最初に、高市「誹謗中傷動画問題」について。自分も秘書も(松井氏など)知らないとする「これまでの答弁は揺るがない」と豪語していた高市首相ですが、昨日とうとう「軌道修正」をはかってきました。『週刊現代』の取材に対し、高市事務所として、秘書の木下氏が松井氏とオンライン会議をしたと回答していた事実を認め、木下氏と松井氏に「関係」があったことが否定できなくなりました。
「自分の声に似てる」「編集されて細切れ」「確信は持てない」高市総理、ネガキャン疑惑の音声を弁明…さらには過去の「事実と違う発言」は“撤回”し答弁訂正 | 政治 | ABEMA TIMES | アベマタイムズ
高市という人物は、ある意味わかりやすいというか、未明の電話で手元に回答文がない状況で秘書に確認した(から、秘書が勘違いした?)などと、聞かれてもいないことを(後付けで)ぺらぺらとしゃべり出すところに、嘘をつく人の習い、習性を見るようです。いずれにしても、木下氏と松井氏には「面識」があり、高市の答弁は「揺らいだ」(というかウソだった)わけで、この後どうなっていくか。
文春は第6弾の記事を構えていますし、「一月万冊」の佐藤章さんによれば、高市陣営の中傷動画の作成を始めたのは、松井氏ではなく(←たぶん松井氏一人に責任をおっ被せるつもりでしょうけど)、松井氏が手伝う前から高市陣営ではすでに中傷動画の発信を始めていたという驚きの話もあります。もし、これが本当ならば、曰く、「他の候補者を誹謗・中傷したりするのは、私の流儀ではない」など、はっきり言って噴飯ものです。
高市首相「中傷動画」作成者の新証言&秘書からのLINEを公開する【第6弾】《森山前幹事長は「独裁政治の始まり」》 | 週刊文春
- YouTube(14分30秒過ぎから5分ほど)
高市ネタは、連日のことなので、これくらいにして、今日は、皇族数確保のための「皇室典範改正」の論議について、最近の報道を見ていて抱く違和感について若干触れてみます。
昨日、衆参両院の「立法府の総意」なるものが出されたのですが、見たところ「総意」と呼べるほど意見が一致しているわけではありません。これで本当に「皇室典範」を変更(改正)する気なのか。今朝の毎日新聞の記事です。
クローズアップ:皇族数確保策 総意のあり方 疑問符 | 毎日新聞
……「皆がことほぐことができる道筋をつけたプロセスこそが、立法府の総意だったのではないか」。立憲の「安定的な皇位継承に関する検討本部」の長浜博行本部長は10日の全体会議でそう述べ、退位を実現した特例法制定を振り返った。
長浜氏は(2017年現上皇の天皇退位のための「皇室典範特例法」の制定過程)当時、野党第1党の民進党の担当者の一人として全体会議の協議に携わった。退位のあり方を巡ってさまざまな意見が出た中で「論を終結させたのは主権者である国民の声、民意だった」と指摘した。……
……17年の特例法は、自由党(当時)を除く全党の賛成で成立。共産党も賛成に回り、19年に退位が実現した。一方、今回の立法府の総意では立憲が(旧宮家の)養子案に、日本保守党が女性皇族の身分保持案に賛同しなかった。共産、れいわ新選組、社民党、参院会派「沖縄の風」は総意自体に反対した。……共産党の小池晃書記局長は全体会議後の記者会見で「これを立法府の総意とすることは許されない」と批判し、「国民多数が求める女性天皇の問題について正面から議論すべきだ」と訴えた。れいわの山本譲司幹事長も「総意とは到底言いがたい」と述べた。……
先週末のデモクラシータイムスで政治学者の中野晃一さんは興味深い話をされています。ご覧になった方もいるかもしれませんが、中野さんは、「皇室典範」改定をめぐるこの間の論議に関する違和感をこう述べています(概要)。
- YouTube(20分05秒以降)
