ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

「政治の責任」

 当初は横浜市長選と自民党の総裁選、衆議院解散のことを知るつもりで、デモクラシータイムスを眺めていたのだが、政府のコロナ対応に関するジャーナリストの鮫島浩さんが、これまで何となくモヤモヤと感じていたことをズバリ言葉にしてくれていて、こちらの方が印象深かった。
 そうだと思う。政府がまずやるべきだったのは、感染を抑えるかどうかよりも、むしろ、医療体制の整備こそだったはずだ。

「母が、子供が」 コロナの悲鳴 菅にトドメか横浜市長選 WeN20210821 - YouTube

 高瀬この一年半くらい、見ていると、日本の政治を過去の戦争と重ね合わせてみるという意見がどんどん出てきていて、より、まさにそうだなと感じるようになってきているんですけど、鮫島さん、これ、いろいろな問題があって、明らかに、これ、おかしいじゃないかということに、政治、つまり、官邸が聞く耳をもたないのか、あるいは、見えていないのか…。全く国民と乖離しているんですが、そのあたりどうですか?

 鮫島これは政治が責任を放棄しているということだと思いますよ。私は、感染爆発ということ以上に注目すべきは、医療崩壊だと思います。医療崩壊というのは、治療が必要な患者さんの数に対して、治療に必要な医療スタッフとかベッドの数とかが足りないという状況になると起こります。この一年半、政府がやってきたことは、患者の数を抑えるために、国民にそれなりに自粛を求め、「人流」を抑えるということだったわけですが、患者の数を抑える、感染を抑えるというのは、やったからできるとは限らないわけです。どんなにがんばっても増えるときもあるし、何もしなくても減る場合がある。それくらい感染症というのは得体の知れないところがあるんですね。それに対して、ベッドとか、医療スタッフを集めるというのは、やればできるんです。その気になればできる、これが政治の責任なんです。感染を抑えるかどうかは、もちろん最善を尽くす必要はありますが、できるかどうかは分からない。それよりも大事な政治の責任は、ベッドの数とか医療スタッフの数を集めることなんです。
 では、なぜそれをここまでやってこなかったのか。大規模病院をつくっても人が足らないとか、よく言われますけど、それはウソですね。オリンピックで集めたじゃないですか。それに、全国でもワクチンを打つために集めたじゃないですか。お金とその気さえあればできることなんですね。なぜ、政治がそれをやらなかったかというと、医療体制を整えるということが注目されると、言い訳できないからです。だから、政治は自分に対する批判をかわすために、感染爆発や感染防止にばかり目を向け、本来一番やらなければいけない医療供給体制の整備を怠ってきた。ここが一番問われるべきことです。マスコミは、感染拡大ばかり報道して、この一年半医療体制を整えることを問題視しなかった。これは、政府とマスコミの「共同正犯」だと思います。

 高瀬テレビを見ていても、繰り返し同じことが言われていて、野戦病院のようなものをつくったらどうだという話が当然あるのに、あまり報道しないし…。結局、東京都もそれに応えないしね。

 鮫島それは、はっきり言うと、今回、杉田・官房副長官が検査入院ということになりましたけど、政治家とか官僚などの「上級国民」にとって、コロナは怖くないんです。つまり、コロナという病気はきちっと治療すれば治るんです。ただ、治療するシステムが足りないから死んじゃうんです。「上級国民」たちは、いざとなったら、コネで入院できるんですね。ところが、一般国民は入院できないから命を落としてしまう。この問題は非常に深刻で、単にコロナが拡がっているという問題ではなくて、まさに格差社会、階級社会、医療格差の問題なんだととらえる必要があると思います。

 青木…前に高橋洋一さん(前内閣官房参与)の「さざ波発言」がありましたけど、あれを見たときに、政権中枢はコロナをそう思ってるんだろうと。菅さんが、実際あれたぶん本気で怒ったんでしょうけど、「ロックダウンしたってダメだったじゃないですか! ヨーロッパなんかも…」って言いましたが、つまり、何をやっても感染拡大は止まらないんだと。やっぱり政権中枢の危機意識って、それくらいなんじゃないかな、と思うんですよ。

 鮫島おっしゃるとおりで、(国民)全員の命を守るという気はないんです。少なくとも自分たちはいざとなればすぐ病院とかに入れるから。そういう意味では、自分の命が危機にさらされているという感じは、政治家や官僚にはないです。霞ヶ関に行くとわかりますが、非常に甘いですよね、マスクもほとんどしてないですし…。それは自分たちはいざとなったら守ってもらえると思っているから。そういう意味で大衆の立場に立った政治は行われていないと思います。




↓ よろしければクリックしていただけると大変励みになります。


社会・経済ランキング
にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ
にほんブログ村