ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

厚労省「キャリア」の中途採用

 昨日コロナ・ワクチン接種と死亡者増の因果関係をめぐる国会議員の勉強会のことに触れましたが、会に呼ばれ、時に罵声を浴びていた厚労省の官僚が、権限を有する立場の人でなく、「上司」から「行け」と言われて無理やり駆り出された若手職員のように見えて、気にかかりました。
 今日、新聞記事を見ていたら、厚労省が若手・中堅の離職者が相次ぐ中、初めて「キャリア」中途採用を実施する旨の記事を見ました。同じことは、すでに財務省経産省でも行われているということですが、上のような若い官僚たちの姿を見ると、やっぱり、というか、むべなるかなと思います。これは国政の屋台骨を支えるべき人材がいなくなるという深刻な事態です。
厚労省初、「キャリア」中途採用を実施 若手・中堅の離職相次ぎ | 毎日新聞
厚労省が「キャリア」中途採用 離職者が相次ぎ:東京新聞 TOKYO Web

 しかし、この中途採用が将来の幹部候補の採用(形式的組織防衛)が目的で、組織の体質や仕事内容の抜本的見直しに目を向けないとしたら、事態は悪化していくばかりでしょう。官僚の仕事は政策の立案だといいながら、実際は、政治家の見苦しい国会答弁の作文や、世間からの苦情への対処術ばかりで、本務らしいことにほとんど関わることなく、連日「午前様」という状況だったら、優秀な人材が集まるとはとても思えません。幹部候補の人員補充さえできればいいとなったら、ますます資質の疑わしい人たちばかりになって、悪貨が良貨を駆逐するような事態になるのでは、と思えます。

今年の5月17日付「NHK 政治マガジン」の記事が霞ヶ関の官僚たちの現状を取り上げています。
24時間働けません! 若手官僚8人が探った霞が関の実態 | NHK政治マガジン

令和でも24時間戦えますか?
「時間無制限で仕事ができる人が評価される」
「床では寝られない」

「絶望」の原因のもう1つ「長時間勤務」には生々しい証言が並ぶ。
特に出産や育児といったライフステージとタイミングが重なる女性からは深刻な訴えが目立った。
「妊娠中にもかかわらず睡眠時間は3、4時間。母胎への危機を感じた」
「『24時間戦士』が前提の組織で、出産や育児でそうはなれなくなり、自分は必要とされていないと感じた」

内閣人事局が令和2年秋時点の国家公務員およそ5万人の働き方を調べたところ、20代のキャリア官僚のおよそ3割が「過労死ライン」とされる月80時間を超える残業をしていた。
メンバーで内閣人事局の谷口健二郎さんも法律の改正を担当していた際、半年にわたり月300時間を超える残業が続いたという。週末の出勤に加え、平日でも帰宅できるのは2日だけ。残り3日は明け方に自腹で新橋のサウナに行き、体を休めて再び出勤していた。過酷な実態を振り返る。

内閣人事局の谷口健二郎さん
「20代はそれでも駆け抜けられたが、30代は違う生活を送りたいと辞めた同僚もいた」
なぜ長時間勤務が発生するのか。
慢性的な人手不足に伴う業務の増加に加え、「国会対応」が一因になっている。総理大臣や閣僚が国会で行う答弁案は、質問に関係する省庁の官僚が作成を担当する。質問する国会議員からあらかじめ内容を聞き取る「質問取り」という作業を行い、答弁作成を担当する部署に割り振る。

すべての質問が出そろった時刻は前日の午後6時46分
質問の通告は与野党の申し合わせで「質疑の2日前の正午まで」だが、内閣人事局の調査では、令和2年の臨時国会ですべての質問が出そろった時刻は、全省庁平均で前日の午後6時46分。午後8時以降のケースは36%に上った。「レク」と呼ばれる国会議員への政策などの説明も対面が前提で、その結果いつでも対応できる「24時間戦士」が求められ、従来の人手不足もあって仕事と家庭の両立ができないとの声が多く聞かれたという。
谷口さんは「男性の比率が高く、家庭のことは奥さんに任せきりでひたすら仕事を続けるという幻想がいまだに残っている。24時間対応できることが大事で、効率よく働いているかは評価対象になっていない」と実感を口にする。

 辞めたいと思っても周りの職員に恵まれれば、気を取り直すことも過去にはあったかも知れませんが、配置転換が早くて人間関係が深まる前に次々と部署が替わってしまっては、それも難しいでしょう。
 悪辣で能力不足な大臣や政務官の秘書みたいな仕事から早く解放してあげられないものかと思いますが、そのためには、ある程度自分の力で答弁できる資質のある人が大臣にならなければならないし、任命する側にもそういう資質がなければならないし……という普通の組織体だったら当然のことが、そうなっていないという(国会で、事前通告がない質問には答えられません、などと、大臣や政務官が堂々と言う国が他にあるんでしょうか?)。
 結局これもそういう政治家を選べない我々総体の問題ということでしょうか。

<追記>昨晩都立大学のキャンパスで起こった傷害事件の被害者について、確かNHKは最初「大学の職員」と報じていましたが、社会学者の宮台真司さんであることを知って驚きました。こんなことは絶対許してはいけません。宮台さんの回復を祈ります。




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