ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

河井裁判の記録 会計担当の供述調書

 昨日2月9日、東京地裁で河井裁判の第38回公判が開かれ、検察側から、河井案里・選挙事務所の会計担当者の供述調書が朗読され、自民党本部が提供した例の1億5,000万円の選挙資金の一部が、陣営スタッフ3人の運動員買収(「給与支払い」)の原資に充てられていたことが明かされた。

買収原資「自民本部からの1.5億円」会計担当者が説明 [河井夫妻の公選法違反事件]:朝日新聞デジタル
【激震 河井元法相公判】原資は「自民本部の金」 案里元議員陣営の運動員3人買収 検察が会計担当の調書朗読 | 中国新聞デジタル

 以下、中國新聞2月9日付記事より引用(スタッフの名前等は伏せた)。

 会計担当者の供述によると、克行被告の指示で党本部からの資金を管理する口座を開設。この口座の資金を使い、案里氏の選挙事務所のスタッフとして活動していた愛知県稲沢市の市議と元石川県議、男性運動員の3人に報酬を払ったという。
 3人は選挙区内の企業回りや有権者への電話作戦を担当。選挙運動はボランティアが原則なのに、克行被告から計251万円の報酬を受け取ったとされる。この日は、この男性運動員の証人尋問もあった。男性は参院選前後の2019年6月8日~8月1日にかけて4回にわたり計96万円を受け取ったと認め、買収に当たるとの認識があったと説明。うち2回は所得税を引いた額が振り込まれたとし「政党支部職員の給料を装ったと思った」と語った。


 これは、案里陣営が「ウグイス嬢」(車上運動員)に法定上限の2倍の報酬を払ったときの原資になっていたことがすでに判明しているだけに、さもありなんという話だが、個人的には【甲299証】の内容の方が気になっている。選挙資金1億5,000万円が広島県議や市議などへのばらまきにつかわれていたことを疑わせるからだ。しかも、こうした現金供与(贈収賄)は恒常化しているのか、参院選前年の平成30年分は収支報告書の上では「寄付」として処理し、領収書を添付して報告書を記載したが、この件については領収書をとるなどの指示は一切なかったという(「寄付」された側も知らん顔して済む話ではない!)。

 自民党本部が出したこの1億5,000万円(うち1億2,000万円は政党交付金=税金とされている)について、スガ首相は12月に「支部の党勢拡大などの政党活動のため、党内で定めた基準と手続きに従って、党本部から適切に交付された」と説明している。(河井案里氏への1億5000万円は「適切」 菅首相が書面で発表:東京新聞 TOKYO Web

 アベ政治の虚構があちこちで崩落している。



 なお、関係する供述調書の内容は以下のとおり(※個人名は伏せてある)。

【詳報・克行被告第38回公判】会計担当者の供述調書 党本部からの入金はLINEで克行代議士に報告しました | 中国新聞デジタル

【甲296号証】

 私は平成31年4月18日から令和元年10月末まで、河井案里事務所に勤務して会計を担当し、河井克行事務所で会計を担当しました。選挙スタッフだった〇〇さん、男性運動員に選挙運動報酬を支払いました。男性運動員は廿日市市や、広島市佐伯区などの広島市西部、東広島市を担当。〇〇さんは公明党の支援の取り付けや電話作戦を担当していました。
 6、7月の報酬として克行代議士から50万円を支払うように指示されました。6月14日のラインで、〇〇、男性運動員に6、7月に月額50万円ずつ支払うよう指示されました。6月分は克行代議士から、日割り計算して必要なお金を全額払うよう指示されました。6月28日、所得税源泉徴収から引いた額を支払いました。河井案里名義で、広島銀行八丁堀支店から38万3490円をそれぞれ振り込みました。
 令和元年6月分の給料をまとめて払いました。原資は自民党本部から自民党参院広島県第七選挙区支部に振り込まれた3千万円でした。6月10日、自民党本部から第七支部に3千万円が振り込まれていました。
 6月分の報酬額について、男性運動員から「少ないけど、60万円のはず」。〇〇さんから「報酬が少ない。50万円もらえるはずだったのに。克行代議士に聞いてもらえるか」と頼まれました。6月29日午後6時45分、克行代議士に、男性運動員は60万円、〇〇さんは50万円でいいかラインで聞きました。克行代議士から電話があり、「なぜあなたが聞くの? 気にすることじゃないから」と一方的に電話を切られました。私は5月、40万円を支払うよう指示を受けていました。
 7月3日、克行代議士から、参院選の期間限定の選挙スタッフだった元石川県議に40万円を支払うよう指示を受けました。3人とも40万円ぐらいもらう約束でした。7月31日、40万円から所得税源泉徴収をしたものを振り込みました。広島銀行安支店・自民党広島県参議院第7選挙区支部の代表河井案里名義から所得税源泉徴収を引いて38万3490円を振り込みました。
 克行代議士から7月31日、間違って40万円しか支払われていない、と連絡がありました。8月1日、広島銀行安支店・第七支部名義で3人に10万円ずつ振り込みました。克行代議士の指示で源泉徴収はしませんでした。


