ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

Dappi 問題 続報

 新月のときに種を植えるといいよという話を聞いて、それではと、新月だった今月6日に種を植えたそら豆が、先週後半に芽を出し、至って順調に生育していて喜ばしい。あとはアブラムシに気をつけないといけないと思っていたら、気温が下がってきて夜冷えているので、これもよい傾向。うまく冬を越して、来年の春に大きなさやをたくさんつけてくれるとうれしい。ただ、気がかりなのは、現在ペルー沖で「ラニーニャ現象」が起こっているそうなので、今季の日本の冬は寒くなる可能性があり、気をつけないといけないなと思う。大雪で埋まりでもしたら大変だ。油断大敵である。
気象庁 | ラニーニャ現象発生時の日本の天候の特徴

 「大敵」と言えば、畑とちがって政治の世界の大敵は “噂話” かもしれない。あくまで「噂」だという頭があれば考える余裕もあるが、ファクトチェックもないまま洪水のように怪情報が流されたら瞬時に世論になりかねないのが現在のネット社会だ。例のDappi問題で、「毛ば部とる子」さんの「デジタル怪文書」という表現に接して、言い得ているなと思った。

2021 10 21 DAPPI事件 自民党によるデジタル怪文書の疑い濃厚に - YouTube

 10月21日付の「毛ば部ラジオ」で、Dappiの件は何が問題か。毛ば部さんは概略こんな解説をしている。

 食品メーカーのA社が、誰でもいいが匿名でフォロワーの多い影響力のある人にお金を渡して、同じ食品メーカーのB社の商品を「まずかった」とか「食べたら肌荒れした」とか、さらには「食べたらおなかを壊した」などと嘘の書き込みをさせたらどうなるか。普通のマーケットではこれは完全にアウトで、もし、お金を渡して嘘を書かせていた事実がわかれば、おそらくA社の幹部は全員クビ、会社自体も存続できるかという苦境に追い込まれると思う。
 これをあてはめてみれば、Dappiがやっていたのは、ある政党Aからお金をもらって別の政党Bについての嘘やデマを世に流していたということで、これがどれだけあくどいことか、民主主義の社会でこういうのを野放しにするのがいかに問題なのかがわかる。
 政治の世界では実はこういう手法はむかしからある。怪文書だ。怪文書の場合は印刷したりコピーしたりして一軒一軒ポストに入れたりするが、人手もかかるので日本全国に撒くことは難しい。だが、インターネットやSNSが発達している今のデジタルの世の中では、それも可能になるわけで、Dappiの行為は現代の「デジタル怪文書」と言ってもいい。その怪文書の足がつきだしたというのが今の状況ではないか。ネットでこういうことをすれば足がつくのはわかりきっている。選挙区で怪文書をまいて足がついたという話はあまり聞かないが、インターネットというのは匿名なようで、きちんとこうした手続きをすると、実は足がつきやすい。自民党のデジタルに対する理解の遅れが招いた事件とも言える。

 敵か味方かの政界では、A党のマイナスはB党のプラスになる。野党に対するネガティヴ・キャンペーンで与党を利してきたTweetに嘘を紛れ込ませたために、「足」がついたDappi。先日の「赤旗」のスクープ(記事自体は次の24日付日曜版で公けになるらしい)は、そのDappiと自民党の結びつきをさらに示すものだった。いや、「結びつき」などという雑で穏当な話ではない。実質的には自民党の一機関だと言ってもいいくらいだ。

 「赤旗」のスクープを伝える「日刊ゲンダイ」10月20日付の記事より。(※年齢などは省略)

