今日は短く。
テレビで昨日昼のNHKニュースを見ていたら、トップニュースは、まもなく「弔問外交」が始まり、岸田総理大臣はアメリカのハリス副大統領らと会談、午後(昨日26日)に会うのは10人余りということでした。「弔問外交」が始まる、という言い方に違和感をもつとともに、これがトップニュースかと、やや呆れました。
前にもブログに書きましたが、個人的には、弔問のために集まる機会を利用して各国首脳が意見交換など、簡単な会談をするのが「弔問外交」だと思っているので、葬儀のホスト国はそういう場を提供するのが役めで、自ら率先して他国の首脳と次々と会談するなど、はしたないことだと思っています。また、先の台風15号の大雨で土砂災害や浸水被害( 停電最大12万戸、断水6万戸以上)が起こっている静岡のことを押しのけて(というより、報道しない!)、ニュースのトップに据えるNHKの姿勢には、台風被害が出ている夜に大勢集まって酒を飲んでいた「赤坂自民亭」と同じものを感じてしまいます。
さて、岸田首相の「弔問外交」ですが、会談はすべて迎賓館で行われ、首相動静の記事に手を加えて一覧にすると、以下のとおりです。
*12:51~13:11 国際エネルギー機関(IEA)のビロル事務局長 20分
13:22~13:38 スイスのブルカルテル元大統領 16分
13:49~14:09 ガボンのラポンダ首相 20分
*14:20~14:30 アラブ首長国連邦(UAE)のハーリド・アブダビ執行評議会委員兼執行事務局長 10分
14:43~14:55 タンザニアのマジャリワ首相 12分
15:03~15:15 エストニアのラタス国会議長 12分
15:25~15:50 ルーマニアのチウカ首相 25分
*15:59~16:08 フィリピンのサラ・ドゥテルテ副大統領 9分
16:18~16:50 ベトナムのグエン・スアン・フック国家主席 32分
*17:00~17:17 インドネシアのマアルフ副大統領 17分
*17:35~18:13 米国のハリス副大統領 38分
18:29~19:29 ハリス米副大統領との夕食会 1時間
首相動静(9月26日):時事ドットコム
通訳を介して話をするでしょうから、時間は正味半分以下でしょう。タンザニアやエストニアからわざわざお越しの現職の首相と国会議長に12分(正味6分以下?)の「会談」って何なんですかね? 学校の保護者面談だって20分前後は話をすると思いますけれども。
ちなみに首相官邸のHPでは、これら一連の会談は「弔問外交」ではなく、「二国間会談等」と呼ばれています。注意すべきは「等」で、*は「会談」ではなく「表敬」になっています。実質的には短時間のご挨拶程度の話が、どうやって「表敬」と「会談」に仕分けされるのか、判然としませんが、夜のテレビニュースで映されていたハリス副大統領とのやりとりは、「(日米首脳級)会談」ではなく、「表敬(訪問)」だそうです。しかも、岸田首相は、その「表敬」で訪れた一国関係者とだけ、迎賓館で夕食会をしているのです。喪主がお通夜に参列した一家族にだけ通夜振る舞いをするという、そんな非礼なことってあるのか。どうにも日本国、岸田首相には他者(国)への敬意が感じられません。
令和4年9月26日 故安倍晋三国葬儀参列者との二国間会談等(1) | 総理の一日 | 首相官邸ホームページ
迎賓館でハリス副大統領と夕食会 官邸幹部「岸田総理は『安倍外交を引き継ぐのは自分だ』としっかり示したい」(TBS NEWS DIG Powered by JNN) - Yahoo!ニュース
米国首脳との会談と晩餐会――政府が欲しかった「絵」は、まさにこれでしょう。できればバイデンの方がよかったけれど、現職の副大統領だからまあよしとしよう、と。あとは、とにかく他国の「首脳級」の数を集めて(どこの国や誰が来るかは二の次で)、数字をニュースで流し、いかにもやってそうな感じ=「やってる感」を演出すればいいんで、会談の中身などどうでもいい……と。非常にご都合主義で差別的だと思います。
岸田首相も10分程度の休憩を挟んで、次々とかたちだけで意味のない「面談」をこなして、本当にご苦労様。これで念願叶って支持率アップにつながるかどうかはわかりませんが、こういうのを眺めていると、あなたも国家という得体の知れないバケモノに利用されて捨てられる「犠牲者」のような気がします。
夜のNHKニュースでは、さすがに国葬に反対する人たちの様子も取り上げていましたが、デモ参加者の一人の女性が、「税金の使い方がおかしいと思います。今、静岡で被災している人がたくさんいるのに……。こういう葬儀よりも、被災者の支援に税金を使ってほしいと思います」(概要)と、凜として、しかし、しみじみと話す姿が、とても印象的でした。
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