【甲298号証】

 平成元年31年4月18日から令和元年10月末に河井克行事務所および河井案里事務所の会計を担当していました。会計担当者として、〇〇さん、男性運動員、元石川県議の各人の選挙運動報酬を支払いました。6月24日に克行代議士から〇〇さんと男性運動員に40万円を払うように指示されました。6月28日に所得税源泉徴収を引いて支払いました。
 6月28日に広島銀行八丁堀支店で、自民党参議院広島県第7選挙区支部、代表河井案里の名義の口座から、〇〇さんの口座に38万3890円、男性運動員の口座に38万3890円を支払いました。
 令和元年6月分の職員の給料がまとめて引き落とされました。332万1829円が支払われ、この中から〇〇さんと男性運動員の報酬も支払われました。332万1829円は令和元年6月28日、人件費、10人分と記載されています。
 原資は、「別口座」と呼ばれる口座から自民党参議院広島県第7選挙区支部に入った552万6240円の一部を第7支部に移した540万円です。この552万円の原資は、以前、6月10日に自民党本部から第7支部に入金された3000万円と話しました。
 別口座に、政党助成金として自民党広島県第3選挙区支部の口座から4500万円が入金され、そのお金は党本部から支払われました。6月10日の党本部からの入金は、第3支部の4500万円が先で、3千万円が後でした。原資は、自民党本部から第3支部に支払われた4500万円になるのではないかと検察官から説明されました。口座は先に入ったお金から使うことになるので、原資は第3支部に入金された4500万円で間違いありません。6月分の原資は、6月10日に入金された4500万円と訂正してください。
 6月10日以前に、克行代議士から「6月10日に第3支部、第7支部に大口の入金があるから、報告するように。別口座に移動して管理するように」と指示されました。別口座は、広島銀行大手町支店で開設しました。河井案里飛翔の集いの口座も開設していました。大手町支店は中区中町の事務所から近かったので、大手町支店を利用しました。自民党本部から第3支部への4500万円の入金と、党本部から第7支部への3千万円の入金はLINEで克行代議士に報告しました。資料4に6月10日に克行代議士にLINEで1時40分ごろ、銀行で第3支部に4500万円、第7支部に3千万円が入金されたと確認しましたと送り、「ありがとう」と返信があります。党本部から入金があれば、速やかに報告するよう指示されていました。6月10日に克行代議士に報告しました。そしてその口座を広島銀行の別口座に移動させる手続きをしました。


【甲299号証】

 令和元年5月上旬以降、克行代議士の公設第2秘書の〇〇さんから第3支部、第7支部の会計を引き継ぎ、5月末に第3支部の収支報告書を作成し、克行代議士に確認してもらって選挙管理委員会に提出しました。8月25日に第3支部の職員の配置換えがあり、引き継ぎました。10月に〇〇さんに引き継ぎ、関与しなくなりました。5月ころ第3支部の収支報告書に餅代の領収書のことを〇〇さんから引き継いで処理しました。私は餅代を聞いたことがありませんでした。案里さんが参院選に当選した後に公設第2秘書になった〇〇秘書から、克行代議士が県議、市議に配る現金は、夏と冬のボーナスのようなものだと聞きました。報道によって氷代を知りました。平成30年分は寄付と記載して、添付しました。克行代議士、案里さんが県議、市議に寄付、交付金として領収書を徴収するよう指示し、市長、議長から受け取り、政治資金収支報告書に記載するよう指示を受けたことは一切ありません。克行代議士、案里さんの後援会の三矢会の実費で領収書を記載したことはありませんでした。


 

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