ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

休職と性加害

 文科省の調査によると、昨年(2023年)度に「心の病」で休職した公立学校の教員が6,539人(前年度比10.9%増)と過去最多を更新したそうです。精神疾患が理由で1ヶ月以上休んだ教員数を含めると総数は12,192人となり、特に20代の教員の2%、50人に一人は1ヶ月以上休んだ計算になります。学校現場で働く人たちの悲痛な叫びが、さらに深刻になっている状況がうかがえます。
精神疾患で休職の公立学校教員 過去最多 初の6000人超 20代が高い増加率 要因は? 教員不足 サポートが課題 | NHK | 教育
「心の病」で休職した公立教員、過去最多 前年度比10.9%増 | 毎日新聞

 今朝、毎日新聞でこの記事を見つけたのですが、隣には「性加害教員242人処分」という記事があります。こちらも同じ日に文科省が発表したものの記事だと思いますが、ひょっとしたら紙面構成をした編集者は、「心の病による休職」と「性加害」を “同根”と見ているかもしれないなと思いました。小生もそんな気がしています。ともに相対している「現実」は同じもので、外に現れたものと内に向いたものの違いなのでは、と感じたのです。
教員:性加害、教員242人処分 防止法、浸透せず 昨年度 文科省調査 | 毎日新聞

 小生もかつては学校で働いていた端くれなので、こういう物言いは何ですが、先生方には「マジメ」な人が多いと感じます。「マジメ」というのは、実直とか誠実とかという意味ではなく、人間が建前と本音の間を生きるとすると、自分をずっと建前の方に近づけてしまうという意味です。しかも、当人の性格だけでなく、職業柄、周囲からそういう生き方・振る舞い方を要求されもします。「先生なんだから……」という言い方や発想は自他を制約します。小生も、芸能人じゃあるまいし、四六時中周りの目を気にして生きてたら身が持たないと感じたことがありました。むかし、飲み会に行くと、警察と学校の関係者はすぐにわかると聞いたことがありますが、それはまさしくお酒の席では(他の職種に比べ)「建前」よりも「本音」の方が余計に現れて、その分悪酔いというか、酒癖の悪さが出てしまう(人がいる)からでしょう。酒でも何でも、普段たまっている鬱憤をうまく「発散」できれば、深刻な事態にはならないのかも知れませんが、それは年寄りの短絡的な「たわごと」で、それも話を聞いてくれる相手があったればこそでしょう。教員にかぎらず、むかしに比べて個々の人は「孤立」というか「個立」の傾向にあるのは否定できません。それは確かによい面もありますが、社会(関係性)という身ぐるみを剥がされて「健全」に生きていけるほど人は強い存在ではないと思います。しかも問題は絶えず更新されて複雑になっていきます。即効性のある解決策を見出すのはなかなか難しいと思います。
 昨夜のテレビでは、識者(大学の先生でしたか?)が相談しやすい態勢づくりが急務だというようなことをコメントしていましたが、はっきり言って、そんなレベルでどうこうできるような段階はとうに過ぎたと思います。仮に相談窓口が「整備」されて、教職員が(ある意味勇気を出して)SOSを発しても、聞くだけ聞いて、結局辛抱してくださいと言われるんなら、余計状態が悪化するでしょう。何とか個々の教員が「孤立」を感じないで働いていける環境をつくってつないでいくしかないように思います(小生は外野席で応援するだけですが)。
 そのために教育予算や人員を確保することは、最低限必要な環境づくりだと思うのですが、そこで当てにされるべき(自民党の)政治家たちの関心は、社会資本の整備よりも自らのカネの確保にあるように映ります。一昨日新聞に小さく政党交付金支給の記事がありましたが、税金からこんな大金を、政治活動の助成として今の自民党に与える必要性があるのかと、心底思います。
政党交付金:政党交付金 78億円9党に | 毎日新聞




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