昨日沖縄・辺野古の基地建設にかかわる「代執行」訴訟の高裁判決が出され、福岡高裁那覇支部は国側の主張を認め、沖縄県に辺野古沖の地盤改良工事の承認を命じ、これに従わない場合、国が沖縄県に代わって工事を進めることが可能となりました。予想というか、ある程度覚悟はしていましたが、実際このような結果が出ると、落胆と怒りを感じざるを得ません。
沖縄 辺野古改良工事 県に承認命じる 国の「代執行」が可能に | NHK | 基地問題
前日に沖縄テレビが放映した稲嶺惠一元沖縄県知事へのインタビューを見ました。稲嶺さんは、防衛は国全体、国民全員の問題なのに、米軍基地問題が沖縄(だけ)の問題となっている現状を深く憂慮していました。「(代執行が)法律上正しかろうが、感情は別問題だ」「そこを配慮するべきだと何度も言ってるが、わかってくれない」と。そして、「沖縄がどんなに真剣に(基地移設反対を?)要求しても通らない。通るためにはどうしたらいいか。60%以上の国民のコンセンサス(合意)を得ることが重要なんです。つくづく感じるのは、沖縄としてそういう努力をしてきたかと言うと、私ははっきり言って足りないと思っている」と述べました。
辺野古代執行訴訟 きょう判決 稲嶺元知事「全国の問題」(沖縄テレビ)2023/12/19 - YouTube
沖縄の努力が足りない――この放送を見る人の多くが沖縄の人だとすれば、稲嶺さんのこの言葉は県民を鼓舞する意図があったのでしょうか。しかし、「本土」からすれば、これは謙遜のようにもとれます。ひょっとしたら「本土」に対する皮肉が込められているかもしれません。しかし、いずれにしても、小生には、「努力」が足りなかったようには見えないし、少なくともそれが沖縄県民の総意が通らない「決定的」な理由とは到底思えないのです。
これで国が代執行により、工事を進めていくとしても、この軟弱地盤は相当に手強くて、おそらく基地の完成には至らず、工事は半永久的に続くのではないかと思われます。かりに形だけ「完成」させたとしても、地盤は沈下するし、地震や台風によって全体が傾斜することも予想されます。基地機能に(というか、基地ではない他の施設だとしても)支障がある場所を、アメリカ軍は使用するでしょうか。――政府にそういうことがわからないはずがありません。
にもかかわらず、基地建設にこだわるのはなぜでしょう。利権でしょうか。それとも沽券でしょうか。そしてまた、それを止められない理由は何でしょうか。自民党の裏金問題ほどには、この件が報道されないように感じるのは、昨日の高裁判決が見えていたからだけではないように思います。