ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

都議会第一党の「敗北感」

 昨日(7月4日)の東京都議選。選挙結果が判明した。自民党は前回未曾有の大惨敗を喫したが、今回はやっとのことで「第一党」へ返り咲いた。しかしながら政権与党(自公)への風あたりは強く、当初の甘い「皮算用」からすると、さほど議席数を伸ばすことが出来なかった。地滑り的な大敗北にならなかったのは、前回の負け分があるのに加え、一人区はあるが、基本的に都議選が小選挙区選挙でないことのおかげかと思う。

7月4日付朝日新聞デジタルの記事より。

「小池氏にやられた」「大敗北」都議選、自公失速の内幕 [東京都議選2021]:朝日新聞デジタル

<前略>
……自民、公明両党で過半数に届かない事態に議員らが受けたショックは計り知れない。「大敗北だ。言葉もない」。閣僚の一人は、こう語り、肩を落とした。
 今回の都議選について、当初、党内には楽観する見方が大勢を占めていた。都民ファーストの会に前回都議選のような勢いがなく、公明党との選挙協力も復活させたという好条件もそろっていた。
 「50いくかな」。ある東京都選出のベテラン衆院議員は最近、菅義偉首相にこう問われたという。自民では一時、50議席半ばまで伸ばすとの情勢調査もあった。この議員は「首相は都議選が衆院選の前哨戦と言われることを気にしていたのかもしれない」と話す。
 だが、状況は一変した。都内の新型コロナウイルスの感染状況は悪化。選挙戦後半には、首相肝いりのワクチン接種も供給不足に陥り、政府対応が混乱した。
 都内選出の衆院議員は、中小企業経営者からワクチン接種の予約がとれないことを理由に「今回は自民党をやらない」と言われた。首相周辺から「過半数にさえ届かないかも」という危機感が広がったが、現実のものとなった。

 自民と連立を組む公明の危機感はより強かった。
 1993年の都議選以降、全員当選を続けてきた。今回はコロナ禍で支持母体・創価学会が全国から支持者を動員する組織戦術が行えず、苦戦した。
 「(ワクチンが)どういう見通しなのかちゃんとしろ! 止めるだけで説明しないと選挙に影響する」。公明党幹部の一人は、電話越しに官邸のワクチン担当者を怒鳴りつけた。

 選挙戦最終日の3日には小池百合子都知事が、都民ファの候補者の選挙事務所を相次いで訪問した。コロナ対応で協力が欠かせない政権への刺激を避けるために応援には入らないと見られていただけに、与党には衝撃が走った。自民の東京都選出の衆院議員は「小池の動きにやられた」と話す。
<以下略>

自民、都議選で大幅回復ならず 菅政権、衆院選に向けて懸念 | 毎日新聞

 小池都知事の「嗅覚」には敬服する。「第一党」から転落した都民ファーストの会も、逆に、(病気を押して)彼女が出てきてくれたおかげで「救われた」ようなかたちになっている。これで「内輪」からの批判もある程度封じ込められた。あとはどう「円満退社」にもっていって、衆院選出馬にこぎつけるか(菅原一秀の跡目で練馬を狙っているという話を耳(目)にした)。まだひと山ふた山ありそうだが、「逆風」はおさまっている感じがする。

 それに比べると、スガ政権の方は4月の国政選挙(補選・再選挙)で負け、今回の都議選も「第一党」に返り咲いたとはいえ「敗北感」は大きい。3ヶ月以内に行われる衆院選を控え、党内から公然と現政権批判の火の手が上がっても、先日のアベ式「反日」論にならって(?)、これを「反自民」であるかのごとき締め付けで抑え込めるものだろうか。それではなすすべもなくスガ自民は沈んでいくだけのように思える。こちらも、なおひと山ふた山ありそうだ。

 選挙結果を眺めていて全体の女性議員の比率がまたひとつ上がったことに気づいた。

東京都議会議員選挙2021 | 開票速報・結果 | -都議選- |NHK

過去3回分を一覧にしてみる。※ 女性/全議員、( )内は女性議員の割合。

     2021年(今回)    2017年(前回)    2013年(前々回)
全体 41/127(32.3%) 36/127(28.3%) 25/127(19.7%)
自民  4/ 33(12.0%)  1/ 23( 4.3%)  3/ 59( 5.1%)
公明  3/ 23(13.0%)  3/ 23(13.0%)  3/ 23(13.0%)
共産 14/ 19(73.7%) 13/ 19(68.4%) 11/ 17(64.7%) 
立民  4/ 15(26.7%)  0/  5( 0.0%)  0/ 15( 0.0%)
都フ 12/ 31(38.7%) 18/ 55(32.7%)
 * 立民の2017年の数値は民進党、2013年の数値は民主党のもの。    
 
 今回は首都・東京の選挙とはいえ、一地方議会選挙の話ではある。しかしながら、女性議員の割合を上げることが世界の趨勢だとすれば、どの政党が世の流れに反しているのかは明らかだ。
 「日本丸」を「沈没」させようとしているのは、自公政権、あなたがただよ。



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