ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

給料とグラブ

 今日の衆院内閣委員会で特別職の国家公務員の給与を引き上げる法案が可決されました。首相や閣僚などの給与が引き上げられることから、野党が反対していた法案です(と思ったら、国民民主党の委員は今日採決で賛成しているんですね。ちょっと驚きました)。

特別職の国家公務員の給与引き上げ法案 衆院内閣委で賛成多数で可決 | NHK | 国会


 立憲民主党の安住・国対委員長は、この2日前に「物価高もあり、総理大臣や閣僚の給与が上がることは国民の理解は得られない」と批判していました。まあ、それはそうなのですが、「国民の理解が得られるかどうか」を反対理由の第一にするのは、あまり筋がよくなかったかもしれません。というのも、国民の多くから、首相や閣僚の給与アップに反対の声は上がっても、自衛官や国会職員らの給料が上がることにそれほど異論は出ていないわけで、それなら自分たち(閣僚)の増額分を削ると言えば、文句ないだろう、という話になるのは当然です。しかし、「自主返納」で「(法的)強制力」がないわけで、状況を見ながら(密かに)、いくらでも「元」に戻せるでしょう(たとえば、最初の1ヶ月分だけは「全額」返して、次の月からは知らんぷりして「元」に戻す……なんてことをわりと平気でやれてしまう人たちだと思っていますので)。そもそもが、当初は、「全額」でなく、「20~30%」返上すると言っとけば大丈夫だろうと、たかをくくっていたのですから。

 岸田首相は、半年以上先送りになって即効性がないと散々批判された「減税」を行い、賃上げの流れを確実なものにしたいというようなことを先に説明していました。小生は理解力が乏しく、これ自体よくわからない理屈なのですが、しかし、もしそうなら、来年夏以降、本当に賃上げが軌道に乗ったかどうかを見届け、それを受けて自分たちの給与の引き上げに進むべきで、「自分(たち)の賃上げは一番最後」というのが、リーダーとして本来あるべき姿ではないのかと、野党の方々に、個人的には、言ってほしかったところです。

 国民民主党の玉木代表は、この法案を出してきたことについて「タイミングを含め、センスが悪い」とコメントしていましたが、その言葉どおり、この件で、岸田首相の政治家としての「センス」を疑う人は確実に増えたことでしょう。それにひきかえ、夕方のニュースで知りましたが、来季移籍するかどうかで現在注目を集めているエンゼルスの大谷選手は、日本の全小学校約2万校に野球のグラブを寄贈することを決めたそうです。これは野球をやっている子どもたちはみな大喜びでしょう。野球をやらない子どもでも、是非贈られてきたグラブを見てみたいし、触れてみたいと思うのではないでしょうか。

大谷翔平選手のグローブ寄贈にMLB公式や海外メディアも反応。「歴史的な慈善活動」という紹介も | ハフポスト WORLD


 一方は、自分の給料を上げる法律を通そうとする政治家、他方は、子どもたちにグラブをプレゼントする野球選手――どちらが「政治的センス」に優れているのかは、あまりに歴然としている話に思えます。


社会・経済ランキング
にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ
にほんブログ村