ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

Dappi 裁判第6回口頭弁論より

 一昨日(9月30日)に東京地裁で例のDappi裁判の第6回口頭弁論があったようです。この裁判は、匿名のTwitterアカウント『Dappi』による投稿で偽情報を流されて名誉を毀損されたと、立憲民主党小西洋之参院議員と杉尾秀哉参院議員が東京都内のウェブコンサルティング会社に損害賠償を求めて訴えたものです。自民党との尋常ならざる関係が取り沙汰されているこの会社、野党に対するネガテイヴキャンペーン攻撃で世論操作の一端を担っていたのではないかという疑惑があります。

『Dappi』投稿者への社内調査、報告書作成せず。「業務性」めぐり平行線(第6回口頭弁論) | ハフポスト NEWS

 2回前の5月27日に開かれた第4回口頭弁論で、被告側の主張は、これは会社に所属する1人のふとどきな投稿者が勤務時間中に会社支給のパソコンを勝手に使って投稿をくり返したもので、会社の業務とは一切関係ない「私的」な行為であり、投稿者に就業規則違反で「減給3ヶ月の懲戒処分をした」とのことでした。しかし、この日の第6回口頭弁論では、処分に関する文書通知や調査報告書は存在しない(つまり、処分は口頭で伝えたのみ)ということが明かされました。
 何か前に一度(いやたびたび)聞いたような話で、またまた仰天します。勤務時間中に仕事をしないで遊んでいた社員に対し、この処分の軽さにも驚きますが、処分を命令する文書が存在しないなど、ふつうの会社ではあり得ないような言い訳です。あとでこの社員から、処分は不当で会社から不利益を被ったと訴えられ、裁判になったらどうするのでしょうか。

 そもそも、「投稿の頻度や内容からして、勤務時間内に片手間でできる」内容ではないと思います。ひとつの投稿動画の編集に要する時間は20分くらいだというのですが、小生も授業にスポットで見せる動画をよく編集した経験上(いやまあ、ド素人の話だから比較にはなりませんが)、映像のどの部分を見せるかを特定し、切り取り作業をする時間と手間はけっこうな集中力(エネルギー)を要すると思います。それを1つ20分くらいでちゃちゃっと作成して、すべてに添付するわけではないにしても、日に5つも6つも投稿し、飽きもせずそれを毎日くり返すなど、いくらプロのエンジニアの所業といっても、ちょっと想像がつきません。仕事だと辛いけど、遊びだとできるものなのでしょうか?

 哲学系ユーチューバーのじゅんちゃんも8月22日付の動画でこう言っています。少し補足しつつ趣旨を外さないように引用します。
Dappiの裁判 無茶苦茶すぎるよな - YouTube

 Dappiの投稿の一例で、これ福島瑞穂さんの参院厚生労働委員会のときの(添付)動画なんですけど、(2021年)8月26日11時08分に投稿しているんですね。すごいのが、これ、まだ委員会開いている最中なんですね。福島さんの質疑って、この日は10時32分からの予定だったんですけど、質問が押していて、実際始まったのは10時38分頃だったんですね。そこから動画を入手して、編集して、で、11時08分にはもう動画を上げているんです。編集には、確かに文字を入れたり高度なことはしていないにしても、これ参議院というクレジットが入っているので、参議院の中でプロの人が撮っている映像なんですね。これをリアルタイムで取るというのが版権上どうなのか、契約などをしてるのか、とか、いろいろと疑問がつきまとうんです。
 同じようなことは他にもあって、長妻さん(立憲民主党)の動画もめっちゃ早くて、これ、2021年9月15日の午前10時42分に投稿しているんですけど、長妻さんは10時15分からの質疑が予定されていましたが、遅延していて、実際に話し始めているのが10時19分くらいなんです。だから、実質的に20分の間に動画を入手して編集してSNSに上げていることになります。
 これ、相当早いんですよ。さらに言えば、一番気になるのは、長妻さんの質問のここを出すというのをそんなに高速な判断でできるのかってことですよね。長妻さんの質問が始まって、ああ、ここを切り取ろうって、そんなに早くできます? わずか20分の間に、どこを切り抜いて、出して、動画素材を編集してアップロードして、公開して、と。これ、すごい仕事ですよ。まさにプロで、めっちゃ仕事できる人ですよね(笑)。

 こんな能力の高い奇特な人がかりにいて、その能力とエネルギーを自民党の賛美と野党への罵詈雑言という、下卑た悪趣味に費やすとしたら、そんな不幸で異常なことをやるより、もっと別なことをしようと考えるのではないか。こういう「逸脱行為」を厳正に処分しない(できない)この会社も、よほど働きがいのない、荒んだ会社なのでしょう。

 動画の編集が20分でできるかどうかなどという笑止千万な戯れ言に焦点を当て過ぎて、肝心の自民党との結びつきから、話を逸らされないよう、我々も注意しないといけません。




↓ よろしければクリックしていただけると大変励みになります。


社会・経済ランキング
にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ
にほんブログ村