ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

貧困・格差と「政治(家)の信頼回復」

 昨日「Newsweek」の記事「日本社会は「ワーキングプア」の人たちに支えられている」を読みました。以下、記事からの引用です。

……国民を有業者と無業者、さらに前者を大雑把な年収階層で分けたグラフにしてみると、日本社会の構造がリアルに分かる。2022年10月時点の年齢別人口を、こうした観点から色分けすると<図1>のようになる。

……3つの年収階層に分けてみると、年収300万円未満の人が多い(約半分)。一昔前では普通とイメージされていた年収600万円を超える人は、有業者の中では2割もいない。下が厚く上が細い「ピラミッド型」で、この上に、働いていない被扶養人口(白色)がのしかかっている。
今の日本社会はまさに、働く貧困層ワーキングプア)によって支えられている、と言っても過言ではない。図の赤色の中には、エッセンシャルワークも多く含まれる。あえて時短勤務を選んだり、配偶者控除をにらんで収入を抑えたりしている人もいるが、決してそういう人ばかりではない。やむなく低賃金に耐えている人が多いのであり、だからこそ「ワーキングプア」という言葉が生まれ、流行語にもなっているわけだ。
 なお地域による違いもあるが、有業者に占めるワーキングプアの割合を見れば、おおよその実態は分かる。過去との対比をすることで、近年の特徴も把握できる。<図2>は、働く人の半分以上がワーキングプア(年収300万円未満)の県に色を付けたマップだ。


30年間にかけて、色付きの県が増えているのが分かる。働く人の貧困化が全国的に進んでいるのが一目瞭然だ。高齢の労働者が増えているためでもあるが、雇用の非正規化もあり、生産年齢層でも稼ぎは目減りしている。これでいて物価は上がり、税の重みも増しているのだからたまらない。若者にあっては奨学金返済の負担もあり、結婚・出産も「高嶺の花」となりつつある。……

日本社会は「ワーキングプア」の人たちに支えられている|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

 自分が「高齢」の部類なので、その目線で周りを見ると、「ワーキングプア」かどうかはわかりませんが、現状、高齢者でも収入を確保するためにパートやアルバイトのかたちでけっこう多くの人が働いているのでは、と思います。自分自身も部分的にはそうですし、普段生活していて「高齢の労働者」に接する機会はわりとあります。
 我が家の入口はちょっと狭くて、車1台がぎりぎり通れるくらいの幅しかないので、道路から車で入る際、ハンドルを切るタイミングを間違えると、家主の小生でも一度で入れずに何度か切り返しをするはめになります(笑)。先日も宅配らしき車が入ろうとして、「頭」だけしか入らず、「立ち往生」することになりました。たまたま庭にいたので、近寄ると、車から降りてきた運転手の女性が、「すいません、お届けものなんですけど、これ、中まで(車を)入れちゃった方がよかったですかねぇ」と言います。「ああ、ここで受け取りますよ。車もバックするとき危ないから、後ろを見てましょう」と言って、オーライ、オーライと指示して、何とか無事に「脱出」することができました。女性は頭をペコペコさせながら走り去って行きましたが、お年は小生と同じか、上のように見えました。
 別の日の話ですが、ボイスレコーダーの画面が見えづらくなったので、修理を依頼に、大型家電店に行ったことがあります。このとき対応した店員(女性)はあまりこの分野に明るくなかったらしく、奥からカタログみたいな大冊子を出して、うーん、うーんと唸りながら調べたり、近くにいた別の店員さんに何度も確認したりして、結局買ってから7年以上たっているので、部品がなくて修理は無理ということになりました。「お客さま、別のものに買い替えてはいかがでしょうか?」とニコニコしながら言うのですが、「いや、まだ使えるからいいです」と素っ気なく返して、店を後にしました。この女性も齢は小生とあまり変わらないような感じがしました。
 自治会仲間にも毎日朝から晩までフルに働いている人はけっこういます。「半労」で済んでいる小生などはかなり恵まれている方です。高齢のみなさんは、収入を得るためだけで働いているとも言えませんが、それでも、収入確保はまず第一の目的です。預貯金や年金だけで暮らせるんなら、別にあくせくと働きたくないよと思う人は多いでしょう。

 ある調査によると、全年代の平均収入は414万円(男性464万円・女性356万円)で、20代では全体平均352万円(男性377万円・女性329万円)が、50代以上では全体607万円(男性674万円・女性434万円)だそうです。
年齢・年代別に見る日本の平均年収(平均年収ランキング最新版) |転職ならdoda(デューダ)

 スタートの時点からしてもう始まっている収入の男女間の格差が、年齢が上がってさらに倍加的に拡がるのですから、改めて驚き呆れると言いますか、こういうのを放置して世界から遅れをとってきたツケが、今のこの社会にまざまざと現れているように感じます。もちろんすべてを政治のせいにして済ませるわけにはいきません。それにしても、昨今の裏金問題などを眺めていると、日本の貧困、男女格差の象徴が日本の政治だし、それが自民党に集約されているという物言いは、飛躍が過ぎるでしょうか。
 岸田総理は昨日の記者会見で、「悲壮」な面持ちで(「皮相」の間違いかも知れませんが)「……国民の信頼なくして政治の安定はない。総理総裁として政治の信頼回復へ、自民党の体制を一新すべく、私が先頭に立って闘っていく」と、「自ら先頭に立って」というフレーズを連呼していましたが、前日にはしれっと健康保険証は予定どおり来年秋に廃止しますと「宣言」しているわけでして、……まあ、しらけたムードは否めません。



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