ペンは剣よりも強く

日常と世相の記

「感動して涙が出る国」 小川淳也さんの話

 コロナウイルスの新規感染者数が、9日、全国で過去最多の2,851人となった。重症者も19人増えて555人となり、こちらも過去最多を更新。感染拡大が止まらない。千葉の田舎だから、マスクと手洗いさえしとけば……と、どこか他人事のような感じもあったが、毎日人が動けば、ウィルスも「動いている」わけで、安全だという保障など何もないと改めて思う。実際、感染した人たちは、どこで自分が感染したのか、思い当たるところがないという人が多いのだから。

 映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』で知られる衆議院議員小川淳也さんも先月中旬にコロナに感染し、一週間ほど入院した。昼間はふつうに仕事や運動をしていたのに、帰宅してから発熱し、深夜には39度まで体温が上昇。翌日、紹介してもらった病院まで、公共交通は使えないため、1キロ程歩いて行ったという(地方の田舎だったらどうなっていたか……)。

 12月8日付の「FRIDAY デジタル」に小川さんへのインタヴュー記事があった。感染を抑え込んでいると言われるニュージーランドの話は興味深かった。
(聞き手:田幸和歌子氏)

コロナ感染国会議員が明かす「感染したからわかる、この国の盲点」 | FRIDAYデジタル

 小川さんの話を要約すると、

 夏のオンライン対話集会に参加してくれたニュージーランドの方から便りをもらった。そこには「自分はこんな国に住んでいるんだということに感動して涙が出る」と書かれていた。
 アーダーン首相が率いるニュージーランドはロックダウンに入った後、学生アルバイトを含めた全国民に6カ月間の生活保障費用を出した。国民はみんな「この人たちについていこう」という気持ちになって、耐え忍び、そこから発症がゼロになり、旅行も宴会も全てフリーになった。
 しかし、ある日一人の陽性者が出てしまった。「全部おさえ込んだはずなのに、どこからウイルスが出たのか」。ニュージーランドでは個々のウイルスの遺伝子解析をしていて、誰からうつったのかがわかるようになっているらしい。そこでわかったのが、帰国者が2週間隔離されているホテルでボヤが出たとき、近所の公園にいったん避難した帰国者が、たまたま同じ地域の公園に避難してきた近所の人と数分会話をした。その帰国者の中から陽性者が後に発見され、二つのウイルスの型式が一致して、感染ルートが説明できたという。
 これは、感染者にとっても、国民全体にとっても大変安心できることで、しかも、政府は「帰国者と一般の方を同じ公園に避難誘導した方針が、政府として誤りで、謝罪したい、改めたい」と反省の言葉を述べたという。
 こうした政府の姿勢にニュージーランドの国民は信頼を寄せている。ニュージーランドでは、医療従事者にも退職者を何万人と再雇用し、体制整備にあてている。便りに書かれていた「こんな国に住めていて感動で涙が出る」とは、こういうことなんだと。日本とは対極で、羨ましすぎる話だと思った。
 もし、日本でもウイルスの遺伝子解析によって1対1で感染ルートを明らかにすることが技術的にできたとしても、それは安心材料である反面、個人の行動歴を含めてプライバシーと天秤にかけなければいけない。そこで問われるのが、政治の力量であり、政治家と国民との信頼強度だろう。ところが、「桜を見る会」の問題も含めて、常に保身に走り、都合の悪いことは隠し立てするような政府や政治家では、それは難しいだろうと。

 小川さんは、
「無駄になったときの責任をとる覚悟で圧倒的な準備を整え、全部自分の体ひとつで引き取る責任感や覚悟で一つの方向づけを行い、旗を振ること。そして、ウイルスとの戦争に打ち勝つため、もし可能であるなら、個人情報、個人のプライバシーを国のため、国民全体のために少々みんなで出し合わなければならないことも含めて、ついてきてほしいと真顔で言えるかどうかですよね。 そういう指導者がほしいし、それが真実だと思います。……都合の良いこと、悪いことを両建てで「自分の責任でやらせてほしい」とちゃんと言えるかどうか。」
だと言っている。

 本当にそのとおり。
 体を大事にしてください。


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