小生は千葉県民でも、銚子に在住する人間ではありませんが、聞き捨てならないニュースを知りました。銚子市には千葉科学大学という私立大学があります。大学の名前自体はよく知らなくとも、「加計学園」と聞けば、思い当たる人が多いはずです。愛媛県の今治市に獣医学部のある大学を新設することをめぐって有名となった、あの加計学園です。千葉科学大学はこの加計学園が経営する大学です。今から20年前に開学し、当初は薬学部と危機管理学部の2つでスタートし、のちに看護学部が新設され、現在はこの3学部を擁しています。しかし、県内でも首都圏から離れた場所にある私立大学の経営はどこも大変で、一般的に少子化もあるため、募集定員を確保することが容易ではありません。千葉科学大学が開学した2000年代でも、これから日本の大学は「全入(えり好みしなければ、計算上はどこかしらには入れる)」の時代になると言われていて、定員割れする大学、経営難に陥る大学が増加し、大学自体の統廃合が進むと見られていました。そんな中で、人口減少地域でもある銚子に大学をつくって人が集まるのかという疑問は当初からあったはずです。千葉科学大学は今年の入学者数が定員の半分以下だそうですが、今や経営がのっぴきならない状態に陥っているということでしょうか、加計学園はこのたび銚子市側に大学の「公立化」を要望したということです。
千葉科学大学が銚子市に公立化を求める要望書提出
安倍元首相の“腹心の友”が白旗…加計学園「千葉科学大」経営行き詰まり公立化要望の無責任|日刊ゲンダイDIGITAL
銚子市は野球が盛んな土地柄で、高校野球で言えば甲子園出場の常連校で夏の選手権で全国優勝したこともある銚子商業高校が有名です。小生は中学校で野球をしていたので、銚子の市立中学校と試合をすることもありましたが、その強さに圧倒された記憶があります。当時は確か、銚子には市立中学校が一中から八中まで8校あったと思いますが、今は統廃合されて3校だと聞いています。高校も銚子商業高校は県立ですが、他に以前は銚子市立の高校が2校あり、今はそれも1校に統合されました。その他、銚子市野球場は国体の野球会場にもなったところですが、10年ほど前に行って見た時には、照明部分が切り取られて台しか残っていませんでした。これも「経費の節減」策の一環なのかと驚いた覚えがあります。球場には市立病院が隣接していますが、ここも15年くらい前には経営危機で休止したことがあったはずです。思いつくままに挙げましたが、要するに、銚子市は人口減少や財政難のために、これまで教育や医療などを縮小する方向で歩んできたわけです。
財政難の片棒を担いだのは大学の誘致でしょう。それは何とか人口減少を食い止め、街を活性化させたいという市民の願いでもあったのかも知れませんが、実際には、約10ヘクタールの広大な市有地を無償提供し、市債を発行して大学の建設費用77億5,000万円を助成し、毎年4億円を返済し続けているわけで、これで加計学園側の「要望」どおりに、投げ出された大学を市が受け取ってしまったら、銚子市民の負担はいっそう増えるだけになるでしょう。
地元の人間ならば「裏情報」をふまえて、もっと「現実味」のある話ができるのでしょうが、小生には直截的な「裁断」しかできません。しかし、加計学園の経営責任を問うこともなく、これが通ってしまったら、数年後には今治市でも同じことが起こりうるでしょうし、同じ話が他の大学・自治体間にも飛び火しかねません。そういう意味では、この件は銚子市だけの問題ではないと思います。メディアには、今治市の加計学園(岡山理科大学)獣医学部のその後も含めて、この問題を広く国民に伝えてほしいところです。