昨日(11月17日)衆院の憲法審査会で議員任期延長の規定が議論されたそうです。このコロナ禍と物価高・円安下、一般国民の苦境は続きます。中には失業・廃業の危機にさらされる人もいる中、これは、国会議員が緊急事態にかこつけて、自分たちの失職を「防止」するセーフティーネットの議論をしているように映ります。憲法に規定される国会召集義務を再三無視してきた内閣を咎めることなく、国会を開かない、つまりは仕事をしないことを容認してきた人たちに、こういう議論をする資格があるようには思えません。
衆院憲法審査会 自民党が議員任期延長を提起、立憲民主党は国民投票法の優先訴え - 社会 : 日刊スポーツ
衆院憲法審査会・発言の要旨(2022年11月17日):東京新聞 TOKYO Web
今の状況で憲法改正の議論に国会のエネルギーを注ぐこと自体に疑念はありますが、もし議論して抜本的な見直しをはかるにしても、衆参二院のあり方や議員定数から……天皇制まで、重い論点がいくつもあると思います(調べていないので整理して挙げられませんが)。でも、そうした「高度」な議論は、他人の書いたものを読んでいる議員さんには、失礼ながら、ハードルが高すぎてできそうにありません。それよりも自分たちの利害に直結して理解しやすいのが、非常事態を御旗にした議員任期の延長、要は、選挙を(適当な時期まで)やらないで済ませるということでしょう。「選挙」という単語を持ち出さないことにも意図を感じます。
しかし、地震や原発事故、戦争以外でも、「緊急事態」に陥ることはありえます。もっと言えば、政府が「緊急事態」だと言えば、それが「緊急事態」になるのですから。それならば、たとえば異次元緩和や債務超過など、政府の失政によって「緊急事態」になったら、その責任こそが問われるべきで、むしろ選挙をやって、無能な議員を追放し、有能な議員と入れ替えなければ、事態は改善されないでしょう。選挙はむしろ必要です。
議員任期の延長(選挙の当面中止)を「早急に憲法に盛り込むべき」などと力んで、前のめりになればなるほど、国民一般にはしらける話です。議員諸氏には襟を正して別のことにエネルギーをつかってほしいと強く思います。
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