ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

都知事選の告示に 雑感 

 昨日、東京都知事選が告示されました。(千葉県民で)投票権がありませんので傍観するだけですが、いくつかの場面に接して、現在のこの国の社会政治状況が反映されている感じを受けました。立候補者を大勢擁立して、選挙ポスターの掲示枠を切り売りしようとするNHK党の、「違法」でなければ何をしてもいいという考え方や手法には、もはやさして驚きを感じなくなってきました。こういう手法は、この間の裏金議員の処分や政治資金規正法改正の抜け道探しのプロセスを見ていても感じるところで、政治社会でこれまで繰り返されてきたことの裏返し、極端ではあっても一つの現れとも思えます。
NHK党のポスター枠「販売」いいの? 都知事選に大量擁立の立花孝志党首 法の抜け穴突く「荒稼ぎ作戦」:東京新聞 TOKYO Web

 しかし、ほぼ全裸女性の姿を載せた選挙ポスターの掲示にはさすがに驚きました。ここまで来ると悪ふざけのレベルを超えています。ポスターには「表現の自由への規制はやめろ」という文言が付いていたようですが、悪い冗談だと思いました。このポスターの候補者が「表現の自由」のことを、文言ほどには考えていないのは、警察から(迷惑防止条例違反で)警告を受けた翌日にポスターが撤去されたことからも明らかでしょう。これは、日本国憲法の21条が保障する「表現の自由」が問われる(具体化した)、ある意味、典型的な場面のはずです。それを、あっさりと?引き下がってしまう。本気で「表現の自由」を意図しているのであれば、もう少し「抵抗」らしきことがあってもよさそうなものです。もちろん、小生個人はこのような公然猥褻まがいを「表現の自由」と称して選挙に持ち込むことには全く賛成などしませんが、その適否判断はおくとしても、気骨なく意味もわからずに、このような「自由」を振り回す様には、愕然とさせられました。
選挙ポスターに全裸に近い女性の画像 警視庁が候補者に警告 東京都知事選挙 | NHK | 選挙

 でも、この手の「自由」の濫用(氾濫)は、国民の一部によるだけでなく、政治家由来のような気もします。たとえば、「悪夢のような民主党政権」の連呼を咎められた元首相が「言論の自由だ」と強弁したり、裏金事件で政策活動費の公開・透明性を求められた現首相が「政治活動の自由?」を盾に後ろ向きな答弁を繰り返したりと、国民個々人の権利保障をすべき立場の為政者たちが、自分たちの「自由」は叫ぶけれども、モリカケサクラに裏金・資金パーティーと、何か事が起こっても、ほとんど責任はとらないわけです。……これを何度も見せつけられた側から、下品で身勝手な「自由」が現れて来たとしても、不思議なことはないでしょう。どちらが卵で鶏かということはなく、相乗効果があると思いますが、堕落、腐敗の片棒は為政者たちも負っているように思います。

 加えて、今回の都知事選では、依然としてやまない小池都知事学歴詐称問題があります。かねてより小池氏が都知事選に立候補すれば公職選挙法違反(虚偽事項の公表)で告発するとしていた、小池氏の元側近・小島敏郎氏が、18日「予告」どおり東京地検に告訴状を出しました。もちろん、学歴詐称問題を選挙の争点、中心テーマとするわけにはいかないと思いますが、政治の信用にかかわる問題であることは確かです。しかも、外国権力が絡んでいるとなると、単なる虚偽だけでは済みません。
もはや大手メディアも共犯、「学歴詐称」で刑事告発された小池都知事の追及逃れに一役買って出る“報道機関”(1/4) | JBpress (ジェイビープレス)
カイロ大元幹部が声高に訴えた小池知事擁護論 「学歴詐称」刑事告発会見に“援軍”で乱入(日刊ゲンダイDIGITAL) - Yahoo!ニュース
「このまま黙って死んだら私に悔いが残る」カイロ時代の友人が明かした小池百合子都知事“疑惑の大学生活”【実名告白】 | 文春オンライン

 その他、小池都知事の言う「東京大改革3.0」にも違和感はあります。現職はふつう自身のこれまでの実績や成果の方を強調するものでしょうが、小池氏の場合は2期8年の間、コロナやオリンピックなどを経験しながらも、さしあたって都民にアピールできるこれといった実績が見当たらないのかも知れず、だから他の候補と同じように挑戦者然と「改革」を言うしかないようにも思えます。しかし、これも逆手にとれば、戦略の一環として、有権者に後ろ(過去)を振り返らせず、前だけを向かせることになるわけで、その方が、過去の「失政」や「難点」が表面化せず、候補者同士の主張も似通ってきて争点が見えづらくはなります。ただでさえ候補者が多くて(多すぎて)対立軸が見えづらいのですから、このまま曖昧に推移すれば、現職有利に働くかも知れません。いくら学歴詐称問題がくすぶっているとしても、短期間メディアを押さ込めば逃げ切れる、そんな算段があるのかもしれません。あと、実績云々もありますが、そもそも自民党都政を批判して都知事になった人が、今やその自民党都連と裏で懇ろになっているわけですから(X=Twitterでは「萩生田百合子」の#も目にしました)、他の候補でなくとも、その点はいったいどうなってんだ?(おかしいぞ)と思う都民は少なくないでしょう。

 7月7日の投票まで2週間余(でも、期日前投票は始まっているそうですが)。まだ予期せぬ展開が待っているかもしれませんが、どうなっていくのか。有権者の総意としての「良識」に期待するしかありません。


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