の女性(23)は25日からの休館を知り、急きょ駆けつけた。「ウイルスの変異株は感染力が強いから、休業要請でいままでと違う危機感を示さないといけないのかも」。ただ、本音では人数を制限しても文化施設は開けてほしいと願う。「長い大型連休にずっと家にいなきゃいけないなんて……」

<以下略> 

 先日の記者会見でスガ総理は、ある質疑で、「緊急事態条項」のような法制度がないと、政府としては国民にお願いしかできない(だから効果が上がらない?)、という趣旨のことを述べていたが、本当にそうだろうか? 休業補償をして事業活動をいったん止め、感染を抑え込む、その上で事業を再開させる。それならば多くの事業体は辛抱するだろう(すでに1年が過ぎてしまったが……)。これは「緊急事態条項」と関係なくできることだ。それとも「緊急事態条項」ができたら(中小規模事業体への)協力金の1日2万円が20万円になるとでも言うのだろうか。むしろ、逆にゼロにされるのではないだろうか。

 昨日行われた3つの補選・再選挙は、事前の予想どおりの結果となった。投票率は低いが、多くの国民は当然のことと受け止めているだろう。朝日新聞の記事から、焦点の広島選挙区にかかわる声や動向を拾ってみる。

【詳報】「河井夫婦にたたられた」広島で負けた自民幹部 [政治タイムライン] [衆参3選挙]:朝日新聞デジタル

 〇……自民は再選挙で「信頼回復」「クリーン選挙」を掲げた。しかし、長年の支持者からも冷ややかな目線が向けられた。
 2019年の参院選で、党本部は河井夫妻側に1億5千万円の資金を渡した。買収の原資との疑念もあるが、党本部は正面から向き合っていない。自民党員歴40年という70代の男性は自民候補の街頭演説を聴いて、「事件の総括もなく信じてほしいなんてどだい無理な話だ」と切り捨て、初めて野党候補に入れた。

 〇21:00 広島市中区 野党系の諸派新顔、宮口治子氏の支援者らが開票の行方を見守る広島市中区の会場で、宮口氏の選挙対策本部長を務める森本真治参院議員(立憲)は「(再選挙は)やはり『政治とカネ』の問題で、県民が怒りの思いを示す選挙だ。県民が『脱金権政治』の意思を示してくれると信じている」と報道陣に語った。

 〇高い集票力の公明党だが、今回は様子が違った。
 11日、JR福山駅前であった山口那津男代表の街頭演説。買収事件を「大勢の県議を巻き込んで」と表現した山口氏に、ヤジが飛んだ。「迷惑かけられたのは議員じゃない。うちらだ」……出口調査を見ると、最終的には公明支持者の8割が自民候補に投票した。でも、ある高齢の学会員が吐露した党への葛藤は簡単に消えそうにはない。「私たちを集票マシンと勘違いしていませんか」。

 〇22:35 参院広島選挙区の再選挙で当選を確実にした野党系の諸派新顔、宮口治子氏は午後10時半前、支援者が待つ広島市中区の会場に姿を見せた。涙目でマスクをつけたまま、「少し信じられない気持ちもあって、どきどきしている。本当にありがとうございました」と感謝の言葉を述べた。
 「『小さな声をしっかりと聞いていきたい』という私のぶれない気持ちを忘れず、頑張りたい。政治家として遠いところに行くのではなく、いつもの変わらない『はるちゃん』のまま頑張っていきたい」と語った。

 〇22:35 野党候補の当選確実報道を受けて、広島市内のホテルに設けられた自民新顔、西田英範氏の陣営の会場で、自民党の宮沢洋一・前広島県連会長(参院議員)は大勢の支持者らを前にマイクを握り、「最後まで河井夫婦にたたられたような、そんな気持ちがします」と恨み節を漏らした。


 宮沢氏には訊いてみたい気がする。——すべて河井夫妻のせいにしているように聞こえますが、そういう河井夫妻に1億5千万円もの資金を提供したのはどこの政党なんですか? そして、かたや、協力金が1日2万円なんですよ!

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