ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

3月の「危機」 4月の「政局」

 下げ止まりと言われるスガ内閣の支持率だが、2月の各世論調査を整理しておく。

       内閣支持率  自民党支持率 「青木の法則」指数
NHK     38     35     73/50
日本テレビ   39     37     76/50
テレビ朝日*  36     45     81/50
TBS     41     37     78/50
読売新聞    39     37     76/50
朝日新聞    34     33     76/50
毎日新聞    38     30     68/50
時事通信    35     26     61/50
                               
  平均    37.5     35     

*「報道ステーション


世論調査は2月中旬に実施されたものが多いが、それ以後の出来事を踏まえても、今月3月の内閣支持率が上がる要素は見当たらない。

2月 1日 緊急事態宣言下の深夜に東京銀座のクラブを訪れていたことがわかっ
     た自民党議員3名が離党。
2月 3日 公選法違反で有罪判決を受けた河井案里議員が辞職。
     文春が総務省幹部と菅総理長男の会食接待を報道。
2月 12日 森喜朗が女性蔑視発言で五輪組織委員会会長の辞任を表明。
2月 17日 緊急事態宣言下の夜に女性同伴で高級ラウンジを訪れていた自民党
     議員が離党。
3月 1日 山田内閣広報官が辞任を表明。


 自民党衆議院選挙の前に内密の調査を行うらしい。昨年末にも、総選挙に向けた調査を行ったようで、通常は一般議員にまで結果が知らされることはないようだが、今回は幹部を通じて知らされているケースもあり、その内容に戦慄が走っているようだ。以下、3月1日付朝日新聞の記事より。

「菅降ろし」へのさざ波 調査に戦慄、自民に危うい空気:朝日新聞デジタル

 新型コロナウイルスへの対応の迷走や、相次ぐ「政治とカネ」の問題などで支持率が下落を続けてきた菅政権。年内に衆院選自民党総裁選が迫るなか、昨年末に実施されたある調査結果が、自民党内にさざ波を立てた。
 今年1月、所属する派閥の幹部からその数字を突きつけられたあるベテラン議員はがくぜんとした。
 「このままでは負けるぞ」。幹部は言った。

 複数の党関係者によると、自民は昨年12月、水面下で衆院解散を想定した情勢調査を実施した。結果は、全体で50前後の議席減という極めて厳しいものだったという。
 こうした調査は、実施の有無さえ明かされず、結果は最高幹部にしか知らされないことが多い。だが、党幹部は危機感の共有を優先。各派閥幹部を通じて所属議員に伝えられた。
 このベテランの評価は「C」。評価は上からA、B、C、Dの4段階で、「C」は劣勢を意味する。連続当選を重ねてきたはずだが、相手候補に数ポイントのリードを許していた。「政治とカネの問題、そしてコロナ対策への不満。この厳しい状況で、どうやって勝つんだ」とうめく。

 菅政権の誕生から5カ月。発足直後の内閣支持率は、同時期の小泉、鳩山両内閣に次ぐ65%を記録した。しかし、新型コロナ対応や、菅義偉首相が多人数でステーキ店で会食していたことなどが批判され、昨年12月の世論調査では39%に急落。さらに、桜を見る会や、鶏卵業者から現金を受け取ったとして在宅起訴された吉川貴盛農林水産相=自民を離党=などの「政治とカネ」をめぐる問題が相次ぎ、今年1月には33%まで下落した。

 一方で、衆議院の任期満了は10月に迫り、首相は年内のどこかで選挙に踏み切る決断をしなければならない。政権発足当初、その高い支持率から党内では早期解散を求める声が上がっていた。いまでは選挙への不安が広がりつつあり、「あの時解散していればよかった」という声も漏れる。

「政局」発言に波紋、下村氏に同情も
 そんな危うい党内の空気を反映してか、党幹部の発言が大きな波紋を呼ぶ。
 1月5日、BS番組に出演した下村博文政調会長は、4月に実施される衆院北海道2区と参院長野選挙区の二つの補欠選挙について「ものすごく重要」と指摘し、こう述べた。「両方負けることになったら、政局になる可能性がある」
 永田町では、「政局」とは首相の進退など重大な政治の動きを意味する。
 「菅降ろし」の始まりを予感させるような発言に対し、ほかの党幹部から「余計なことを言って」と一斉に批判が上がった。周囲の猛反発を受け、下村氏は「政局にならない状況をどうつくるかというなかでの発言だった」と釈明に追われたが、閣僚の一人は同情した。
 「下村氏は正しいんだよ。正しいことを言うから、みんなに怒られる」

 <中略>

……菅政権の混乱は続く。
 3月1日には、首相の長男が勤める放送関連会社「東北新社」から7万4千円超の接待を受けた山田真貴子・内閣広報官が辞職。問題発覚の当初、首相は続投させる考えだった。官邸は辞職の理由を体調不良と説明したが、世論の批判に追い込まれたのは明らかだ。後手とも言える対応に自民内からも「なんではやく辞めさせなかったんだ」との声も上がる。
 この先もいくつもの困難なハードルが立ちはだかる。
 いま、緊急事態宣言で感染者数は減少傾向をたどるが、収束時期は見通せていない。東京五輪も、東京五輪パラリンピック大会組織委員会の会長だった森喜朗元首相の女性蔑視発言による混乱が起き、開催の是非をめぐる国民世論も二分されたままだ。
 4月には参院広島選挙区の再選挙と衆参の2補選があり、7月には東京都議選も控える。結果次第では、衆院解散をにらみ「選挙の顔」としてポスト菅を求める動きが本格化する可能性がある。
 この先の半年あまりで、「政局」は現実のものとなるのか。首相の政権運営は薄氷の上にある。


 今月はオリンピック開催の可否が問われる。海外の選手たちの反応によっては決断を迫られる可能性がある。それは日本の政治危機に直結するかもしれない。さらに、来月は地方選挙が目白押しで、同時に行われる国政選挙を与党が落とせば、スガおろしに発展するのは避けられないように思う。
 3月の「危機」と4月の「政局」——展開ははいかに?




↓ よろしければクリックしていただけると大変励みになります。


社会・経済ランキング
にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ
にほんブログ村