清水有高さんの「一月万冊」にゲスト出演しているジャーナリストの佐藤章さんの政界裏話をいくつか拾ってみた。4月9日付の動画より起こしたもの。
〇菅・二階の不人気
自民党の国会議員が選挙区に帰って、後援者の人たちと話をすると、いつ二階を降ろすんだ、早く引っ込めろ、とか、菅のクビを早くとれ、とか（笑）そういうことばかり言われるんだそうです。かなりきついですよね。自民党でも、永田町と地方の選挙区の一般の国民、まあ自民党員ですけど、……の考え方は全然違っていて、これほどの乖離はないんじゃないかと。自民党に対する逆風、特に菅さん、二階さんに対する逆風は相当で、あの人たちが「選挙の顔」になるのは信じられないという感じらしいんですね。
（朝日新聞の某日の記事—―3月17日に党本部で開かれた打ち合わせでは、広島県連会長（当時）の宮沢洋一元経済産業相が「案里氏の応援に入った人は応援に来ないでほしい」と発言。菅首相も応援に入っており、首相の広島入りを拒否した格好だ。）
これね、広島の情勢が野党に有利で自民党は危ないというんで、二階さんが周囲に言ったそうなんです。「広島が危ないからみんなで応援に行こう」と。二階さんが先頭に立って行く勢いだったんですよ。みんな慌てちゃって。いやいや……って。例の1億5千万円のハンコを押したのは誰なんだと。二階さんにはどうもそういう認識がないみたいなんです。
それから、二階さんには、知ってる人は知ってるんだけど、「遅刻事件」というのがあって。ちょっとだけ記事になったんですけど、これね、二階さんが自ら土曜日に会議を開くから来いという指示を出したんですよ。政治家は土曜は選挙区に帰りたいと思ってるのに、ですよ。でも、みんなしぶしぶ土曜日に会議室に集まったんです。ところが、肝心の二階さんが10分たっても20分たっても全然来ない。連絡もしてみたけど、来ないと。で、代表して誰かが二階さんの宿舎に行ってみたら、パジャマ姿で出てきて「何しに来たんだ？」って。「今日、会議でしょ」って言ったら、「何で土曜日に会議やるんだ？」って（笑）。
……ということでね、二階さんは、自分は日本の政界を動かしてるスーパースターみたいに自負してるんですけど、みんな首をかしげているんです。周りには、次は野田聖子で行くぞとか言ってるようなんですけど、それもいつまで覚えてるんだろうかって…（笑）。
〇衆院解散時期の模索
GW明けまでの「日程表」をつくってみたんですけど。
４月 ５日 大阪・兵庫「マンボウ」始まる
４月 ８日 参院広島選挙区再選挙・参院長野選挙区補選告示
４月１２日 東京・京都・沖縄「マンボウ」始まる
４月１３日 衆院北海道二区補選告示
４月２１日 衆院任期満了・６カ月前
４月２５日 広島・長野・北海道二区投開票
↑
GW前、解散時期探る？
↓
４月２９日 昭和の日（GW始まる）
５月 ５日 大阪・兵庫・京都・沖縄「マンボウ」終わる
５月１１日 東京「マンボウ」終わる
それでね、広島・長野・北海道の選挙、これ自民党が3敗する可能性がけっこう高いんですよ（北海道はすでに不戦敗？）。これは言葉で今そう言ってるけど、けっこう大きいんですよ。テレビにもドンドンドーンって出るわけで。
で、どうも、菅さん二階さんは、GWの前、つまり4月29日の前に、解散をうつことを模索しているらしんですよ。まだ「マンボウ」をやっている、その後半なんですけど。……GW前だとみんな心が上気してあまりシビアなことを考えたくないし、投票にもあまり行かないみたいなね（笑）。かつての森喜朗氏じゃないけど、あんまり投票率は上がらない方がいいんだと（笑）。菅さん、二階さんからすると、何としても「追い込まれ解散」だけはやりたくないんですよ。麻生さんのときの例を出すと、任期満了の最後までいってしまって、選挙はボロボロだったでしょう。そのイメージがすごく強いんですよ。その前にやるとなると、オリンピックとかいろいろと日程が入ってくるので、夏の期間は無理だと。だからここ（GW前）だと思い定めているんですよ。だけど、自然の猛威はそれを許さずで、僕は難しいと思うんですけど。
ただね、「マンボウ」やっても効き目がないとはいっても、菅さんや二階さんにとっては、少しでも感染者数が下がればそれでいいんですよ。そうしたら「効果」が出ましたって言えるわけで、そうなると、選挙で3敗しても、一気に解散へと突き進んでいく恐れはあるんですね。野党も全然盛り上がってないし……。今度の3選挙は共闘しているけど、これが全国規模になって本当に野党共闘とかできるのかっていう感じですよね。これを菅さん二階さんは見ているわけです。客観的に言っても、今の野党の状況を見ると、解散したら自民党は勝つかもしれないですから。
〇「4.21問題」＝衆院任期満了６カ月前の意味
衆院任期満了半年前の4月21日はけっこう重要なんです。自民党のなかでは、これ「4月21日問題」とか「4.21問題」と言われてるんです。どういうことかというと、衆院任期満了6カ月前の4月21日以降になると、候補者が一人単独で写る選挙ポスターは事前運動ということで選挙違反になるんです。だから一人で写っているポスターがあれば剥がさないといけないんです、公選法の規定によって。じゃ、どういうポスターなら貼っていいかっていうと、普通は「ツーショットポスター」と言われてるんですけど、二人以上写っていて、まあだいたい二人ですけど、政党名とかが入っていればいいんですよ。ここでね、大問題が起きるんですよ。普通だったら、（二人の）相手は菅総理じゃないですか。ところが、後援会の人からみんな言われてるわけですよ、「菅とか二階とかの写真だったら、うちには貼らせないからな」って（笑）。これね、けっこうつらいんですよ。じゃあどうしたらいいんだ？ 小泉進次郎かって？ だけどね、この事情を裸の王様（たち）に言う人はたぶんいないんですよね。だからね、みんな困っちゃってるんですよ。いっそのことポスターを貼らないか（笑）、文字だけのものにするかね。そんな窮余の策をみんな考えてるんですよ、どうしようかと。菅派や二階派でなければまだいいけど、この両グループに所属している議員にとってはまさに踏み絵状態なんですよ（笑）。これ、自民党議員にとってはけっこう深刻な問題なんです。これが原因で落選することだってあり得るんですから。
〇菅・二階の関係
それから、菅さんと二階さんのあいだには信頼関係がないんですよ。まったくゼロ。ただ権力を維持するために一緒にやっているに過ぎないんです。官房機密費ってあるじゃないですか、官房長官が出し入れするんですけど、今は加藤官房長官ですよね。どうもね、この機密費の出し入れについて、（加藤官房長官は）逐一二階さんに報告していたらしいんです。それを知った菅さんが激怒したという話なんです。加藤さんと菅さんも信頼関係ゼロです。加藤さんはどうも二階さんから押し込まれた人事ということだから。菅さんは加藤さんから官房機密費を出させるわけですが、それを二階さんが逐一知ることになると、弱みを握られることになるじゃないですか。つまりね、官邸は魑魅魍魎の世界なんです。それで、菅・二階・加藤と、それぞれにまた人気がない……と。
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