「Dappi」の背後には“自民党の金庫番”がいた! 赤旗日曜版スクープの衝撃|日刊ゲンダイDIGITAL

大疑獄事件に発展するかもしれない。日本共産党の機関紙「赤旗」が大スクープを放った。
しんぶん赤旗日曜版」(10月24日号)が<ウソ情報で野党攻撃のツイート 「Dappi」運営企業の社長 自民党本部事務総長の親戚名乗る>と題した記事を掲載するからだ。
「Dappi」とは、野党に対する数多くの誹謗中傷ツイートを投稿し、拡散させてきた匿名のツイッターアカウントだ。衆院選の直前、「Dappi」を運営するウェブ関連会社が自民党と取引関係にあることが判明し、「背後には自民党がいるのか」とSNSは大騒ぎになっていた。
 日刊ゲンダイの調べでは、このウェブ関連会社は、自民党の岸田首相や甘利幹事長が代表取締役を務めていた企業と取引関係にあったことも分かっている。
 ネット上では<だからどうした>などとトンチンカンな投稿があるが、巨額な税金が投じられた公党・政権与党が、関係の深い民間企業を使って野党を攻撃するネットを「裏」で操り世論誘導していたということ。これが許されるとしたら、民主主義国家でも何でもない。
 日刊ゲンダイの取材に対し、自民党は「ご質問のツイッターアカウントは全く存じ上げません」「ご指摘のツイッターアカウントに関する報道を把握していないため、答えようがない」などとそろって回答を拒否していたが、「しんぶん赤旗日曜版」の報道の通りであれば、これは大嘘。自民党本部そのものが関与していた疑いが強まってくるからだ。
 この記事に出てくる「自民党本部事務総長」とは元宿仁氏のことだ。以前から<自民党の金庫番>と呼ばれた人物で、2004年に起きた日本歯科医師連盟日歯連)の不正献金事件でも東京地検特捜部の事情聴取を受けているほか、19年の参院広島選挙区をめぐって元法相の河井克行、案里夫妻が逮捕、起訴された大規模買収事件でも名前が取り沙汰され、当時の菅前首相の首相動静でも複数回の会談が確認されている。
 日本記者クラブがネット上に掲載しているエッセー「記者ノート」(2020年2月)には、元日本テレビ政治部長による元宿氏についての、こんな記述が出てくる。
<党員歴50年を越えた彼には、退職に関するルールはなく、これまで幾度となく辞表を提出したが、その都度慰留され続けて来た。総裁、幹事長がそろって反対したためだ。党の政治資金とその流れの裏の裏を知り尽くしているが故に、「余人をもって代えがたい」ということだろう。田中角栄から現職の安倍晋三まで、20人の総裁と37人の幹事長に仕えた。ベテランの仕事師を徹底的に重用するのは、自民党の得意技であり、長期政権の強みあるいは、秘訣の一つだろう。
 ロッキード事件リクルート事件など「政治とカネ」のスキャンダルで、自民党はしばしば糾弾され、逆風に立たされることも多い。2004年(平成16年)に発覚した「日歯連迂回献金事件」では、彼の関与が疑われ、検察から何度も事情聴取を受けた。「政治資金を扱う裏方をやる以上は、汚いと言われるかも知れないが、自分のような役回りも必要だ。政治はきれいごとでは動かない。話せないことばかりで、それは墓場まで持って行く」と彼は言う。>
「墓場まで持って行く」なんてとんでもない。すべてを洗いざらい明かすべきだ。

 昨夜(10月21日)の「一月万冊」で、この元宿仁(もとじゅく ひとし)について、ジャーナリストの佐藤章さんは、直接本人に話を聞く念願は果たせていないとしながらも、本宿氏のおそらくは「内面」にまで踏み込んだ解説をされていたが(※動画の31分45秒あたり以降)、ここでは割愛する。

特ダネ解説!自民党を根本から揺るがす大疑惑に発展するDappi問題。運営会社の社長は自民党事務総長元宿氏の親戚?!元朝日新聞・ジャーナリスト佐藤章さんと一月万冊 - YouTube

 この選挙期間中にこうしたスクープが飛び出てきたこと以上に、このネタに主要メディアがほとんど反応しないことの異常性、もっと言えば、この件の「やばさ」加減を認識しないわけにはいかない。佐藤さんの言うとおり、「本宿氏 イコール 安倍晋三」なのだろう。




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