……日本における憲法の扱いが非常に浅いなと思うことがあるんです。日本国憲法というのは「憲法典」のテキストですが、実際問題として憲法に該当するものというのは「憲法典」に限らない。英語やフランス語の憲法を意味する Constitution という語は「骨格」という意味で、日本では昔「国体」という言い方もありましたが、まさに国にとって根本的なことを定めたものです。ただ、実際の「憲法典」というのは、歴史的理由などがあって、それぞれ、その長さも大いに違っています。連邦制の国はどうしても長くなるし、インドだったら日本の何百倍もの長さです。日本国憲法は世界的には短い憲法で、100条ちょっとで、明治憲法も短かった。その明治憲法を占領下に改正したものとして日本国憲法があるんです。
で、皇室典範についてですが、(他の憲法だったら)憲法の中に条文として盛り込まれていてもおかしくないし、あるいは、選挙制度とかでも、(公職選挙法などが)憲法の中に入っていたとしても全然おかしくないのです。しかし、日本の場合は、皇室関係の法律にしても、選挙がらみの法律にしても、条文で「(別に)法律で定める」としてあって、皇室のことは「皇室典範」で、ということになっていますよね。普通だったら、Costitutional (憲法的)な意味合いがあるわけで、それは、日米安保条約だって、自衛隊だって、本来的にはそうなんです。
そう考えると、(全党派の代表者協議なるものが続けられてきたが)憲法的な意味合いを持っていることを、こんないい加減なかたちで変えちゃうって、あなたたち、本当に大丈夫なんですかと(苦笑)。しかも、これ(皇室?が)「大事だ」って思っている人たちが(前のめりになって)やってるわけで。笑ってしまうほど、ばかげているなと思うんです。……
<中略>
……「皇族数確保法案」ですか。これ、すごくグロテスクな名前ですよね。皇室を敬うと言ってる人が、皇族数を「確保」するとかね。昔女性を「子どもを産む機械」だと言った人がいましたけど、その発言に近い、えっ、そういう態度で皇族のことを扱おうとするのが今の右翼なんだと思うと、笑ってしまいますよね。……
最近、容疑者の「身柄確保」みたいな言い方も耳にするので、「確保」という言い方には、そうした用法も連想してしまいますが、いや、ほんとうに失礼な話です。だいたい、旧宮家出身の男系男子を養子縁組……とか、言ってますけど、当事者にされる側の声はきちんと聞いているんですかね。
テレ朝の取材に応じた旧宮家の久邇さんは、
“養子案”に旧宮家の男性「一定の覚悟がいる」(テレビ朝日系(ANN)) - Yahoo!ニュース
「ひたすら国民のためみたいなことを思って働かなきゃいけない。それは大変なことですので、一定の覚悟がいると思います。そういうふうには自分はなれないし、なれるような人はそうそういないと思う」
と、否定的です。
で、結局、高市首相に戻ってくるわけですが、意見集約も不完全なまま、回数だけは重ねて一定の結論を出しましたからと、首相に答申して、今国会で法改正しますって、おいおい、そんな乱暴な話はないだろうと思うわけです。
旧宮家の人はもちろんですが、天皇家の愛子さんや、秋篠宮家のお二人にだって、普通の国民と同じように、自分の人生は自分で決めたいという思いはあるでしょう。それを左右しかねない(言ってみれば、人の人生を決定づけてしまうような話をしている)というのに、法律をつくる側にその意識や自覚があまり感じられない(麻生氏などは、女性皇族の配偶者も皇族になるとすると、「結婚のハードル自体が非常に上がる」とか、割と無神経に公然と言ってしまう)。
女性皇族配偶者に皇族身分は問題/麻生氏「結婚のハードル上がる」 | 全国ニュース | 四国新聞社
この1か月で急いで法改定を実現させる必要など、まるでない話で、国旗損壊罪もそうですが、優先してやらなければならないことはもっと別にあるでしょう。
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