ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

小池のこころ 二階の気持ち

 「旗振れど兵動かず」、「笛吹けど踊らず」というが、今の政府は、その「旗振り」や「笛吹き」さえも、他人にやれと言っている感じがする。

 「お・も・て・な・し」を合言葉に、外国の選手やスタッフ、外来客を温かく迎えようというオリンピック開催ムードも完全に冷え込んで、今やどうでもよくなってしまったかのようだ。その一例が5月の初め、GW中に東京で開かれた水泳飛び込みのW杯ではないか。これは、本番のテスト大会の意味合いもある重要なイベントだったはずだが、日本側はお粗末な対応をさらけだし、関係者の怒りと顰蹙を買っている。選手をホテルに缶詰めにするのもどうかとは思うが、提供する食事が唐揚げ弁当やカップ麺というのには心底驚く。いったい世界の代表選手たちを何だと思っているのだろうか。これでは「ろ・く・で・な・し」ではないか。

ホテルに缶詰めで、食事はカップ麺…欧州選手団が怒った五輪前大会の低レベル 運営のやる気がまるで感じられない | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

 文春によれば、五輪の警備担当のトップからは「五輪、無理だ!」の発言も飛び出ているという。詳細はわからないが、五輪は1日で終わるようなイベントではないのだ。現場の責任者からすれば、人員さえ確保されていないのに、何が安全安心だ、無理難題ばかり押し付けて、という心境ではないだろうか。

 すでに遅きに失しているが、政治は ”撤退” を考えなければならない。これにどう道筋をつけていくべきか。しかし、現状では、三すくみ、四すくみ状態で、このアベスガ長期政権の弊害が影を落としているように見える。

 5月11日付「一月万冊」でジャーナリストの佐藤章さんが今後の政局について話していて興味深かった。以下に概要を記す。 

【速報】小池都知事が二階氏と会談、遂に五輪の開催是非などめぐり協議か。オリンピック中止に揺れる小池都知事。二階幹事長の腹づもりは?元朝日新聞記者ジャーナリスト佐藤章さんと一月万冊清水有高 - YouTube

 11日、小池都知事自民党本部に二階幹事長を訪ねて会談しました。話題はオリンピックのことと考えてまちがいないです。コロナの感染対策とオリンピック開催の板挟みにある小池都知事が最大のバックアップと頼りにするのが二階幹事長で、二階さんは、先月「オリンピックがこれ以上無理だとなったら、スパッとやめなければならない」と発言しましたが、それは、小池さんから実はオリンピックの中止の話も聞いていたので、観測気球を上げたと考えられます。果たして、どれくらいの騒ぎになって、世論が動くか、と。
 二階さん以上に小池さんの方が「中止」を深刻に考えていると思います。これは推測ですが、かなり前から「中止」のことを考えていたと思いますね。
 今年1月に千代田区長選があったんですけど、当選した樋口さんという方は、都民ファーストの会所属で、小池さんの秘蔵子、愛弟子で、小池さんは非常に喜んだんです。というのは、千代田区衆議院選挙区の東京一区に当たっていて、ここで当選している海江田さん、次も盤石とはいえない。巷で囁かれているのは、小池さんはこの東京一区から出馬して衆院議員に返り咲き、自民党に復党したいのではないか。そして二階さんの後ろ盾を得て、総裁をめざすのではないかと言われています。
 それで、オリンピックですが、コロナの感染拡大で、最近ではどの調査でも国民の7,8割は開催反対ではないですか。こういうときに中止だと言える立場にある一人が小池さんです。小池さんが「中止します」と言えば、賛同する声が大きくなって、人気は高まりますよ。で、返す刀で「責任をとって都知事を辞任します」と言って、次の衆院選挙、9月になるかどうかわかりませんけども、これに出て、当選する。そういうシナリオを描いていたと思うんですよ。
 ところが、オリンピックの推進勢力も意外に強い。まずは、菅首相東北新社の長男の件が発覚して以来、オリンピックで乗り切るしかないとがむしゃらに突っ込み始め、もはや特急列車か暴走新幹線のように突き進んでいる。もう一人は、IOCのバッハ会長。「ぼったくり男爵」がいよいよ本当の姿を見せ始めた。
 さすがの小池さんも今怯んでいると思うんですね。「中止」と言ってしまって大丈夫だろうか? 世論は自分についてきてくれるだろうか?と。そこで頼みの綱が二階さんなんだけど、今のところ、二階さんはオリンピックをやるつもりでいる。二階さんも複雑な問題を抱えています。自分の和歌山の選挙区。参院に世耕さんがいますが、彼も総理総裁を目指しているので、参院から衆院への鞍替えを考えている。二階さんも高齢だし。でも、次の選挙もたぶん二階さんは出るんですけど、その後は、息子さん(三男?)に世襲させる意向なんです。そうなると、世耕さんは芽がなくなっちゃうんですね。年齢を考えると、もう鞍替えして、衆院当選何期かやってからでないと、いきなり総裁ってわけにはいかないから。
 二階さんからすると、こういう状況だから、菅さんとケンカするわけにはいかないんですよ。オリンピック中止にする、つまり菅さんを切るっていうのは、自分自身も切って捨てられちゃう恐れがある。だから、菅さんを切るというなら、次の後継者を考えなければならない。二階さんが考えていた本命候補はまさに小池さんなんだけど、これはどうしたもんかねえと。
 もうひとつ、自衛隊のワクチン1日1万人接種計画。これ、自衛隊だけでは足らず、人材派遣会社と日本旅行などに丸投げしたって話がありますよね、37億円で。人材派遣会社はまあわかりますけど、何で日本旅行とか東武トップツアーズなんだ? って話ですよ。全国旅行業協会と考えると、会長の顔が思い浮かびますよね。そう、ここでも二階さんはかかわりを持っているんですよ。37億円のうち人材派遣会社は7億、旅行会社が30億ですよ、何で?って話です。一応自衛隊ってことになってるけど、やってることは、去年大問題になったサービスデザイン推進協議会の中抜きと似てるんですね。ここでも二階さんと菅さんの合意があったにちがいない。とすると、ますます二階さんは菅さんとケンカするわけにはいかないんですよ。
 二階さんは今や菅さんにがんじがらめで運命共同体みたいになってるんです。だから、小池さんが、オリンピック、やばいと思って、これやったら、私歴史に(汚点を)残しちゃうかもしれない、今だったら引きかえせるかもしれないと思っても、肝心の二階さんがあっちにがんじがらめになっているというのが今の状況なんです。
 だから、五輪を中止にするためには、野党と小池さんがタッグを組む、この選択肢しか残されていないんです。

<以下略>

 野党第一党である立憲民主党の枝野代表にも、いまひとつ殻を破っていけないその姿勢に、佐藤さんは注文をつけていた。壁の前に佇んで考えているのではなく、壁を突破せよ、と。確かに、政権をとる気があるなら相応の気概を見せないといけないし、それを望んでいる人々も少なくないはずだ。立憲民主党への支持率がいまいち伸びないのも、そういうのの現れではないかと思う。これではユリコ氏にまた利用されて解党なんてことになりかねない。





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