ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

教育実習のパワハラ

 昨晩、webのニュースの見出しを眺めていたら、県紙千葉日報の記事が上がっていて、「あれ?」と思いました。元教育実習生が実習中に受けたパワハラで千葉県を提訴したというのです。むかし学校に勤めていた者として、これは看過できないと思いましたが、今朝の全国紙の地方面にも同様の記事がありました。
元教育実習生が千葉県を提訴 パワハラで就労不能に 「お前なんか教師になれない」指導担当の教員が暴言吐く | 千葉日報オンライン
「教育実習でパワハラ」 暴言や傷害 被害女性、県を提訴 /千葉 | 毎日新聞

 気の毒に思います。こんな「教師ガチャ」で夢や希望を台無しにされたとしたら、不運や不幸では片付けられません。小生もはるか昔に教育実習に行ったことがあります。担当していただいた先生は校内で(職階上)けっこう偉い先生で、終わって帰るときには必ず一声かけるようにと言われたので、毎日「今日はこれで上がります」と言いに部屋を訪れたのですが、「失礼します」と扉を開けると、だいたい同僚の先生と将棋だか囲碁だかをしてまして、返事だけしてこちらに目を向けないこともざらでした。そんな「大先生」が小生の実習日誌に最後に書いてくれた一言が、「教育というのは息の長い営みです」ですから、まあ、ひざかっくんです(笑)。

 小生はその後運よく教職に就けたので、今度は実習生を担当する立場にもなりました。全部で何人くらい受け持ったのかわかりませんが、1度に二人受け持ったこともありました。中には実習が楽しかったので(本人たちは「それですっかり勘違いして…」と笑ってましたが)教員になったという人もいるし、その逆もいます。公平のために言えば、特に教職志望はなく、大学の単位取得を主目的に教育実習に来るような学生もいましたし、中には生徒にセクハラまがいのあらぬちょっかいを出す輩もいました。ですから、実習生の側に「担当教師ガチャ」があるように、担当する先生の側にも「実習生ガチャ」があるということは、念のため申し添えておきます。
 
 それにしても、一般に、生徒に対して暴言を浴びせるような教員は、残念ながら今でもかなりいると思いますが、成人した学生に対しても同じように暴言を吐く(吐ける)教員はそこまでは多くないと思います(思いたいです)。しかるに、2,30年前よろしく、そんなことを平気で言えてしまうのですから、個人の資質の問題を越えて、学校教員というのは、公然と人を怒鳴ることができる(と勘違いできる)数少ない職種なのかもしれません。しかし、それも「昭和・平成」までの話でしょう。いったいどんな具体的状況に遭遇すると、その種の暴言を吐けるのか(吐いてもいいと思えるのか、しかも今のこのご時世に)、個人的には多少の関心はあります。記事にはそこまでの記述がありませんので、詳細はわかりませんが、もし、追跡記事を書けるようなら、記者の方には、是非その点も取材してほしいと思います。今年の3月にも高知県で同様の「訴え」が元教育実習生から上がっていますので、これはある県、ある学校での特殊な事例ではないかも知れません。
「教育実習中に指導教員から暴言パワハラ」 被害学生が訴え 高知 | 毎日新聞

 今回訴え出たこの女性には慰めの言葉も見つかりません。それでも、今は無理かもしれませんが、こんな非常識な言動をする教員はごくまれで、だいたいの教員は、ブラック労働とか何とか言われる中でも(諦めずに、いや、ひるまずに)、子どもたちが巣立って元気に生きていくことを念願しながら働いていると思います。このご時世に学校(母校?)に教育実習に行こうという気になったのですから、想像できるでしょう。是非その先生たちの気持ちを今後思い返してほしいと思います。


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